所有せざる人々 の商品レビュー
2重惑星アナレスとウ…
2重惑星アナレスとウラスを舞台とするストーリー。
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善意を前提に作られたシステムは余裕というか、誰もが未来の心配しなくていい状態にしないとおそらくうまく回らないと思う。作中ですら結局の所無政府状態というけど善意でなく村社会もどきで回してるの当人たちが自覚しつつ、わずらわしく思いながら折り合いつけながらな感じで、うまく回らないなりに...
善意を前提に作られたシステムは余裕というか、誰もが未来の心配しなくていい状態にしないとおそらくうまく回らないと思う。作中ですら結局の所無政府状態というけど善意でなく村社会もどきで回してるの当人たちが自覚しつつ、わずらわしく思いながら折り合いつけながらな感じで、うまく回らないなりにどうにか回ってる社会になってたかと思う。問題はあっても、それでも社会を信じているのはいい事なのやら、思考停止なのやら
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政府をもたず、国境もない オドー主義というアナーキーな思想を持つ コミニュタリアンの星、アナレスと 資本主義的で、男尊女卑の文化を取りながらも 繁栄をするウルスという 双子星を舞台に、 人間の真の幸福とはなにかを問う作品。 資本主義と社会主義のメタファー。 アナレスでも、結局は人の目を気にする、 周りの人間からの暗黙のルールのような しがらみに縛られたりする。 主人公はアナレスからウルスに行き、 資本主義の世界を経験する。 ラストはアナレスに帰って来る。 手ぶらで帰って来るラストが印象的だった。 時系列は分かりにくいし、文章も独特で 読みづらい。 しかし内容は素晴らしい。 読書に慣れた人間が読むべき1冊。
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理想の社会構造ものって言っていいのか 貨幣なし世界だとどうなんだろうと思うけど、その1つのあり様が描かれた作品 お金のことを考えないとどこまでできるのかと言うのは考えたことはあるけど、この作品はソ連みたいな社会主義の顛末を念頭に置いたものっぽい。 プロジェクトヘイルメアリーや機本...
理想の社会構造ものって言っていいのか 貨幣なし世界だとどうなんだろうと思うけど、その1つのあり様が描かれた作品 お金のことを考えないとどこまでできるのかと言うのは考えたことはあるけど、この作品はソ連みたいな社会主義の顛末を念頭に置いたものっぽい。 プロジェクトヘイルメアリーや機本伸司さんの僕たちの終末みたいにお金のこと考えないと凄いことできるみたいな可能性じゃなくて、継続的な生活が描かれていた。
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・・・うーん・・・これは評価が難しいですね。本質的に、SFではありません。SFのフォーマットを土台にした思考実験です。いや、それこそSFか・・・。 と、悩みながら、読了1ヶ月が過ぎようとしております。 社会科学系SFの傑作と評されている作品です。 ル=グィンがこの作品を描いた当時の社会情勢に鑑みて、資本主義の象徴たるウラスと共産主義の象徴たるアナレスを対比して共産主義を称賛する作品である、と表層的な評価をすることも可能な作品ではあります。 ウラスとアナレスの兄弟惑星(物理的には兄弟ではあるが、社会的には隔絶の彼方にある両星)の社会描写が流石のル=グィン節で、とにかく重厚にして精緻。登場人物の心理描写も丁寧です。その分、ストーリー展開は遅々として進まず、主人公・シェヴェックの心身の動きにだらだらと付き合って、最終的によくわからないラストシーンに至る・・・という、小説としては不完全燃焼極まる作品です。 鴨的には、一読しての印象は、資本主義/共産主義の対立項は正直どうでも良いな、と思いました。 ウラスでもアナレスでも、シェヴェックにとって心の休まる場所はない。ウラスでは自身が打ち立てた研究成果を横取りされて絶望し、アナレスならこの成果を広く人類社会に周知できるはず、と意気込んで亡命したものの、アナレスはその成果を金に変えようと企む者たちばかりだった・・・ここでも絶望し、ウラスに残る妻と子の元に帰還することを望むシェヴェックの姿を描いて、この物語は幕を閉じます。 ・・・厨二病かよヽ( ´ー`)ノ と、リアルな資本主義社会に生きる鴨は、思ってしまうのですね。 主人公シェヴェックの価値観がブレまくり過ぎて、結局自分自身の小さな王国を守りたいだけじゃん、と。 ・・・まぁ、でも、人間って、そういうもんですよねヽ( ´ー`)ノ 理想主義に満ちた作品です。ル=グィンも、その辺は重々承知して書ききった、大人の寓話だと思います。 社会経験を積んだこの歳になって読むことができて良かった、と鴨は思います。若いうちに手を出せる作品じゃないなー。
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なんだろうこれは。すごいものを読んでしまったのに、この本の世界は、私たちのいる現実であってまったくの異世界でもある。 この本の「人間」というものが、わたしたちと同じ形をしているかもわからないのに、悩んだりそして(まやかしであっても)解決策を見つけようとしたり、他を上と見たり下と見...
