1,800円以上の注文で送料無料

花よりも花の如く(4) の商品レビュー

4.1

20件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    9

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/22

能楽師お仕事コミック4巻目。 憲人たちは招かれて、ニューヨークで講演を行うことになる。能の海外公演はそう珍しいことではなく、世界各地で行われる。その際、公演だけでなく、現地の人向けのワークショップなどがつくこともある。 今回の公演の演目は「恋重荷」。なかなかの難曲である。 菊の...

能楽師お仕事コミック4巻目。 憲人たちは招かれて、ニューヨークで講演を行うことになる。能の海外公演はそう珍しいことではなく、世界各地で行われる。その際、公演だけでなく、現地の人向けのワークショップなどがつくこともある。 今回の公演の演目は「恋重荷」。なかなかの難曲である。 菊の世話をする庭師の老人が、高貴な女御を垣間見て恋してしまう。女御に仕える者が言うには、女御もこのことを知り、あることをすれば姿を見せてくださるとのこと。 美しく作られた荷を持って庭を百回、千回回れというのだ。 容易いことのようだが、しかし、美しい見た目とは裏腹に、荷は老人にはとても持ち上げられぬ重い重いものだった。 精魂尽き果てた老人は女御を恨みながら死んでしまう。 老人の死を知って庭にやってきた女御は老人の亡骸を見てその死を悼む。しかしその体は岩に押さえつけられたように動けなくなる。 そこへ老人の亡霊が現れ、女御を責め苛む。 しかし、一度は恋した相手。老人は最後には女御を許し、女御の守り神となろうと言い置いて消えてゆく(姫小松の葉守の神となりて 千代の影を守らんや)。 そもそも女御が老人にはとても無理なことをさせようと思ったのは、その思いが叶わぬことを暗に告げようとしたのだという。しかし、「恋」の焔はそんなことで消せるものではなかった。恨み骨髄の老人は、それでも女御を許すのだ。 しかし、「千代」も女御の影となり守るという誓いは、果たして女御にとって本当に救いなのだろうか。自身のためにあたら命を落とした老人のことを終生忘れられぬ、それはある意味、「呪い」ではないのか。 一方で、女御が恋を忘れさせようと難題を吹っ掛けたその気持ちは、純粋に同情だけだったのだろうか。ただ諦めさせたいと思うだけなら、もっとよい方法もあったのではないか。 恋の辛さを象徴する「重荷」も含めて、演じる者・見る者それぞれにさまざまな解釈の余地がある話である。 憲人が演じるのは「女御」。初めて演じる難曲の難役。しかも異国の地である。 人種差別も目の当たりにし、迷いながら演じる憲人が最後に辿り着く境地は。 もう1本の主題は「杜若」。 憲人はシテ(主役)の杜若の精を演じる。 在原業平が詠んだ「<か>らころも <き>つつなれにし <つ>ましあれば <は>るばるきぬる <た>びをしぞおもふ」(歌に「かきつばた」の五文字を詠み込んでいる)にちなんだもの。能には伊勢物語を題材にした演目がいくつかあるが、この曲は出てくるのが人物ではなく杜若の精であるのが特徴。業平の冠と、恋人であった高子の唐衣を着て舞う。 憲人は旅先でよい面を見つけ、高額だったものの買い求める。今回の「杜若」にはぴったりではないかと思ってのことだったが、師匠には今回は使わないようにと言われてしまう。理由はわからないまま(この面はまた後に出てくるらしい)。 物語には、憲人だけでなく、さらに下の立場の内弟子たちも出てくる。彼らの葛藤や成長も読ませどころ。

Posted byブクログ

2022/12/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分は絶対だ、と思うことは 誰でもあるのではないだろうか。 真剣にやっていれば当然自分の考えもあり 自信もあるわけだし。 自分は絶対だと思うことこそ一番良くない、と言う憲ちゃん。 でも髪を染めろということかと言うと「別にどうでもいい」。 言い草が憲ちゃんらしい。 「茶髪でも黒髪でもあなたはあなた」。 簡単なようでいて、難しい。 憲ちゃんに心配されていたけれど 楽くんがしっかり兄弟子の顔をしていて 素直に謝る直角も良いシーンだった。

Posted byブクログ

2018/10/12

日本の伝統芸能・お能を代々継承する、フツウの青年のお話です。成田さんらしく、お能のお舞台やしきたり・行事、衣装も細部まできちんと描かれ、そのうえ人間の内面描写も優れており、読みごたえある作品だと思います。能楽界では、マンガで描くことを快く思わない向きもあるそうですが、まずは「お能...

