虹色のトロツキー(文庫版)(1) の商品レビュー
日本漫画史に残る傑作。満洲を舞台にした物語としても出色で、史実に基づいてリアルに描いたという点では「龍(ロン)」をはるかにしのいでいる。 ラスト。もともと何も争いのない土地に勝手に国境を引いて殺し合う、その不毛な行いに主人公は叫ぶ。生い立ちをめぐるサスペンスであり、学園青春もの...
日本漫画史に残る傑作。満洲を舞台にした物語としても出色で、史実に基づいてリアルに描いたという点では「龍(ロン)」をはるかにしのいでいる。 ラスト。もともと何も争いのない土地に勝手に国境を引いて殺し合う、その不毛な行いに主人公は叫ぶ。生い立ちをめぐるサスペンスであり、学園青春ものでもあり、権謀術数の政治物語でもあり、この作者でなければ描けない壮大な作品だ。欲を言えば、さらに時代を広げてソ連侵攻、そして終戦後も…というところだが、そこは作者自身が後書きで断っているので納得できる。
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モンゴルやノモンハンに興味が湧いて再読する。 植芝盛平がカッコよかった、川島芳子がイロっぽかった、しか記憶に無い。 あらためて、安彦良和の神筆ぶりに感嘆する。 背景からワク線に至るまで、安彦イズムが透徹している。気を抜いて描かれたモブキャラに、マンガらしさが横溢している。...
モンゴルやノモンハンに興味が湧いて再読する。 植芝盛平がカッコよかった、川島芳子がイロっぽかった、しか記憶に無い。 あらためて、安彦良和の神筆ぶりに感嘆する。 背景からワク線に至るまで、安彦イズムが透徹している。気を抜いて描かれたモブキャラに、マンガらしさが横溢している。 本作を第三者が手伝うとして、スクリーントーンを貼るのがせいぜいだろう。 ただ、安彦さんがアニメ映画の演出を手掛けると、あれあれあれ……? 残念な仕上がりに終るのが摩訶不思議だ。
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軍隊ものは思想的な部分が気になるというか、「日本万歳」的な視点で書かれていると抵抗を感じてしまうのだけども、今のところはそういったことはなさそう。しかし国問わず組織って色々と複雑な事情で動いていくなぁ・・・。
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戦前・戦中の満州で何が行われていたか。一人の若者の生きざまを、どの思想にも偏らずに、必死に追いかけて描き出してくれたという感想。これは多くの人に読んでほしい。
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昭和初期の満州国を舞台に当時メキシコに亡命していたレフ・トロツキーを満州に招く「トロツキー計画」とノモンハン事件がモチーフになっている。 昭和初期、幼い頃トロツキーに似た何者かに家族を虐殺され、自身も記憶を失った日蒙混血の青年ウムボルトが建国大学(建大)に編入してくるところから話...
昭和初期の満州国を舞台に当時メキシコに亡命していたレフ・トロツキーを満州に招く「トロツキー計画」とノモンハン事件がモチーフになっている。 昭和初期、幼い頃トロツキーに似た何者かに家族を虐殺され、自身も記憶を失った日蒙混血の青年ウムボルトが建国大学(建大)に編入してくるところから話が始まる。この青年ことそが、トロッキーを満州に招くキー人物であり、トロッキー計画の推進派、阻止派や様々な思惑に翻弄されながら、ノモンハン事件までのウムボルトの生き様を描く作品です。 この漫画を読んで初めて、旧満州に建国大学があったことを知った。この建国大学は「五族協和」を理念としたものである。この五族とは、日本系・満州(中国)系・朝鮮系・蒙古(モンゴル)系・白ロシア系のことであり、この五族が協和して満州国を発展させて行く思想を持った大学であった。 物語では、当時のこの五族の様々な面が描かれており、今日の東アジアを考える上でもとっても参考になる物語です。近代の歴史の教科書を読むより、よっぽどこの時代を知ることができる1冊です。 ちなみに著者の安彦良和さんの作品では、「王道の狗」「天の血脈」もおすすめです。
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なんか話が込み入っているわりにはもりあがるところがない。はっきりいってつまらない。 続きを読むべきかどうか迷うなあ。
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[ 内容 ] [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った...
[ 内容 ] [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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大陸へのロマン満載。よく言われることだが、最後は息切れしている感があり、少し残念。歴史のうねりや、恐ろしさが強く前面に出ている。
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作品の終わらせ方の下手さに定評のある安彦氏だけれど、『虹トロ』は見事。ウムボルトの上海での体験から最終巻のノモンハンに向け、見事に各人各様の孤独を描ききっている。「孤独」とはもちろん他者に理解されないことであり、たいていの場合舞台にその他者を配置する必要がある。正珠爾礼布中校に...
作品の終わらせ方の下手さに定評のある安彦氏だけれど、『虹トロ』は見事。ウムボルトの上海での体験から最終巻のノモンハンに向け、見事に各人各様の孤独を描ききっている。「孤独」とはもちろん他者に理解されないことであり、たいていの場合舞台にその他者を配置する必要がある。正珠爾礼布中校には蒙古人の民族主義を潔しとしないウムボルトを、野田少佐には日本式のやり方でしか兵を指導できなかった過去の自分を、田中隆吉大佐には手を汚したがらないすべてのエリート軍人を、西貞久小校には増援をよこさない司令部を、そして誰のどの作品にも悪役として描かれる辻政信参謀にさえ、荻洲立兵中将という無理解者が配される。それによって、作中でナレーションされる彼の行く末を、単なる思い上がりの暴走ではないものとして描くことに成功している。 しかしもっとも心に残るのは石原莞爾中将の孤独だ。ここでは石原と共感できるはずの尾崎秀美を批判する藤田松二という無理解者の「自由主義者というんですかね。まるでアカですな」という言葉を背に、全く違うことを考えながら汽車に乗りこむ彼の姿が描かれる。「ノモンハンに……」という彼のつぶやきは、彼の最大の信奉者でありながら最大の無理解者である辻と、息子的立場であるウムボルトの存在を読者にイメージさせる。 そしてノモンハンでのウムボルトの死には「第二次世界大戦、始まる−」という、人類全体の相互無理解を示すナレーションが添えれられ、本編の幕は閉じられる。そして少し幸せなエピローグ。 いまのところの安彦氏の最高傑作。
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自分の好みに合うと思う。 なんとなくあこがれてしまう時代・場所。 満洲國を中心に、陸軍の謀略と抗日レジスタンスの抗争を活写した秀作。 どこまで詳しく調べてるんだ、と驚いちゃう。
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