なんだろうこれは。すごいものを読んでしまったのに、この本の世界は、私たちのいる現実であってまったくの異世界でもある。 この本の「人間」というものが、わたしたちと同じ形をしているかもわからないのに、悩んだりそして(まやかしであっても)解決策を見つけようとしたり、他を上と見たり下と見たり、またはそういう上下関係が全ていやになったりすることは普遍的な問題であって、それが描かれているために、異世界の話なのに妙に身近な問題の手ざわりがする。 集会シーンは、ハクスリーのすばらしい新世界のオマージュかなと思った。
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最初はなかなか慣れず、アナレスとウラスのセクションの時間軸が今ひとつわからなかった。最後まで到達してようやく理解でき、読み終わった直後にもう一度読み直した。 『闇の左手』にも記載したが、そもそもル=グィンのハイニッシュシリーズはSFというジャンルなのだろうか。 確かに異星の物語...
最初はなかなか慣れず、アナレスとウラスのセクションの時間軸が今ひとつわからなかった。最後まで到達してようやく理解でき、読み終わった直後にもう一度読み直した。 『闇の左手』にも記載したが、そもそもル=グィンのハイニッシュシリーズはSFというジャンルなのだろうか。 確かに異星の物語で近未来という意味ではSFだが、文化や人に焦点が当てられていることを考えると、異星というのはただの舞台に過ぎないように感じる。 ル・グィンの素晴らしい点は、やはりその精密な世界構築だ。描く世界の文化や気質、時には歴史など、説得力のある世界を描く。今回は一般に資本主義の象徴のように語られるウラスと、共産主義のアナレスという2つの世界だ。 もちろんフィクションなので、これら2つの世界はある意味極端で、それをもとに現実の世界を語ることはできない。思考実験的な要素もあるのかな、と思う。 ただ、どちらの世界にも理想と現実があり完全ではない描写は、物事を二元論で語りがちな私達には少し立ち止まって考えさせるきっかけになるのではないだろうか。 描かれるアナレスとウラスは、ハイニッシュ・ユニバースの中では比較的文化的発展途上にあるようだ。作中にはおそらく地球であるテラという星が登場するが、テラは若干発展しているようで(西暦2300年らしいが、地球人はあと300年でここまで成熟できるだろうか?)、むしろアナレスとウラスに現在の地球の世界を投影してしまう。ナショナリズム的思想が強くなっている現在はなおさらだ。 さて、主人公シェヴェックはアナレスとウラスの両世界を知ることによって、本当の、そしてこの世界で唯一のアナーキストになったわけだが、彼はこれからどう世界に影響を及ぼすのだろうか。 改めて作品だが、異なる時間軸の2つの世界を交互に描くという手法は、もしかしたら読者に混乱をもたらすかもしれない(少なくとも私は混乱した)が、最後にここに到達するのか、という種明かし的効果があり、クライマックスを盛り上げる方法としては素晴らしいと思う。なるほど、と頷くラストだ。 主人公は、私には少々偏屈な人物に思え感情移入は難しいが、ウラスに向かう、あるいはウラスで貧困層を探しに出かけるためには必要なキャラクターだったのだろう。 とても素晴らしい作品だとは思うが、若干私には難しく心を動かすまでには至らなかったので、私的には★4。 私にもう少し賢さがあれば★5だったかも。
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SF小説の必読書と言われる本書。SFファンとしては読まずにはいられない!ということで読んでみた。 果たして、必読かと問われれば、微妙かもしれない。SFファンとしてはそれなりに楽しめたけれども、人に勧められる自信があまりない。 何しろ長い。560ページだ。しかも本書の構成は少し...
SF小説の必読書と言われる本書。SFファンとしては読まずにはいられない!ということで読んでみた。 果たして、必読かと問われれば、微妙かもしれない。SFファンとしてはそれなりに楽しめたけれども、人に勧められる自信があまりない。 何しろ長い。560ページだ。しかも本書の構成は少しトリッキーで、過去と現在が交互に描かれる。 主人公がアナレスという星で暮らしていた過去と、ウラスという星にやってきた現在は、各々数十ページの文量を割いて交互に登場する。 そんな構成のせいか、個人的に面白いと感じ始めたのが400ページ辺りからだったw しかも、さすがのル・グィン。文化描写に余念が無い。人々の生活や思想の説明がこれでもかと描かれるので、苦手な人は苦手だと思われる。 そんな本書の最大の特徴が何かと問われれば、「文化の越境」かもしれない。 (長くなってしまうので省略。続きは書評ブログに書きましたのでそちらでどうぞ) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%96%87%E5%8C%96%E4%BA%BA%E9%A1%9ESF%E3%81%AE%E6%9C%80%E9%AB%98%E5%B3%B0_%E6%89%80%E6%9C%89%E3%81%9B%E3%81%96%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%80%85_%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%82%A3%E3%83%B3
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人間にとっての理想郷はどこにあるのか? この小説の主人公であるシュヴェックとともに、読者である自分もそんなことを考えていました。 経済の繁栄した自由主義・資本主義的な惑星のウラス、自由や平等をモットーに荒廃した惑星を切り開いてきた、共産主義的な惑星のアナレス。 歴史、政...
