ダイバー漂流 極限の230キロ の商品レビュー
1989年5月佼正出版社から「流れる海 ドキュメント生還者」を改題・加筆したもの。 1983年新島の鵜渡根のダイビングポイントでハンターを目的としたダイビングを行っていた、福地裕文氏の3日間の漂流の記録である。新島海域から黒潮の本流にのり銚子隠岐60km附近で偶然に通りかか...
1989年5月佼正出版社から「流れる海 ドキュメント生還者」を改題・加筆したもの。 1983年新島の鵜渡根のダイビングポイントでハンターを目的としたダイビングを行っていた、福地裕文氏の3日間の漂流の記録である。新島海域から黒潮の本流にのり銚子隠岐60km附近で偶然に通りかかった漁船に救助されるまでの精神の移ろい出来事を著者が本人から聞き取り仕立てている。 ノンフィクションである。しかし肉声ではないのでどこか構成に脚色がかったところがあり白んだところがある。漂流者の精神状態と肉親の葛藤が交互に表現されているが、第三者の構成によるものなので偶然もそうとは思えなくなる。ただし、漂流者の精神力はよほどの想像力をかき立てないとどのようなものか分からない。三日目には精神が発狂するということは読むだけは分からない。その部分については凄いとしかいいようがない。 ダイビングを行うものは、必ず読んだ方がいい。いらざる恐怖心を持つことはいけないことである。しかし海への畏敬の念と不慣れな環境への技術向上という意味では、読む価値が充分にある。海況判断や泳力、計画性と全体を通しての判断力がダイビングを楽しむためには、必要となることが分かる。自分に足りないものばかりである。 これを読むとファンダイブがつい最近の流行ということがよくわかる。何せ自分の常識では考えられないことが書いてあるのである。まず、ツアーというと水中写真と並んで魚を突くことである。漁業権の関係で今では思いもよらないが、十数年前は、ある程度認められていたということだ。それと表現されているダイビングポイントの生物は、どれも擦れていない。今や至る所のポイントは、荒らされていることがわかる。最後にBCDを使用している人が少なかったという事実である。この中で6人のツアー参加者の内、BCDを着用していたのは、漂流した福地氏だけである。 BCDを付けていないということは、考えられない。凄いことだ。中性浮力、潜行浮上、水面移動を体力一つで行うということである。BCDが、ファンダイブの発展に寄与したという記述には、納得するものがあった。
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ページをめくった手が止まらず気が付いたら一気読みしていた。 スピアガンを持って新島沖で漁をしていた5人のダイバー。 漂流してしまった福地以外は 誰も 獲物をに恵まれなかった。 彼と バディを組んでいた男は 嫉妬と走りもあってか単独行動に走り そのまま浮上する。 福地は全然上がってくる様子はない。 船は一度に島に戻り本廟 持って 現地に戻って捜索にあたる。 しかし見つからず。 バディを組んでいた男は 二乗する前にシュモクザメを見ていたため シュモクザメに食われたという証言をしそれが信じられ 海面の上の捜索はおろそかになる。 福地の方は利島から 黒潮に流されていく。 やがて漆黒の闇が彼を襲う。 幸か不幸か浮上袋に 穴が開いていて 2時間おきに 息を 吹き込む必要があった。 逆にそのことが彼を 刺激し絶望や不安から救った のかもしれない。 加えて沖縄出身の彼は楽天家でもあった。 途中、 漁船が近づいてくるも気がつかなかったのか 離れていったり、 妻がチャーターした捜索機がやってくるも遠ざかってしまったり。 希望と絶望が彼を 生きる気持ちを失わせなかったということもあるのかもしれない。 三日目には 4頭のクジラたちがぐるぐると回るダンスをがあったり 蟹がずっとまとわりついてきたりする。 そして 日が沈む直前の18時40分 漁船が 行ってきて ボートを降ろして銛で彼をつこうとした。 ところが人間だと気が付いたため乗組員は腰を抜かした。 そうして彼は女性に助けられ コップ一杯の水ともの缶詰を与えられ シャワーを提供される。 彼はその時 体力低下からか へたり込んでしまったようだ。 その日のうちに港に戻る。 すると既に報道陣が駆けつけていた。 彼は一晩入院するも大丈夫で翌日には退院、 記者会見をした後に帰った。 そしてその年の ダイビングショップを開いた。 喉の渇きや 空腹感、 睡眠不足。 ずっと海に浸かっていることによる 体力の低下、 排泄をしないことでの 体の中に毒素が溜まってしまうということ など色々と考えられることがあるが、 彼は助かったことは 数々の偶然が重なったのかもしれない。 クジラのダンスや 救出時に 森で狙われたということは 彼が幻覚を見ていたからなのかもしれない。 というのも女性には最初から人間だ 気が付いていたという話を 聞き手の男性が来ているからだ。 ただ3日も ずっと漂っていれば幻覚を見ても当然だろう。 その辺りの判別 できないことが 書かれて待っている所が良いんとしては逆に非常に良かった。数奇な話を読ませてもらった。 大変面白かった。
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実際に太平洋を三日間漂流したダイバーの体験を聞き取って本に起こしたもの。「エンデュアランス号漂流」同様に、最初から結末が分かっているので安心して読めるサバイバルストーリー。 普通は三日以内に絶望して発狂、自殺するという漂流事故の常識の、数少ない例外として何か学ぶべき点があるかと思...
