「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち の商品レビュー
様々な女性達。大江な…
様々な女性達。大江ならではの激情感アンドクール。
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読了したのは年始。めでたく2026年最初の1冊ということになった。 読んでいる間、ずーっと目眩がするような言葉の嵐。これはあまりにも初めての体験で、ほんとに同じ言語を使ってるのかしら?と自信がなくなりそうでした。その中でも、自分なりに考えることや感じることはちゃんとあって安心し...
読了したのは年始。めでたく2026年最初の1冊ということになった。 読んでいる間、ずーっと目眩がするような言葉の嵐。これはあまりにも初めての体験で、ほんとに同じ言語を使ってるのかしら?と自信がなくなりそうでした。その中でも、自分なりに考えることや感じることはちゃんとあって安心した。 でも、それをちゃんと自分の言葉に置き換えて理解することが本当に難しい。どんな新しい考えを得たかということよりも、こういう文章が、こういう作品が、これを書くことのできる人が世界に存在するんだ!ということが知れたのが、いちばん大きな学びだったかも。 また、もっと大人になってから読み返したら、もっと違う気持ちが生まれるのかもしれません。
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玉石混淆 この小説に似つかはしくないひと。 1.エンターテインメントを読みたいひと。 2.悩んでゐないひと。 3.長文の構文に慣れないひと。 4.大江健三郎に興味がないひと。 5.性描写が苦手なひと。 すくなくとも万人向けではない。スランプ期のもので、うじうじ悩んでる。文...
玉石混淆 この小説に似つかはしくないひと。 1.エンターテインメントを読みたいひと。 2.悩んでゐないひと。 3.長文の構文に慣れないひと。 4.大江健三郎に興味がないひと。 5.性描写が苦手なひと。 すくなくとも万人向けではない。スランプ期のもので、うじうじ悩んでる。文章も描写も自分語りも長く、冗長ではある。後期の小説のやうに、距離を置いてさっぱりしたところもない。 読み通したわりには骨折損と感じるひとが多いか、あるいはすぐ投げ出すか。 このなかでおもしろいと感じるのは「「雨の木」の首吊り男」と「泳ぐ男―水の中の「雨の木」」。高安カッチャンとペニーは私にとってはどうでもいい印象。 大庭みな子や富岡多恵子、柴崎友香など女性作家がこれをほめたのは謎だ。(ただし、解説の津島佑子はあまり多くを語ってゐないので、察するところがある。) 「頭のいい「雨の木」」 この連作短篇集の中では、もっとも文体構文が晦渋。形容句がどこに係るか、きちんと見きはめないといけない。ハワイの会議で来た施設が、じつは精神病患者の叛乱にあってゐたといふ筋。だからなんだといふ気がする。 「「雨の木」を聴く女たち」 アル中の高安カッチャンとペニーの関係を、アル中の『活火山の下で』のマルカム・ラウリーとその妻になぞらへる。 実際に死んだ中央公論社の編集者の塙の葬儀を、TV局の斎木犀吉。その妻を国際作家のファムファタル。と落しこんで私小説っぽい。ここの国際作家がどうも川端康成か、ガルシア・マルケスのことらしい(小谷野敦)。 そして、現実にこの短篇を読んだ塙の実の妻に絶交される。(「筒井康隆全集 24」大江健三郎の解説) 読めばわかるけど、大江はどうやらアル中で、だからラウリーに惹かれたらしい。しかし『活火山の下で』自体、大江以上に難解である。 「「雨の木」の首吊り男」 メキシコが舞台で、ユーモアがある。 この作品集のなかで、まづ、これがおもしろく読めた。むろん長いが、雰囲気としてもメキシコの幻惑的なものがあるし、大学エル・コレヒオ・デ・メヒコの同僚といふ人物のキャラクターは好きだ。 最後の言葉もいい。 「さかさまに立つ「雨の木」」 「頭のいい「雨の木」」同様、ハワイのシンポジウムの描写が退屈で長い。没後、朝日新聞記者の記事に、大江が自身の作品のなかでこの短篇がいちばん晦渋だといってゐた。(https://www.asahi.com/articles/ASR3N4TZ6R3JUCVL03S.html)当人もさうおもってゐたんだ。と思った。 やはり大江がスランプだったことの證左だ。 ストーリー。かの高安カッチャンのペニーから手紙が届く。「「雨の木」を聴く女たち」で高安カッチャン矮小に描写したを僕を非難する内容。 そして、日系アメリカ人の宮沢さん。核の話をハワイでしてほしいので、シンポジウム後、僕を迎へにくるといふ。 当日のシンポジウムの描写につづき、シンポジウムでペニーに再開する。カッチャンの息子が父親の草稿に感銘を受けて、バンドを組んでLPを出した。バンド名は「地獄機械」。このLPジャケットのイメージがラウリーのさかさまに立つ樹木だった。 終って、ホテルで待つが宮沢さんは来ない。ラジオを聞くとカルメ焼きの話題。(この部分はちょっと面白い。) 翌朝水泳に出て、悪い夢を見た怒りにまかせて泳ぎつづける。その僕をペニーはとらへてゐて、 ――やはりプロフェッサーだった。と声をかける。 ――これから、「雨の木」のある施設に行ってみようか? ――「雨の木」? しかし私たちは死んだ人のことより、生きている人間のことをしよう。 