狼煙を見よ の商品レビュー
読んでて一番印象に残ったのが、獄中闘争の凄まじさ。 著者の人でさえ凄まじいと書いてるのだから、やはり相当なものなのだろう。暴力で従わせようとしてくる看守に一切怯まず引かずに抵抗し続ける様に読みながら圧倒されてしまった。どうしてこんなに戦い続けることができるんだろって思ってしまう。...
読んでて一番印象に残ったのが、獄中闘争の凄まじさ。 著者の人でさえ凄まじいと書いてるのだから、やはり相当なものなのだろう。暴力で従わせようとしてくる看守に一切怯まず引かずに抵抗し続ける様に読みながら圧倒されてしまった。どうしてこんなに戦い続けることができるんだろって思ってしまう。デモや学生運動を経験してる人たちだし権力からの暴力に多少慣れてはいるだろうけど、でも独房の中でたったひとりで、それでも戦い続けるその凄まじい闘争心。すごすぎる。それも全員がそれをやり続ける。ゲリラ兵士にとって獄中も戦場である的なことをメンバーのひとりが書いてるのだけど、いやだとしてもすごすぎる。自分は絶対にこんなことできないな、と思った。 仰天ニュースで見たときは、こうやって事件を起こしましたな紹介しかされてなくて(というか現代のニュースとかでもほぼそうで)なんでこんなことしたのかは全然紹介されてなかったけど、他国を犠牲にして豊かになった日本や日本人に対する戦いってことなのは理解できた。爆発で死者が出たことに動揺したり後悔したりしてて、決して目的の前には些細な犠牲だから仕方ないと割り切ったりしなかったのだなと思った。むしろ犠牲者を無駄死にさせないためにさらに加速させていくっていうのがやるせない。 アイヌ差別や日雇い労働の問題など、豊かな生活の影で犠牲になっているものを忘れず、どうすればよいのか考え、行動していった果てがここに辿り着いたのかと思うとなんとも言えない気持ちになる。 今に至るまでまったく解決していない問題に向き合うためにも、考えさせられる一冊だった。
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「模範青年」と「爆弾魔」はいかに出会ったか……… 「狼煙を見よ」は、副題にもあるように、東アジア反日武装線戦JF部隊を扱ったノンフィクションである。 JF部隊といえば連続企業爆破事件で「爆弾魔」「テロリスト」と指弾されたグループ。その彼らと作者松下竜一がなぜ出会い、彼らのことを...
「模範青年」と「爆弾魔」はいかに出会ったか……… 「狼煙を見よ」は、副題にもあるように、東アジア反日武装線戦JF部隊を扱ったノンフィクションである。 JF部隊といえば連続企業爆破事件で「爆弾魔」「テロリスト」と指弾されたグループ。その彼らと作者松下竜一がなぜ出会い、彼らのことを一冊の本にまとめずにおれなかったかを解き明かすことから物語は始まる。 8人の死者にこだわりつつもなぜ企業爆破が行なわれたかを問う時新たな思考が生まれてくる 日米安保条約が自動延長された70年6月23日を最後に、全共闘運動は消滅していくが、将司たちは「やるだけはやった」と思うことはできなかった。万口万遍、ベトナム戦争反対を叫んでも、現実にそれを許している以上何の意昧もない。実力で闘うしかないと考え、武装闘争を志向しはしめた者は、彼らの他、「よど号」ハイジヤックの赤軍派をはじめ、少なくなかった。 学校を卒業した将司とあや子は渋谷区のアパートで暮らし始めた。夜も昼も働く彼らははた目には勤勉な新婚夫婦に見えたが、実は実践-爆弾闘争への資金をコツコツと貯めていたのである。 戦争中の中国や朝鮮への侵略と強制連行、そして今も、「発展途上国」の人々の汗と苦しみによってGNP大国と化している日本。そんな日本を造り変えることで、アジアの人々と連帯しようと彼らが選んだ方法は、経済侵略を行なっている企業への爆破攻撃であった。 彼らの心に、実践へのためらいがなかったわけではない。キリスト者である片岡利明はのちにその深刻な葛藤を次のように述べている。それは、テレビに映されたベトナム難民の赤ん坊を兄だ時だった。小さく無力な生命さえ奪ってしまうベトナム戦争と、それを支えるためアメリカに飛んだ佐藤首相におさえ切れない怒りが湧いた。そして訪米を阻止できなかった無念さ。 〈私はこのとき、自分の心をずっと縛りつづけていた「人を殺してはならぬ」という抑制を解いたのです。人を殺すことは悪です。しかし殺さなければ不正義となるときもある。そういう時代に自分は生まれついたのです〉 八人の死者にこだわりつつもなぜ企業爆破が行なわれたかを問う時新たな思考が生まれてくる 日米安保条約が自動延長された70年6月23日を最後に、全共闘運動は消滅していくが、将司たちは「やるだけはやった」と思うことはできなかった。万口万遍、ベトナム戦争反対を叫んでも、現実にそれを許している以上何の意昧もない。実力で闘うしかないと考え、武装闘争を志向しはしめた者は、彼らの他、「よど号」ハイジヤックの赤軍派をはじめ、少なくなかった。
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