実際に太平洋を三日間漂流したダイバーの体験を聞き取って本に起こしたもの。「エンデュアランス号漂流」同様に、最初から結末が分かっているので安心して読めるサバイバルストーリー。 普通は三日以内に絶望して発狂、自殺するという漂流事故の常識の、数少ない例外として何か学ぶべき点があるかと思ったが。自分が創作した漂流譚がそれほど嘘っぽくないという確認はできたものの、サバイバルの参考になるとは言いがたい。だって本当に僥倖に恵まれたとしか言いようがないんだもの。 エピローグの、救助前後の話が実際に救助した漁船乗組員の話と食い違っているというのは興味深い。これが丸二日以上まともに寝ずに水から顔だけ出して過ごした遭難者の記憶の混乱だったとしたら、三日以内に自殺するという通常の遭難者も同じような記憶の混乱の中で海に身を投じたのかもしれない。 一点だけ気になったのは、人間による環境破壊についてのくだり。筆者の主張なのか遭難者自身が語ったことなのかあいまいな文章が、そこだけ浮いているように感じられた。
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これは小説ではなく、本人の実体験を記したノンフィクションである。 ダイバーなら、だれにとっても他人事ではない「漂流」。そのときどういうことが起こるのか、本書は赤裸々に語ってくれる。 しかし、これは可能な限り避けたい話。 著者が今、この話を武勇伝にして、ダイビングショップを...
これは小説ではなく、本人の実体験を記したノンフィクションである。 ダイバーなら、だれにとっても他人事ではない「漂流」。そのときどういうことが起こるのか、本書は赤裸々に語ってくれる。 しかし、これは可能な限り避けたい話。 著者が今、この話を武勇伝にして、ダイビングショップを営んでいるのはちょっといただけないかな、と思う。
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ダイバーだったら最も経験したくないシチュエーションの一つ、漂流。自分が漂流したらと考えただけで、じわりと冷や汗が出てくる。漂流してしまうきっかけは、ダイバーとしては基本とされているバディシステムをまもらなかったこと。スピアガンで魚を取るのに夢中になってはぐれたってやつ。だが、きっ...
ダイバーだったら最も経験したくないシチュエーションの一つ、漂流。自分が漂流したらと考えただけで、じわりと冷や汗が出てくる。漂流してしまうきっかけは、ダイバーとしては基本とされているバディシステムをまもらなかったこと。スピアガンで魚を取るのに夢中になってはぐれたってやつ。だが、きっかけはどうでもいい。こういう状況は十分ありうる。230キロという距離は海流の速さによってしまうが、問題は時間。3日も海に首まで浸かって一人で漂流していたのだ。海で遭難した場合、食料も水もある救命ボートに乗っていても、3日以内に90%が死亡するのだ。まさに生きるのを「やめて」しまう。それを、3日間も一人で、もちろん食料、水は無し・・・沖縄生まれでポジティブな考え方をする傾向にあるのが生還のキーだったらしい。まじめで臆病なサラリーマンは生き抜けないらしい・・・どうしよう。決して文学的ではないし、名文でもないですが、ドキュメンタリーの迫力があり、生きる力って何なのか、生きようとすることは、どうゆうことなのか、思いをめぐらせてしまう本です。いかにポジティブに考えることが、生き物として重要なことか!海水も1日800mlだったら飲んでも死なないことも初めて知った。漂流中に出会う発光プランクトンや、鯨、カニのエピソードなど、海はやっぱり不思議です。昼でもダイビングの時は水中ライトを持っていこうと思った。夜見つけてもらえるぞ・・・
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体一つで230kmも海を漂って生還した人のノンフィクション。 本人が書いていないのが、残念ポイント。でも、漂流しているときの心境とか出来事とかが結構細かく書かれているので、それなりに移入して読める。 漂流に限らず、海ってこえぇなぁと再確認。 トラブルから生還した人の挿話もあって、...
体一つで230kmも海を漂って生還した人のノンフィクション。 本人が書いていないのが、残念ポイント。でも、漂流しているときの心境とか出来事とかが結構細かく書かれているので、それなりに移入して読める。 漂流に限らず、海ってこえぇなぁと再確認。 トラブルから生還した人の挿話もあって、つくづくすげぇなぁと感心。
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25年前に新島の北5キロにある鵜渡根で、潜水しながら水中銃でハンティングをしていたダイバーのうち1人が漁に夢中になるあまりバディとはぐれて黒潮に流され漂流、56時間後に銚子沖で漂流しているところを近くを通りかかった漁船に救助されたという話(日本ではスペアフィッシングはすべて禁止さ...
25年前に新島の北5キロにある鵜渡根で、潜水しながら水中銃でハンティングをしていたダイバーのうち1人が漁に夢中になるあまりバディとはぐれて黒潮に流され漂流、56時間後に銚子沖で漂流しているところを近くを通りかかった漁船に救助されたという話(日本ではスペアフィッシングはすべて禁止されている)。本書によると「海難者のほとんどが救命ボートに乗って、食料や水に恵まれてなお、2日目か3日目に絶望から発狂し自殺にいたるというパターンが国内のみならず海外の海難者に共通する記録」だそうなので直接海に身体を浸けたまま3日目になって生還したというのは奇跡的なことらしい。助かった秘訣は、読むかぎりラッキーだったというほかはなく、それと本人がとても前向きで楽天的な「南国気質」だということも56時間の漂流に耐えさせたと示唆している。ただしそういう気質の人は事故にも遭いやすいのではないかとも思うけれど……。著者自身ベテランのダイバーでダイビングの事故を防ぐための本を書いているらしく、潜水事故の背景や海の話がいろいろしっかり解説されていておすすめ。
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