アンナ・カレーニナ 改版(下) の商品レビュー
幸せという言葉を考え…
幸せという言葉を考えさせられる作品です。
文庫OFF
この長い小説の中で個々が抱えるその時代の問題点が事細かく、こころの揺れ動きを交えて表現されている。こころの描写が凄すぎて一人一人になりきってしまえた。愛するが故にそれを恐ろしいと思えてしまう息子、妻、友人! 落ち込みたいときに読むととことん落ち込める! アンナの行動はこころの動き...
この長い小説の中で個々が抱えるその時代の問題点が事細かく、こころの揺れ動きを交えて表現されている。こころの描写が凄すぎて一人一人になりきってしまえた。愛するが故にそれを恐ろしいと思えてしまう息子、妻、友人! 落ち込みたいときに読むととことん落ち込める! アンナの行動はこころの動きを考えると、当然とも言えるかもとも思えてしまう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
当時のロシア社会のことはよく分からない。作者の投影であるレーヴィンの農民への考え方が同時にあってどういう意味を持つのか、政治のことも労働の賃金のことも、たくさん出てくるけれど頭に入ってこなかった。ただあれほど愛し合っていたアンナとウロンスキイがどんどん冷めていって、被害妄想に囚われたアンナが病んでいく様子とか、生活に疲れ切りながらも子どものことばかり考えてしまうドリイの描写がリアルだった。アンナを不貞だと責めるだけではなく、あれこそが自由で良いとドリイが一種憧れを持つような心の動きとか。 冒頭にある、レーヴィンの兄セルゲイがワルワーラにプロポーズしようとしてお互いにそれを意識しながらもタイミングを逃してしまう話がお互いに切ない。
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この巻に来るとアンナは完全におかしくなっていく。彼女を追いつめて行ったもの、やはり罪の意識が大きいんじゃないかと思う。自分自身では悪い事をしたと思っていない、むしろ非を認めたくない。それでも世間から罪人のレッテルを貼られ、穿った見方をされる事実に押し潰されてしまったのだろう。 ...
この巻に来るとアンナは完全におかしくなっていく。彼女を追いつめて行ったもの、やはり罪の意識が大きいんじゃないかと思う。自分自身では悪い事をしたと思っていない、むしろ非を認めたくない。それでも世間から罪人のレッテルを貼られ、穿った見方をされる事実に押し潰されてしまったのだろう。 もう一人の主人公レーヴィンは真理の追求を求めて止まない。これは家庭を描いた小説…と言えどもテーマは重く、読んでいてかなりしんどかった。
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こころの動きというか揺れくらいのとこまでちゃんと言葉でとらえ、削り出せてるとこは唸るしかない。 この本を読んで考えるのは愛ってすげぇ曖昧やなと、人によって、状況によって、時代によって、気持ちによって形を変えるもんやから形だけ見ると全然違うもんになる。風船のどこかを指で押すといろん...
こころの動きというか揺れくらいのとこまでちゃんと言葉でとらえ、削り出せてるとこは唸るしかない。 この本を読んで考えるのは愛ってすげぇ曖昧やなと、人によって、状況によって、時代によって、気持ちによって形を変えるもんやから形だけ見ると全然違うもんになる。風船のどこかを指で押すといろんな形になるように。 書評はオブロンスキー家、カレーニン家、レーヴィン家の対比だというけど、おれにはアンナとレーヴィンの対比に思えてならない。 1人は身を焦がし、滅ぼすほどに愛を求め、1人は疑り深く慎重に愛に近づいていく。 もう一つのクライマクスはニコライの事件やろう、何がってその時のレーヴィンの気持ちの動きが見事。
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読んでいる時と読み終わった後で印象の変わる不思議な本。アンナの華やかな物語と、リョービンの素朴な物語が交互に展開されていく。 読んでいる時は華やかなアンナの話が面白く展開が気になりリョービンの話は退屈に思えたのだが、読み終わってみるとリョービンの農夫達と共に働く時の話やキティとの...
