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文明の衝突と21世紀の日本 の商品レビュー

3.6

85件のお客様レビュー

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古狸さんもおっしゃっ…

古狸さんもおっしゃっている通り、『文明の衝突』の概略は学べます。「本家」の”厚さ”にひるんでしまった人にはおすすめです。トインビーの『現代が受けている挑戦』(確かこういう邦題だったと思います、間違っていたらすみません)という著書と比較すると面白いですよ。

文庫OFF

冷戦後の世界がグロー…

冷戦後の世界がグローバル化による一体化が進むのではなく、むしろ文明単位に分裂し相互に対立・衝突すると主張し話題を呼んだ S.P.ハンチントン『文明の衝突』 のダイジェストに,小論・講演録を併録したもの.この本でも『文明の衝突』論のエッセンスは十分わかる.講演は日本について論じたも...

冷戦後の世界がグローバル化による一体化が進むのではなく、むしろ文明単位に分裂し相互に対立・衝突すると主張し話題を呼んだ S.P.ハンチントン『文明の衝突』 のダイジェストに,小論・講演録を併録したもの.この本でも『文明の衝突』論のエッセンスは十分わかる.講演は日本について論じたものだが,あまり突っ込んだものではなく,あまり参考にならないかも.

文庫OFF

2024/08/27

かなり前の本なのに、現在の中国と日本の関係、イスラム国のような集団の出現を見抜いていた洞察力の鋭さ。 さらには、今後数100年の世界情勢をも、おそらく言い当てているであろう射程の長い内容の本。オススメ。

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2024/04/10

面白かった。多文化していく世界の中で、文明間に発生する衝突について説明している。それがとても納得できるものであり、もっと早く読んでおきたかったと思う。中でも日本は一つの文明であり、且つそれを他のいずれの国とも共有していないという特殊性があるとの説明は説得力がある。 現時点でも紛争...

面白かった。多文化していく世界の中で、文明間に発生する衝突について説明している。それがとても納得できるものであり、もっと早く読んでおきたかったと思う。中でも日本は一つの文明であり、且つそれを他のいずれの国とも共有していないという特殊性があるとの説明は説得力がある。 現時点でも紛争、戦争は絶え間なく起こり、破壊・殺戮活動が続いている。これを見て多くの日本人はどうしてそんな無駄なことしているのか、という疑問を持つんじゃないかと思う。でもそれは歴史やアイデンティティの感情に訴える地域や場所を侵された経験が日本には無いためなのだろうと思う。そういう勉強をして理解を示し、日本としての考え方を堂々と述べていくべきだと思う。 「解題」を中西輝政氏が書いている。これがまた大変いい。

Posted byブクログ

2023/01/04

翻訳は2000年刊行。 話題になった本だったような記憶がかすかにある。 自分の年齢を考えたら、リアルタイムで読んでいてしかるべき本なんだけど。 …でも、今からでも読む! だって、どのみち今も昔も、国際政治音痴だし。 喪うものはないはずだ。 と開き直って読んでみた。 現在の状況...

