巨匠神話 の商品レビュー
原著のタイトルは、”The Maestro Myth”である。直訳だと「巨匠(マエストロ)神話」で、サブタイトルは付いていない。日本語版は副題に「だれがカラヤンを帝王にしたのか」とあるが、この副題は本書にとってミスマッチである。 この副題は、本書の第16章に登場する、カラヤンや...
原著のタイトルは、”The Maestro Myth”である。直訳だと「巨匠(マエストロ)神話」で、サブタイトルは付いていない。日本語版は副題に「だれがカラヤンを帝王にしたのか」とあるが、この副題は本書にとってミスマッチである。 この副題は、本書の第16章に登場する、カラヤンや100人以上の指揮者のエージェントを務めていたニューヨークの老舗エージェント社CAMIの社長、ロナルド・ウィルフォードの存在を謎めいた形で表現したのであろうが、それは本書のメインの話ではない。なぜこんな副題を付けたのかわからないが(単にカラヤンのネームバリューを利用したのだろうけれど)、読者を本選びの際に惑わすだけで迷惑である。 さて、本書の内容は、ビューローからラトルまで、有名指揮者の辿った道を記した物語である。 これまで、指揮者やオーケストラ本は色々読んできたが、指揮者間の人間関係や性的嗜好など知らなかったこともたくさんあった(そのまま知らなくても良いこともたくさんあったが)。 本書のフィナーレは、指揮者が成長するシステムがなくなり、有能な指揮者はほとんどいなくなってしまい、結果的に指揮者の死亡記事となってしまったと結論付けている。裏の事情を知る人にとってはそう思えるのかもしれないが、本書の初版が書かれた1991年から30年以上も経ってみるとイマイチピン来ない。著者のノーマン・レブレヒトの本は、日本語翻訳されたものは3冊あるが、結末はどれもこんな感じだ。 力作ではあるが、クラシック音楽を楽しむためには知らなくても良いことも多く、翻訳は読みづらく、分厚い本なので、クラシック音楽マニア以外にはお勧めしない。
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戦前戦後の著名な指揮者についてのゴシップやうわさや生活について書いたものである。 日本に浮いては、小澤征爾のジェット機で飛び回っていて落ち着かない生活が書かれている。それ以外では、日本の演奏に甘い状況や、男性主体のカラオケ文化が書かれていただけで、日本に関することは少ない。音楽...
戦前戦後の著名な指揮者についてのゴシップやうわさや生活について書いたものである。 日本に浮いては、小澤征爾のジェット機で飛び回っていて落ち着かない生活が書かれている。それ以外では、日本の演奏に甘い状況や、男性主体のカラオケ文化が書かれていただけで、日本に関することは少ない。音楽科で指揮者についての卒論であれば読んでみても損はないであろう。
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よくあるゴシップ集だけど、これはおもしろい。 金だけがあって他になにもないクーセヴィツキーかっこいいな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
同じ曲でもオーケストラが違えば違って聞こえるし、指揮者が違えば同じオーケストラでも違う印象を受けます。ただ、それを知ろうと思ってもあまりにも範囲が広くてどのように入っていけばいいかわからない状態で読んだこの本はとても参考になりました。 指揮者の歴史や同じ時代に存在した指揮者の関係もよくわかります。 また、指揮者に対してとても辛口な表現もあり、それがまたわかりやすくて良いと思いました。 ただ、私のような無知な人間には著者の例え話が理解できない箇所が多くあり、もう少し知識をつけた上で読めばもっと面白く読めたのだろうなと思うと少し残念です。
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副題は、あまり(私にとっては)意味はない。 また、「マエストロ」とは何なのかについても、実はあまり関心はない、はず。 しかし、我が国の多くのサラリーマンが、プロ野球球団の監督の采配に、口角泡を飛ばしているように、「マエストロ」を巡る、あれやこれやの、評判・批評など−スポーツ新聞...
副題は、あまり(私にとっては)意味はない。 また、「マエストロ」とは何なのかについても、実はあまり関心はない、はず。 しかし、我が国の多くのサラリーマンが、プロ野球球団の監督の采配に、口角泡を飛ばしているように、「マエストロ」を巡る、あれやこれやの、評判・批評など−スポーツ新聞の部数などを勘案すれば、ごくごく狭い−世界の話でしかない。 であるからして、本作は、丸谷才一のエッセイ集のテーマであったり、亡き海老沢泰久の小説のモチーフ以上でも以下でもないのかもしれない。 …。 あれっ。 結構面白く読んだはずなのになぁ。 結句、クラシック音楽といえども、「芸能」の一ジャンルでしかなく、本邦職業野球が、世界に打って出てあれやこれや言われているという状況と、さして変わりはないということか。 あまり、良いアナロジーではないかも知れないけれども、さして外れてはいないような気もするが。 とはいえ、本書、テレビの「好プレー珍プレー」よりは、よほど面白いとはいえますね。
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