読んでいる時と読み終わった後で印象の変わる不思議な本。アンナの華やかな物語と、リョービンの素朴な物語が交互に展開されていく。 読んでいる時は華やかなアンナの話が面白く展開が気になりリョービンの話は退屈に思えたのだが、読み終わってみるとリョービンの農夫達と共に働く時の話やキティとのささやかなやりとりが、胸にじんわりと染み入るように思い出される。 人生における幸せとは案外このように必ずしも刺激的なわけではなく、普段は見過ごされがちだがふとした時に思い出されるようなものなのかもしれない。
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「アンナ・カレーニナ(下)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16 514p ¥600 C0197 (2019.02.11読了)(1998.07.16購入)(1995.10.05/5刷) 【目次】(なし) 第六編 5頁 一~三二 第七編 227頁 一~三一 ...
「アンナ・カレーニナ(下)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16 514p ¥600 C0197 (2019.02.11読了)(1998.07.16購入)(1995.10.05/5刷) 【目次】(なし) 第六編 5頁 一~三二 第七編 227頁 一~三一 第八編 413頁 一~一九 解説 501頁 一~三 中村融 ☆関連図書(既読) 「アンナ・カレーニナ(上)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16 「アンナ・カレーニナ(中)」トルストイ著・中村融訳、岩波文庫、1989.11.16 「光りあるうちに光の中を歩め」トルストイ著・米川正夫訳、岩波文庫、1928.10.10 「人はなんで生きるか」トルストイ著・中村白葉訳、岩波文庫、1932.09.25 「イヴァンの馬鹿」トルストイ著・米川正夫訳、角川文庫、1955.08.05 「戦争と平和(一)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.01.17 「戦争と平和(二)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.02.16 「戦争と平和(三)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.03.16 「戦争と平和(四)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.05.16 「戦争と平和(五)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.07.14 「戦争と平和(六)」トルストイ著・藤沼貴訳、岩波文庫、2006.09.15 「トルストイ『戦争と平和』」川端香男里著、NHK出版、2013.06.01 (「BOOK」データベースより)amazon アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。
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読者はほとんどの場合これがアンナの悲劇だと知って読むだろう。いかにアンナの心理は暗闇に近づくのか、いかに人間関係や社会事情がアンナの進む道に巧妙な罠を隠したか。 いわばゴール地点の「駅」で読者は待ちうけ、蛇行を続けながら近づいてくるアンナを見ている。ある意味、悪趣味で残酷な読書であるわけだ。 膨大な登場人物のそれぞれの人生を直線で引いて考えると面白い。もう一人の主人公レーヴィンと、アンナの線は近づく機会が少ない。下巻でつかの間交差するが、その時見せる両者の闇は印象深い。ウロンスキーとアンナの線は鉄条網のように絡み合いながら、結局は別の二本の線だということがはっきりしてゆく。 各線が乱反射するように見える、ロシアの貴族社会。その中でもアンナの引いた極太の線は強烈な印象を与える。巻が進むごとに、利き腕ではない左手で引いたような波状の線へと変わってゆく様が、何とも言えない。 何気ない一文で語られる心理や、世の闇、小さな希望、など、おそろしく慧眼。凡百の作家であればその一文でひとつの作品にしてしまうのだろうな、と思わせる箇所が砂のように多数あふれているのも、本書のおそろしさ。
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レーヴィンが生の目的について理解するシーン、志賀直哉の暗夜行路で時任謙作が大山に寝転ぶシーンと何かが私の中でリンクした。本と本とが自己の中で繋がっていくのは、なんて尊いことだろう!
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p120のドリイの子育ての苦悩。 P325からのキチイの出産シーン(とりわけ、p342とp343の「と、沈黙のただなかに、この母親の問いに対する疑いをいれぬ答えとして、しつないのそこここに聞こえる控えめな話し声とは全く違った、新しい声が起こった。それは、どこからとも知れず現れて...
p120のドリイの子育ての苦悩。 P325からのキチイの出産シーン(とりわけ、p342とp343の「と、沈黙のただなかに、この母親の問いに対する疑いをいれぬ答えとして、しつないのそこここに聞こえる控えめな話し声とは全く違った、新しい声が起こった。それは、どこからとも知れず現れてきた新しい一個の人間の、勇敢な、あたりかわわぬ、何者をも顧慮しようとしない叫び声であった)。 P452のアンナの自殺シーン(これは文学的にあまりによく書けていて、そして真実だ)。 P483の母と子の絆の表現。この書、とりわけアンナが自殺するシーンの後に我が精神の蘇生が。
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