徳川家康 蕭風城の巻(23) の商品レビュー
司馬遼太郎の描く家康像が崩れていく。方広寺の鐘楼の文字に因縁をつけたのは、秀頼を大人として扱い大阪城開城を悟らせるもの。片桐且元は裏切り者ではなく、豊家のためを願う純な老臣。間にたっての苦衷が哀れ。奥原豊政の達観に感じ入り、その師柳生石舟斎に興味を覚えた。13.1.4
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いつか読もうと思っていた作品。「豊臣秀吉」、「織田信長」はある程度知った気でいたので、戦国時代の三大英雄、最後の一人を知るためにと思い読み始める。 結果、非常に感動した。司馬遼太郎作品や池波正太郎作品、世の中の一般的な「家康像」を覆す作品であった。家康がなぜ天下を取り、そして江戸...
いつか読もうと思っていた作品。「豊臣秀吉」、「織田信長」はある程度知った気でいたので、戦国時代の三大英雄、最後の一人を知るためにと思い読み始める。 結果、非常に感動した。司馬遼太郎作品や池波正太郎作品、世の中の一般的な「家康像」を覆す作品であった。家康がなぜ天下を取り、そして江戸幕府260年の平和な時代を築けたのか、おぼろげながら理解できた気がした。 また、著者の目を通して描かれた「家康の思考法」に強く感銘を受け、自己統制の本としても傍に置きたいと思った。
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大阪方の無能さはことあるごとに説明されていたので、開戦に至る過程も腑に落ちた。 驚いたのは真田幸村の思想だった。 家康と同じ虚無に立脚したうえに戦は無くならないものとして世界を理解している。 今までの家康のライバルは泰平を目指すことでは一致していた。 真田幸...
大阪方の無能さはことあるごとに説明されていたので、開戦に至る過程も腑に落ちた。 驚いたのは真田幸村の思想だった。 家康と同じ虚無に立脚したうえに戦は無くならないものとして世界を理解している。 今までの家康のライバルは泰平を目指すことでは一致していた。 真田幸村は違う。 戦争を人の営みの一部とし、利に転ばない。義で動かない。 父親譲りの思想の完徹のために彼は矛を取る。 物語終盤で本当のライバルが現れた。 泰平を望むのが人なのか? 戦争を望むのが人なのか? この二人の決着がそのままこの小説の答えだろう。
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