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NGOとボランティアの21世紀 の商品レビュー

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2009/10/04

NGO活動の論理や機能などを多角的な側面から検証している、NGO活動に関わる人々の必読書です。著者のコーテン(David. C. Korten)は、良いNGOは救援から原因の解決へ、慈善から公正へ、一過性の活動から持続的な発展へとシフトする努力を行っており、団体の使命や価値を進化...

NGO活動の論理や機能などを多角的な側面から検証している、NGO活動に関わる人々の必読書です。著者のコーテン(David. C. Korten)は、良いNGOは救援から原因の解決へ、慈善から公正へ、一過性の活動から持続的な発展へとシフトする努力を行っており、団体の使命や価値を進化させるというNGO世代論を展開しています。 第一世代のNGO:自然災害、飢餓、戦争などの緊急時に被害を受けた人々を対象に食糧、保健衛生、住居など当面欠けているものを補う活動(人道主義的緊急復興支援)を行う。この場合は、NGOが活動主体となり、受益者はその恩恵を受ける受動的な存在である。緊急事態に機敏に対処する人道支援は重要であり、適切に行われるべきものだが、この活動は人々を一時的に救済するだけであり、これでは活動が長期化するにつれ、協力を受ける人々のNGOに対する依存関係が次第に深まってしまう。 第二世代のNGO:協力対象のコミュニティが自ら問題を解決できる能力を高めるための活動(エンパワーメント)を行う。例えば、人々を貧困から救うためには、食糧を供給するのではなく、効果的な食糧生産の技術を身につけさせる必要がある。この段階のNGOは、病気予防のために保健委員会を作りその活動を育成する、農業生産性を高めるためにより良い農法を紹介する、灌漑のための井戸掘りを行い水管理の方法を指導するなどの方法で、コミュニティの自助活動を助ける。この場合、NGOはあくまで外部者であり、住民が主体である。NGOはコミュニティの力を引き出すために外側から協力するという役割を担う。 第三世代のNGO:コミュニティ・レベルの活動を超えて、県や州、国レベルという大きなシステムの政策や制度を変革しようとする。なぜなら第二世代の戦略には、?NGOがもたらした成果を維持するためには、コミュニティはNGOからの国際協力に頼り続けねばならない、?NGOがそれぞれ単独で活動しているため、限られた場所でしか成果を上げられないという限界があるからである。NGOが支援してきた実践を県全体や国全体に普及・波及させるため、地方行政機関や中央政府に対して制度や政策の改善を働きかけるわけである。つまり、持続可能性を保障しようとする。第三世代のNGOは、問題を解決する変革をもたらす触媒者としての役割を担う。 第四世代のNGO:これまでの開発概念を超え、地球規模の課題に取り組む運動を指す。第二世代のミクロレベルでの活動や第三世代のマクロレベルでの活動では、公正で持続可能な開発を達成するためには、活動が限定され世界的な広がりが少ない。第四世代のNGOは、開発途上国と先進国のNGOネットワーク間の連携と協力、情報交換を通じて、より影響力の強い活動として広がりを持つ。 ただ、実際のNGO活動の中には、様々な世代の活動が同居していて、従来の世代の活動を続けながら新しい世代の活動が加わっていくことが多いです。また、必ずしも第一世代が第二世代、第三世代、第四世代より劣っているわけでもないです。そこのところ注意が必要ですね。第一世代の緊急復興支援は災害や紛争時には必要不可欠であるし、この分野を専門としているNGOも多いです。

Posted byブクログ