翻訳は2000年刊行。 話題になった本だったような記憶がかすかにある。 自分の年齢を考えたら、リアルタイムで読んでいてしかるべき本なんだけど。 …でも、今からでも読む! だって、どのみち今も昔も、国際政治音痴だし。 喪うものはないはずだ。 と開き直って読んでみた。 現在の状況と合致する部分のみが強く印象に残りやすいのだろう、とは思うけれど、本書の内容は現在にも通用する部分が多いと感じる。 アメリカの覇権の弱体化。 一極集中ではなく、世界が多極化する。 1990年代から2000年代での見通しは、まさしくその通りになりつつあると感じられる。 そこでどのような新しい国際秩序ができるか。 本書では採られる方策を二つに類型化した。 ひとつは「バランス化」(バランシング)。 もう一つは「相乗り」(バンドワゴニング)。 覇権国(アメリカ)と地域の中核国の関係、あるいは中核国と地域の二番手の国との関係にそうした方策が採られ、関係が出来上がる。 さらに、その関係形成に、文明の違いや近さが影響を与えるというところが、この本の眼目。 共通する文化を持つ二つの国や集団の間では緊張関係があっても比較的協調関係が生まれやすく、異なる文化の間では紛争が激化しやすいということらしい。 国民国家と文化のまとまりが一致していないところで民族紛争が起きるという話もある。 そういう眼で米中関係、現在のロシアとウクライナの関係を見ていくと、ああ、なるほど、と頷けるところはたしかにある。 ところで、本書にはアメリカの多文化社会化に否定的な見方が示されている。 歴史的に見て、多文化を追求する国が永続したためしがないからだということだ。 トランプ政権が誕生したり、その後のバイデン政権も、白人の、中産階級のアメリカを再生させようとしていることを見ると、今揺り戻しが起きているようだ。 筆者がいうように連合国家になる、という選択肢もアメリカにはあり、そういう未来を選択することもできるのではないかと思うけれど、ダメなのかな? さて、本書は「21世紀の日本」ももう一つのテーマとしている。 日本は中華文明から派生してはいるけれど、孤立した文明であるため、例の文明の衝突理論から考えると、なかなか他国と緊密な協調関係を結べないらしい。 力をつけていく中国とどう渡り合うか。 過去と同じように、その時々の覇権国家、別の地域の中核国家の力を借りながら牽制するしかない、ということのようだ。 割と、まあそうなんだろうな、と思っていたことだった。 正月に読む本の選択を誤ったといえばその通りだが、何というか世界の弱肉強食の現実をつきつけられ、暗い気持ちになってしまった。

Posted byブクログ

2022/12/07

文明衝突論を展開したハーバード大学のサミュエル・ハンチントンが日本にフォーカスを向けた名著。 政治経済の利益、イデオロギーによる分裂が顕著だった20世紀と比べて、21世紀は文化によって分裂している、これからもその分裂は続くと分析している。2000年に出版された本だが、この内容は...

文明衝突論を展開したハーバード大学のサミュエル・ハンチントンが日本にフォーカスを向けた名著。 政治経済の利益、イデオロギーによる分裂が顕著だった20世紀と比べて、21世紀は文化によって分裂している、これからもその分裂は続くと分析している。2000年に出版された本だが、この内容は2022年のロシア・ウクライナ戦争の勃発を予言していたとも言える。 宗教もなく、文化的にも完全に独立した日本だからこそ、先入観を持つことなく他宗教や他文明の理解・教育を進めて、国際平和を促進させることに一役買うことができるのではないかという希望を感じた。この本のように多様化する社会を深く理解しようとする価値観が広まり、平和な世界へ向かってくれることを願う。

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2021/12/09

ハンチントンによる『文明の衝突』拡張版? 『文明の衝突』は次に読む。ものの、元の半分ほどのページ数で書かれている本書は読みやすく、内容も非常に筋の通った濃いものだった。 世界の国際関係はまさに変動している。米中の関係しかり、それらを踏まえた日本の立場しかり。 国際情勢を日本的視...

ハンチントンによる『文明の衝突』拡張版? 『文明の衝突』は次に読む。ものの、元の半分ほどのページ数で書かれている本書は読みやすく、内容も非常に筋の通った濃いものだった。 世界の国際関係はまさに変動している。米中の関係しかり、それらを踏まえた日本の立場しかり。 国際情勢を日本的視点だけでなく、グローバルな視点で捉えて将来を見据えるため、西欧から捉えたハンチントンの視点を知ることは有効な足がかりになると思う。

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2021/10/04

2000年の作品。当時はアメリカ一極支配の時代であったが、その後の地域での紛争、イスラムの団結、中国の台頭による新たなパワーバランスを、基本的には全て予見しているのが凄い。 イデオロギーによる対立が終わり、世界は国を超えた文明ごとに分断され、文明間の衝突が始まる。 西欧文明(欧米...