人間にとっての理想郷はどこにあるのか? この小説の主人公であるシュヴェックとともに、読者である自分もそんなことを考えていました。 経済の繁栄した自由主義・資本主義的な惑星のウラス、自由や平等をモットーに荒廃した惑星を切り開いてきた、共産主義的な惑星のアナレス。 歴史、政治、文化、言語……、回想と現在を行ったり来たりし、二つの惑星の違いを丹念に浮かび上がらせていく、その詳細さは、本当に二つの世界があるように思わされます。 シュヴェックは共産主義的な惑星のアナレス出身。そんな彼は、経済や文明が繁栄しているウラスの光、そして闇も先入観なく見つめます。時間や仕事に囚われ、芸術にすら価値をつけ、自由なはずなのに資本を所有し、拡大させることを生まれながら義務づけられたウラスの人々。 シュヴェックのウラスの人々に感じる疑問は、そのまま今の世界を生きる自分たちの矛盾点をついてきます。 しかし平等や共有を謳い「所有せざる」ことを美徳としてきたウラスも、その理想通りにいかない現実があることが、シュヴェックの回想から徐々に浮かび上がってきます。それは気高い理想を持ちながらも、保身や欲から逃れられない人間の限界を示しているように思います。 では結局、理想郷は無理なのか。僕個人的には悲観的なのですが、でも物語の結末を見ていると、こういう人たちが一人でも多く増えれば夢ではない。そんな風に希望のボールを読者に委ねる、そんなラストだったように思います。
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ル・グィンの未来史シリーズ”ハイニッシュ・ユニバース”のひとつにして、ヒューゴー賞、ネビュラ賞ダブルクラウンの本書は550頁を超える長篇小説です。 地球と月のような関係にある二重惑星のウラスとアナレス。いまアナレスからひとりの人物がウラスの地に降り立とうとしてる。人物の名はシェ...
ル・グィンの未来史シリーズ”ハイニッシュ・ユニバース”のひとつにして、ヒューゴー賞、ネビュラ賞ダブルクラウンの本書は550頁を超える長篇小説です。 地球と月のような関係にある二重惑星のウラスとアナレス。いまアナレスからひとりの人物がウラスの地に降り立とうとしてる。人物の名はシェヴェック。アナレスの植民後、ウラスへのはじめての渡来者となる彼は銀河を覆すほどの重要な理論を携えていた… 物語は平坦です。手に汗握る攻防もなければ、ドラマチックな感動もありません。物語は終始、舞台となる二重惑星ウラスとアナレスの歴史、文化、政治や社会情勢、そして倫理感といったものの説明に費やされるのです。だからかどうか、頁は遅々として進まず、読了するのに時間がかかりました。 しかし、そういった退屈さを補って余りあるほどの魅力が本書にはあります。それは(解説の言葉を借りるならば)象徴やアレゴリーといったものでしょうか。 惑星ウラスは長い歴史を誇り、豊かな社会を築いていますが、惑星アナレスは植民してからわずか二世紀あまり。大地は瘦せ、砂と埃が飛び交う世界。そして、ウラスを離れ真の自由を求めるオドー主義者が生きる惑星です。 ウラスが我々の大量消費社会と類似するならば、アナレスのオドー主義者は「所有しないこと」を美徳とし、それがあらゆる束縛から人々を解放し、真の自由を体現するものと考えています。そこには国家はなく、人々は食料や物資を共有して生活しているのです。これが真の自由を求めるものたちのユートピア? しかし、現実は異なります。オドーの思想から逸脱するものへの社会的な制裁。そこには異なる思想を束縛し、嫌悪する世論が蔓延しているのです。同じ思いを共有する人々にとっては不都合ないかもしれませんが、そうではない人々にとっては自由ではありません。また、不毛な大地による貧しさは常態化し、行動は大幅に制約されています。貧しさと自由が反比例するのであれば、アナレスはまったく理想郷ではないでしょう。ちなみに、主人公シェヴェックはオドー主義者ですが、自信が考案した理論が社会に受け入れられず、また、アナレスの偽りの自由への反発もあり、彼の理論を分かち合うためウラスへと旅立つことになるのです。 一方のウラスは富に恵まれた惑星ですが、そこには貧富の差があり、自由の度合いは人によって異なります。また、国民は国家に属しており、国家を超えた自由はないのです。 本書は自由の理想と現実、そして矛盾をあらわしているようで、自由なんて深く考えたこともないので、読み進めるうちどんどん物思いに耽ってしまいました。 解説で引用されるル・グィンの言葉(人物を描く)の影響もあるかもしれませんが、どうも著者はこの自由を描こうとして、あるいは自由に対する著者の考えを記そうとして、ウラスとアナレスの世界を創造したようには思えないんですよね。むしろ、そこに描かれるのはウラスとアナレスの事実だけであって、著者の考えはないのかも。だからこそ、そこに読者として考える隙間があって、いわゆる象徴やアレゴリーを見いだせるのかもしれません。
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