LPを聞くためにアパートに誘ふ。 そこで、僕とペニーはセックスし、終って、ペニーはかういふ。 ――私と高安の性交は、この一、二年高安が衰弱してきた後も、数は少なかったが、そのたびにうまくいった。それは良い性交(グッド・ファック)でした。(…)プロフェッサー、死んだ人のことより生きている人のことを、といったけれども、やはり死んだ人のことに戻ってしまったね。 こんな女性像は妙にエロティックで、しかし実在はしないだらう。 「泳ぐ男―水の中の「雨の木」」 市川沙央がこれを読んで衝撃を受けた。――破廉恥。といってゐた(YouTubeの世田谷文学館より)。たしかに性的体験の暴露があり、グロテスクなほどだ。村上春樹めいた、いやそれ以上だ。 これは『静かな生活』の最終話にも少し出てきた内容で、プールの乾燥室をめぐるOLと水泳青年と主人公・僕の関係を描く。 もし大江がミソジニーなら、これがさうかもしれない。しかし、私はストーリーを楽しむといふ点ではありだ。
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お得意のノンフィクション風フィクション。 人外の想像力を感じさせる、個人的大江文学全盛期の傑作。 高安カッチャンを筆頭とした登場人物と描かれるオーケンの分身のやり取りがとにかく滑稽で面白い。 その滑稽さと、作者が心のうちに秘めている“雨の木”へのひたむきで純粋な想いのコントラス...
お得意のノンフィクション風フィクション。 人外の想像力を感じさせる、個人的大江文学全盛期の傑作。 高安カッチャンを筆頭とした登場人物と描かれるオーケンの分身のやり取りがとにかく滑稽で面白い。 その滑稽さと、作者が心のうちに秘めている“雨の木”へのひたむきで純粋な想いのコントラストに胸を打たれる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「頭のいい「雨の木」」★★★ 「「雨の木 」を聴く女たち」★★★ 「「雨の木」の首吊り男」★★★ 「さかさまに立つ「雨の木 」」★★★ 「泳ぐ男 : 水のなかの「雨の木」」★★
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頭のいい「雨の木」 「雨の木」を聴く女たち 「雨の木」の首吊り男 さかさまに立つ「雨の木」 泳ぐ男―水のなかの「雨の木」 第34回読売文学賞 著者:大江健三郎(1935-、愛媛県内子町、小説家) 解説:津島佑子(1947-、三鷹市、小説家)
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暗宙に伸び、世界を覆い尽くすレインツリー。 それは暗黒の中でも目の前に在る。詳しい描写はないし、連作短編集だけどレインツリーの関連が希薄なんだけど(カッチャンやペニーの方が分かりやすい)、イメージとしての存在感がすごい。 劣等感と誰かと繋がってなにかの意味を生み出そうとする切望と...
暗宙に伸び、世界を覆い尽くすレインツリー。 それは暗黒の中でも目の前に在る。詳しい描写はないし、連作短編集だけどレインツリーの関連が希薄なんだけど(カッチャンやペニーの方が分かりやすい)、イメージとしての存在感がすごい。 劣等感と誰かと繋がってなにかの意味を生み出そうとする切望と。 言葉が連綿と続き修飾節だらけで格も変わり、述語がもはや対応してるのかよく分からない。そういう意味では読みにくいけど後半は割り切って流すことにした。 あまり大江健三郎を読まないのだけど、ちらちら知的障害を持つ息子と原爆のワードが出てくるのは共通なのかしら?
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「「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち」(大江健三郎)を読んだ。救済の象徴であるような『雨の木』をめぐる物語はしかし読み手の感情を抉るように鋭利である。自分の中に一本の『雨の木』があればと思う。最後の「泳ぐ男---水のなかの「雨の木」」に対する違和感が拭えないよ。難しいなあ。
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甘ったれた男の物語と読むこともできる。初期の短編の完成度に比べれば、どこか未整理なままを見せることを目的としているような節もある。ただ、凝り固まった思い込みを捨てれば、やっぱり豊かなイメージに溢れた氏の作品は単純に面白く(首吊り男は笑っちゃうし、泳ぐ男はミステリー調にも読める)、...
甘ったれた男の物語と読むこともできる。初期の短編の完成度に比べれば、どこか未整理なままを見せることを目的としているような節もある。ただ、凝り固まった思い込みを捨てれば、やっぱり豊かなイメージに溢れた氏の作品は単純に面白く(首吊り男は笑っちゃうし、泳ぐ男はミステリー調にも読める)、短編は読みやすい。
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正直この小説はよくわからない。理解し得たという実感がない。しかし何かが面白いのだ、だからずんずん読んでいる。
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