饗宴 の商品レビュー
ソクラテスが探偵します。クリトンがワトソンです。 屁理屈大魔王を自認する同志の方々にはきっとお楽しみいただけるかと ^^
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今度は偽書仕立てで、ソクラテスやクリトンやアリストパネスが遭遇した“連続猟奇殺人(ピタゴラス教団の陰謀?)”を、クリトン(ワトスン役)が記述したことになっている。 事件も『黄金の灰』より面白かったが、ナゾや事象を前にしたときのソクラテスの言説や、民主制の全盛期を過ぎ頽廃しつつあっ...
今度は偽書仕立てで、ソクラテスやクリトンやアリストパネスが遭遇した“連続猟奇殺人(ピタゴラス教団の陰謀?)”を、クリトン(ワトスン役)が記述したことになっている。 事件も『黄金の灰』より面白かったが、ナゾや事象を前にしたときのソクラテスの言説や、民主制の全盛期を過ぎ頽廃しつつあった当時のアテナイの状況描写がさらに面白かった。このアテナイって今の日本に通ずるものがあるみたい。10年前の本だけど、10年前からすでにこうだったのか? 特に日本に引き付ける意図によるわけじゃなくて偶然なのか??
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2010/12/11 この人二冊目。各ページに注が入ったり、小説にしては参考文献が多かったり、発掘された偽書らしい雰囲気を出している。
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哲学ってことで敬遠しそうになったのだけれど。これは面白いっ! たしかに哲学的な部分もあるけれど、芯はばりばり本格だもの。 当時のギリシアの生活文化等についての脚注がやけに多くて、うっとうしくないこともない。けれどそれがきちんと生かされているのには脱帽。連続猟奇殺人の真相あたりは見...
哲学ってことで敬遠しそうになったのだけれど。これは面白いっ! たしかに哲学的な部分もあるけれど、芯はばりばり本格だもの。 当時のギリシアの生活文化等についての脚注がやけに多くて、うっとうしくないこともない。けれどそれがきちんと生かされているのには脱帽。連続猟奇殺人の真相あたりは見抜けたので、なんだちょろいじゃん、とか思っていると。例により「肝心の部分」を見落としていて(というか忘れ去っていて)、「やられたっ!」と叫んだ次第。一番地味なのが一番の核心だったのか!
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ソクラテス嫌な奴すぎるだろ!と常に思っていたのですが、こんな理由があったのならば、単なる性悪であったほうがよっぽど救われるよ…。 一つ一つのエピソードの繋げ方・解き方が見事。 りんごのエピソードなんて、当時の風俗も学べて一石二鳥です。 自律の伴わない自由の空しさ。 nobles...
ソクラテス嫌な奴すぎるだろ!と常に思っていたのですが、こんな理由があったのならば、単なる性悪であったほうがよっぽど救われるよ…。 一つ一つのエピソードの繋げ方・解き方が見事。 りんごのエピソードなんて、当時の風俗も学べて一石二鳥です。 自律の伴わない自由の空しさ。 noblesse obligeは確かに必要だ。
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おお,1800円とは読み応えある。副題「シュンポシオン」と「ソクラテス最後の事件」・・・なるほど〜悲劇コンクールで優勝したアガトンの祝宴に招かれたのは,私(クリトン)とソクラテス,喜劇作家のアリストパネス,在外外国人医師のエリュクシマコス,アテナイの名門貴族の四男坊のポロス,美男...
おお,1800円とは読み応えある。副題「シュンポシオン」と「ソクラテス最後の事件」・・・なるほど〜悲劇コンクールで優勝したアガトンの祝宴に招かれたのは,私(クリトン)とソクラテス,喜劇作家のアリストパネス,在外外国人医師のエリュクシマコス,アテナイの名門貴族の四男坊のポロス,美男にも拘わらず出世の為に勢力のある将軍ラケスの娘と結婚したカリクレス,ガルトンの恋人と噂されている色男・パウサニアスの8人であった。話題がピュタゴラス(教団)に終始した夜明け,帰途にポロスが林檎を抱えたまま,アゴラで突然死した。アクロポリスの断崖の裏では,身体を引きちぎられた異邦人の青年の残骸が発見され,近くの枝に引っ掛かっていた革袋の中からピュタゴラス教徒であることを示す銅製の円盤と意味不明のオストラコンが見つかった。新月の夜,アテナイでは女達が集まって狂乱を展開するバッカスの祭が行われていた。密会の最中を目撃された,パウサニアスと老貴族の後妻に収まったクリテュラが,バラバラの遺体と首吊り遺体として発見され,ラケス将軍の娘が夫カリクレスが屋敷と共に焼死した。エリュクシマコスが屈強な召使いに護られながらも変死した。ドラマにならない事実を隠しながら,アリストパネスは劇として謎解きに挑むが,ソクラテスはロゴスにより反駁し,ソクラテスとアリストパネスは毒豆を食べて決着を付けようとする。ソクラテスの謎解きは・・・死後の世界の安寧を模索するピュタゴラス教団の若き兄と妹は確かにアテナイに来たが,バッカスの祭に医師・エリュクシマコスが提供する芥子の実を燃やして狂乱するどさくさに紛れて,不義の子を堕胎する場面に遭遇した兄は,思わず飛び出して,出生前の子を救おうとしたが,麻薬に浮かされた女達によって八つ裂きにされてしまった。堕胎を図ったのは美男が醜女に惚れたことを妬んで醜女を誘惑したパウサニアスであり,堕胎手術に失敗したエリュクシマコスは愛する妻を失ったカリクレスに詰め寄られて心臓麻痺を起こし,名門の名が汚れることを嫌ったカリクレスは予後に死んだ妻と炎に包まれることを選んだのだが,バッカスの祭をピュタゴラスの青年に見せることを仕掛けたのはアリトバネスであった〜ソクラテスが裁判で死刑の判決を受け,饗宴が開かれた時,プラトンは少年であった:はニンジンの毒を呷って死んだのは20年以上の後:真実を知るのは幼馴染みのクリトンしかいない・・・という発想は素晴らしいし,詳しく調べて,上手に並べ替え,ミステリに仕上げる技術と,ギリシア語を訳したように装う表現力は並大抵ではない。いいねえ
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