元就、そして女たち の商品レビュー
毛利元就の人生を別の…
毛利元就の人生を別の角度から描いた作品。戦国時代は男だけによって作られてたわけではなく、そこでの女性の役割も重要だったのだとわかった。
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著者の小説『山霧―毛…
著者の小説『山霧―毛利元就の妻』ともに1997年度の大河ドラマ原作となった作品。山霧の主人公である元就の妻死後についても語られているので、山霧とあわせて読むことをおススメします!
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この本は、永井路子さんの『山霧』と併せて、 97年大河ドラマ毛利元就の原作となっています。 『山霧』と同じく、戦国時代の女性は、 「政略結婚による家の犠牲になった哀れな存在」 という見方を否定し、実家と嫁ぎ先とを政治的に取り持つ役割の、 積極的な外交官であるとして一貫して主張さ...
この本は、永井路子さんの『山霧』と併せて、 97年大河ドラマ毛利元就の原作となっています。 『山霧』と同じく、戦国時代の女性は、 「政略結婚による家の犠牲になった哀れな存在」 という見方を否定し、実家と嫁ぎ先とを政治的に取り持つ役割の、 積極的な外交官であるとして一貫して主張されています。 この本は、『山霧』で描かれた前半生の補足や、 元就の後半生のエピソードが永井路子さんの解釈で語られます。 大河ドラマ毛利元就は、まだ全て視聴したわけではありませんが、 この本で補足された人物関係がそのままドラマで用いられている点が多く、 ドラマで「どうしてこういう関係で描かれたのか?」ということが、 わかる気がします。 面白かったのが、「なお戦国大名の芸術への関心を、 そのまま「文弱」と捉える単純な思考は、この際もう改めるべきだろう。」 と仰っている点です。 永井路子さんは、大内家の滅亡が単に武断派を退け、 義隆が相良武任を寵愛したことのみではなく、 大内家の体制がミニ幕府化しており、領国に配した守護代が 力を持ちすぎたことなどが挙げられ、権力の宿命とも言えると述べています。 大内義隆について、当代随一の文化人であり知性派であると評し、 また、大内家の滅亡は、義隆の失策や愚かさだけだと考えたくない、 と述べられているのが、大変興味深かったです。 このあたりの考えを、別の本でもし述べられているのであれば、 是非読んでみたいです。 毛利元就について、 「あれだけの足跡を残しながら、元就は決して驕るところがなかった。」 と仰っていますが、この本を通して、元就は大変に真面目で着実で、 冷静な目線を持っていて、よく自分とその身の回りのことを 客観的に捉えることができる人物だったのだなぁという印象を持ちます。
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大河ドラマ「元就」の原作ということで読んでみました。元就の歴史は読める。 おかたさまといい、乃美の方といい、元就とのやり取りがとても好きになりました。 つれづれ日記にしたら面白いんじゃないのかな。
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山間の小領主から、中国地方の覇者となった毛利元就の人生を、これまでとは違った観点から描いている。 永井路子は、元々、歴史を女性の観点から捉え、表面では男中心に作られてきたように思わせられている歴史の裏側を、鮮やかに表舞台に引き出している。 今回の作品でも、中国の覇者たる戦国の梟雄...
山間の小領主から、中国地方の覇者となった毛利元就の人生を、これまでとは違った観点から描いている。 永井路子は、元々、歴史を女性の観点から捉え、表面では男中心に作られてきたように思わせられている歴史の裏側を、鮮やかに表舞台に引き出している。 今回の作品でも、中国の覇者たる戦国の梟雄・策謀家という従来の元就象とは違い、もっと人間くさく、また、晩年の中国制覇よりも、それまでの、弱小国人として、いつ潰されてもいいような存在の中で、巧みに、また散々苦労しながらも、今ならば、もう定年間近という年になって、やっと、勢力を拡大しだしていると言う、猛将とはとても思えない、本来の姿を描き出している。 そして、そんな元就を支え、力となっているのが、妻たちなのである。 この頃の女性は、家と家の為の政略結婚の道具として、悲劇のヒロインとして今までは見られてきたが、作者はそんな悲観的な現代の考えを否定し、いかに彼女達の存在が重要であり、歴史に大きく関わり、また、彼女達自身が、その使命を自覚して実家や婚家のパイプ役として働いてきたかを、実に生き生きと描いているのだ。 この書は、小説ではなく、史論・史伝と言った形態だが、そういう書き方の中でも、作者の表現は実に巧みで、人物がとても生き生きと描かれていて、すごく読みやすい。 戦国時代とは、男だけの世界ではなく、実は、男と女の二人三脚で生き抜かれた時代なのだと、本書で訴えているのである。
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