2000年の作品。当時はアメリカ一極支配の時代であったが、その後の地域での紛争、イスラムの団結、中国の台頭による新たなパワーバランスを、基本的には全て予見しているのが凄い。 イデオロギーによる対立が終わり、世界は国を超えた文明ごとに分断され、文明間の衝突が始まる。 西欧文明(欧米等)、東方正教会文明(ロシア等)、中華文明(中国等)、日本文明、イスラム文明、ヒンドゥー文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明。当時はこのうち、西欧文明が突出したパワーを持っており、中国は地域での大国に留まっていた。ハンチントン理論によると、超大国と地域大国は直接対峙せず、むしろ、地域の準大国と超大国が組んで、地域大国と相対するという。まさに、日米と中国の関係をあらわしている。現在、中国が超大国のカテゴリーに入るようになり、このバランスに変化が生じる。

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2020/03/29

日本も世界も、米中対立に翻弄されながらも何気に均衡を保てているのはある意味奇跡。それは互いの、各国間の文明に不可侵だからか?そういう意味では北朝鮮やイラン問題もそうか。政治的、軍事的な非難の応報はありながらも、文化、文明を否定することはないもんなぁ。

Posted byブクログ

2019/09/30

本書は『文明の衝突』の著者サミュエル・ハチントンによる論文集だ。九九年に行われた日本講演、超大国アメリカに焦点を当てた論文、ハチントン理論の基盤となる国際論(著書抜粋)が含まれている。 冷戦時代の世界は主として「民主主義国家」「共産主義国家」「第三世界」の三勢力に分かれていた。し...

本書は『文明の衝突』の著者サミュエル・ハチントンによる論文集だ。九九年に行われた日本講演、超大国アメリカに焦点を当てた論文、ハチントン理論の基盤となる国際論(著書抜粋)が含まれている。 冷戦時代の世界は主として「民主主義国家」「共産主義国家」「第三世界」の三勢力に分かれていた。しかし、21世紀における国家の行動基準はイデオロギーや政治体制でなく、諸国を文化的に類別する“文明”である。また、米ソという二極化したパワーバランスが崩壊した現在、グローバルな超大国は米国のみであり、他には各地域における主要な地域大国が存在するーーつまり、事実上の一極・多極世界だというのが各論文に共通したテーマである。 ハチントンによれば、文明とは数世代にわたる人々の生活様式全般であり、文化的な特徴と現象の集合を指している。現在、世界には①日本文明②中国文明③インド文明④イスラム文明⑤西欧文明⑥東方正教会文明⑦ラテンアメリカ文明(⑧アフリカ文明)が存在しており、各地域の諸国は中核国・構成国・孤立国・分裂国・引き裂かれた国のいずれかに該当する。通常、文明を異にする国家は冷淡で敵対的な関係となり、信頼と友好はあまり見られない。異文明間では断層線の戦争(フォルト・ライン戦争)が激化していくが、平和実現のためには中核国が他文明の紛争に介入せず、構成諸国はフォルト・ライン戦争を回避するよう努めなければならない。 最後に、世界をアメリカ化する多文化主義への警鐘が鳴らされる。10年代を通じてポリティカル・コレクトネスはグローバル社会に蔓延し、共同体の文明的差異が取り払われる傾向ーー例えば米国のユダヤ教徒やイスラム教徒に配慮して“Merry Christmas”の代わりに“Happy Holiday”を用いるといった、多文化主義的傾向がより顕著になった。しかし、著者は「世界帝国がありえない以上、世界が多文化からなることは避けられない」とし、むしろ人々は差異を認め合った上で「他の文明の住民と共通してもっている価値観や制度、生活様式を模索し、それらを拡大」することが共存への道だと説いている。 加熱する多文化社会への反動が保守主義の台頭という形で帰結したと考えれば、西欧文明から引き裂かれることを拒んだ国民がトランプ大統領を誕生させたことにも納得がいく。近年では英国のEU脱退など、同一文明の国家は強固な関係を築き上げると論じる著者の予見に逆行する情勢も見られ、世界はより複雑化の一途を辿っているように感じられる。現在の日本は中国とのバンドワゴニングでなくバランシング戦略を採用し、一方で米国は着実に超大国の座を降りながらも断固とした対中姿勢を表明している状況だ。今の世界は一極・多極体制から、細分化した多極主義体制への過渡期だと見るべきだろう。

Posted byブクログ