母なる夜 の商品レビュー
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レーベルはSFだけどSFではないんだよね… ある種問題作かもしれません。 (まあ仮の人物としてがSFか?) 一人の二重スパイがこの状況にまで 至るまでのお話。 結局言ってしまえば、 戦争というものは様々な憎しみの種を植え付け どこまでも暴走していくということ。 まあそれでもこのキャンベルは うまく立ち回ったとは思うのよ。 じゃなきゃ最初につかまった時点で とっくに絞首刑になっているので。 そして一時の幸せであろう生活までもが 途中で暗転してしまう恐ろしさ。 それが彼にとっての「報い」だったのかもしれません。 結局は彼は望んで 延長されていた罪を受けることになります。 そうなるとどんなにすごい人でも あっという間に牙をむいてくるということ。 それはズッ友と信じていた人まで。 戦争はむごい。
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アメリカのスパイとしてナチスドイツに仕えた男が、戦中・戦後の出来事について綴った手記という形をとっている。一人称でありながら、心情はとてもドライに描かれる。ハードボイルド的といっても良いかもしれない。彼はユダヤ人迫害の正当性など何一つ信じていないのに——彼自身が言うところの分裂症...
アメリカのスパイとしてナチスドイツに仕えた男が、戦中・戦後の出来事について綴った手記という形をとっている。一人称でありながら、心情はとてもドライに描かれる。ハードボイルド的といっても良いかもしれない。彼はユダヤ人迫害の正当性など何一つ信じていないのに——彼自身が言うところの分裂症的に——表向きは完璧にナチスの手助けを続ける。生き延びるために罪を背負わざるを得ない、このような人物を一体どう捉えればよいのだろう。どこまでも辛い物語だが語り方には優しいまなざしが感じられ、そのギャップが強く印象に残る作品だった。
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人生において自分が何の役なのか、自分の役は善悪どちらなのか、自分を見つめる周りの目にはどう映るのか、それを知らないまま生きることも幸せな人生の一つの答えなんじゃないかなと思う。 それを知り、生きる意味や目標を追求することは普遍のテーマだけど、その達成は同時に失う事も所有することとなり、誰もが小さなレシと同じ結末を迎えることになると思うから。
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なぜ人はこうも寂しいものなのかという事をつくづく感じるばかり。畳み掛けるユーモアの効いた皮肉にズキズキ心が痛む。
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名作だがこれは自伝である 表紙 7点和田 誠 展開 6点1961年著作 文章 6点 内容 600点 合計 619点
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ヴォネガットの他作品と違って、 SF的寓話性もスプラスティック的展開も無い。 シリアスで痛切。 国家の正当性を求める闘争=戦争は、 個人の意思を無効化し、 善と悪の概念さえも形骸化する。 あまりにもリアルだった「偽りの扇動」、 あまりにも密やかだった「国家的任務」。 争いが終わると、後者を証明するものは何もなく、 人々の記憶には憎悪を伴い前者だけが残される。 主人公の正義は、運命の業火になすすべもなく燃えつくされる。 それでも、作家である自分自身と個人の意志の存在を証明するかのように、 自分の結末を自ら演出するラストの切なさは、 前作「タイタンの妖女」にも通じる。 タイタンのラストシーンには美しく叙情的な舞台が用意されていたのに対し、 本作のそれは、 乾ききった無機的な空間。 「わたしは放送屋として、ただ滑稽なお笑いを提供するつもりだったが、この世界でナンセンスを楽しむなんて至難の業だ。なにしろあまりにも多くの人が笑うのをひどくいやがり、ものを考える力をすっかり失い、信じて、ののしって、憎悪することばかりを熱望していた。あまりにも多くの人が、わたしの言うことをまともに信じたいと望んでいたのだ!」
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自分の生き方を持っているからこそ、何も考えていない者を嘲笑う様子が考えさせられる。この作者はユーモアに関しては誰にも負けない物を持っているように思う。この作品では、終わり方が無情であるということもあり、深く印象に残って消えない。
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うー、なんだかとても切ない気持ち。スパイ小説、ということらしいけど。いつ刑に処してもらえるんだ?ってこっちまでじんわりと悲しくなる。軽やかでおかしさを誘う文章がまたたまらん。すごく好み。アウフ・ヴィーダーゼーン?
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「われわれが表向き装っているものこそ、われわれの実態にほかならない。だから、われわれはなにのふりをするか、あらかじめ慎重に考えなくてはならない」「死んでしまえばほんとにおしまい」簡単な二つの教訓だけど、どっちも実際には忘れてしまいがちなんだろうな。冒頭で「教訓」って言われて説教臭...
「われわれが表向き装っているものこそ、われわれの実態にほかならない。だから、われわれはなにのふりをするか、あらかじめ慎重に考えなくてはならない」「死んでしまえばほんとにおしまい」簡単な二つの教訓だけど、どっちも実際には忘れてしまいがちなんだろうな。冒頭で「教訓」って言われて説教臭くなるのか心配したが、そんなのは無用だった。
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ヴォネガットの著作では、自己の体験を強く反映しながらも、読み終わってから主人公がどんな人間だったか思い出せないことが多かったりするけれど、本作は妙に記憶に残る。 それは、主人公が、自分のやってきたことをごまかそうとせず、そして最終的に自分の意志で選択をするからなのだろう。
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