日本の伝統芸能・お能を代々継承する、フツウの青年のお話です。成田さんらしく、お能のお舞台やしきたり・行事、衣装も細部まできちんと描かれ、そのうえ人間の内面描写も優れており、読みごたえある作品だと思います。能楽界では、マンガで描くことを快く思わない向きもあるそうですが、まずは「お能を観てみたい」と思わせるだけでも充分じゃないかと。今どき、お能を一生観ない人も多いでしょうから。4巻ではNY公演も!!成田さんの大好きなアメリカですよ。差別的な扱いを受けたりもしますが、人間は本当は分かりあえるという希望をもたせたお話となっています。この巻に収録されたお話の連載中、能の詞を達筆な毛筆で書いていた成田さんのお父様が亡くなられたそうです。美しい字はとても好きでした。ご冥福をお祈りいたします。

Posted byブクログ

2016/03/31

あぁ、日常の積み重ねだなぁと思います。 もちろん、能の世界なんていうのは、わたしたちにとっては、かなり非日常のことで、そういうしらないところを覗く興味もあるのですが。 でも、この物語のキャラクターたちにとっては、とっても、日常的なことです。 そうしてそれは、やっぱり、わたしたち...

あぁ、日常の積み重ねだなぁと思います。 もちろん、能の世界なんていうのは、わたしたちにとっては、かなり非日常のことで、そういうしらないところを覗く興味もあるのですが。 でも、この物語のキャラクターたちにとっては、とっても、日常的なことです。 そうしてそれは、やっぱり、わたしたちのまわりでもありえるような風景だなぁと思います。

Posted byブクログ

2013/05/01

再読中。 あれ、最近ガクくんがあんまり出てこないなー。 彩紀ちゃんとのことも気になる。 てか、メガネありのころとなくなってからと ケントの印象もずいぶん違う。 カラが敗れたのかな。

Posted byブクログ

2011/06/20

荷は人間の醜い面の象徴で今日の菊はその逆じゃないかと。女御がいつか誰かに恋をしても本当に見守り続けるように思えて切なかったです

Posted byブクログ

2010/08/13

デビュー時からのファンとして、この作品が「あいつ」以来大好きな作品になりそうです。とても丁寧な心理描写に加え、相変わらずどこをとっても美しすぎる筆致・・・。やっぱり読み続けてしまうのです。ワタシもやっぱり楽ちゃん派です(^^)

Posted byブクログ

2010/07/25

ニューヨーク編。 海外公演というもののいろんなことが、肌では感じられ話。 本当にこの話は憲人、そして周囲の人達の成長物語だなぁ。 それと密かに楽ちゃんにすごさが、いろんな角度で現れていましたね。 ボギャ不足も含めて。 思いを読み取る能力以上に、人のことを常に考えて悟って動けると...

ニューヨーク編。 海外公演というもののいろんなことが、肌では感じられ話。 本当にこの話は憲人、そして周囲の人達の成長物語だなぁ。 それと密かに楽ちゃんにすごさが、いろんな角度で現れていましたね。 ボギャ不足も含めて。 思いを読み取る能力以上に、人のことを常に考えて悟って動けるということが、あれが彼の何よりの宝なんじゃないかと思います。 彼はただ、相手がなるべく良い状態でいられるように、という思いで心を砕いているだけなんだろうけど、本当に才能というか、彼の心根が現れている話だと思う。 それが女の子に発揮されれば、あの容貌だしむちゃくちゃモテると思うけど、彩紀ちゃんとのことを思うと、可愛いくらい奥手で微笑ましい。 楽ちゃんガンバレ!

Posted byブクログ

2009/12/24

楽が、市祐先生が手袋無くして困っていたのを見つけ、何の迷いも無く探してあげたのが凄いと思う。この後に、市祐先生も普通にありがとうとお礼を言っているのにも感動した。 その人の一面だけをみて、決め付けるのは違うのだな・・・ 心が清涼になる気がする。 成田先生のこういったエピソードが大...

楽が、市祐先生が手袋無くして困っていたのを見つけ、何の迷いも無く探してあげたのが凄いと思う。この後に、市祐先生も普通にありがとうとお礼を言っているのにも感動した。 その人の一面だけをみて、決め付けるのは違うのだな・・・ 心が清涼になる気がする。 成田先生のこういったエピソードが大好き❤

Posted byブクログ

2009/10/07

「光る軌跡〜恋重荷」「天気晴朗なれど波高し〜杜若」 けんちゃん@NYですよ! 作品中の年度が99年という事で、ツインタワー健在! 成田作品はたいていそうだけど、NY編は作者のメッセージが強く、ストレートに現れていますね。だけど、ただ重たいのではなくてちゃんとストーリーに織り込ま...

「光る軌跡〜恋重荷」「天気晴朗なれど波高し〜杜若」 けんちゃん@NYですよ! 作品中の年度が99年という事で、ツインタワー健在! 成田作品はたいていそうだけど、NY編は作者のメッセージが強く、ストレートに現れていますね。だけど、ただ重たいのではなくてちゃんとストーリーに織り込まれていて自然な流れなのが流石。 彩紀ちゃんは本当にお嬢様なのね。可愛い。 この4巻は楽くん大活躍!

Posted byブクログ