夜叉御前(文庫版) の商品レビュー
〇濃密さにくらくらする。 「時じくの香の木の実」 一族の掟で姉と二人、干した果実を食べさせられる。どちらかが永遠に歳をとらない者になるという。私は勝った。聴覚と引き換えに。 ←賢く強い少女の怒り 「キルケー」 山奥で最後のバスを逃してしまった中学生4人と小学生1人。家の灯りを...
〇濃密さにくらくらする。 「時じくの香の木の実」 一族の掟で姉と二人、干した果実を食べさせられる。どちらかが永遠に歳をとらない者になるという。私は勝った。聴覚と引き換えに。 ←賢く強い少女の怒り 「キルケー」 山奥で最後のバスを逃してしまった中学生4人と小学生1人。家の灯りを見つけ、助けを求めたが…。 ←最初のイヌたちは…、そうか。 「鬼来迎」 漁村の村に住み込みで働くことになった。美しく優しい茶道の先生と面倒見のよい先輩のお手伝いさん。そして、怯える子ども。 ←女の鬼が1番怖い 「笛吹き童子」 ・石笛 遺産を巡る親族。祖母は孫娘に笛を吹かせる。 ←引導 ・笛吹き童子 楽の音を誰よりも愛しているが楽の才能が無い秦氏の総領息子。ある日、精霊に笛を預けられる。 ←苦労は買ってでも。 「海底より」 人気アイドルだった女の子が視力を失い、人も仕事も離れていき、親戚の家で養生することになる。平家ゆかりの土地で、琵琶の音と平家一族の物語に絡め取られていく。 ←あわいを歩いているよう。 「夜叉御前」 家族で山奥の一軒家に越してきました。でも、この家はよくない。私はすぐにわかりました。鬼がいるのです。 ←母ではなく鬼を選んだか…。
Posted by
2018.11.2高校図書館(長女) 前に私が買った「天人唐草」に触発されたのか、同じ山岸凉子の自選作品集を図書室で借りてきた。怖いの好きなのね… 鬼や怨霊と狂気だらけでどれもすごく怖かったけど、そのなかで「笛吹き童子」の第2話だけはちょっと救いのある話で好きだった。(箸休め?)
Posted by
恐ろしくも魅惑的な著者の短編作品6編を収録しています。 「時じくの香の木の実」は、巫女の家に生まれた腹違いの姉妹の物語。「キルケ―」は、山の中で道に迷ってしまった少年・少女たちが、不気味な洋館の女主人のもとで一夜を過ごす話。「鬼来迎」は、生け花の先生のもとに住み込みで働くことに...
恐ろしくも魅惑的な著者の短編作品6編を収録しています。 「時じくの香の木の実」は、巫女の家に生まれた腹違いの姉妹の物語。「キルケ―」は、山の中で道に迷ってしまった少年・少女たちが、不気味な洋館の女主人のもとで一夜を過ごす話。「鬼来迎」は、生け花の先生のもとに住み込みで働くことになった若い女性が、彼女の息子の世話をすることになり、おそろしい運命に巻き込まれる話。「石笛」は、遺産相続で揉めている家で、一人の少女が祖母にみちびかれて醜い争いを繰り広げる親族たちに裁きをもたらす話。「笛吹き童子」は、雅楽頭の家に生まれながら才能を発揮できずにいた青年が、苦労の末に笛の神の寵愛を受けることになる話。「海底より」は、目が見えなくなった元アイドルの少女が琵琶法師のように平家の怨霊によって海底へとみちびかれる話。「夜叉御前」は、禁断の行為におよんだ家族の崩壊を、娘の見た幻想を通じてえがきだした作品です。 表題作の怖さが群を抜いていますが、そのほかの作品も民話にモティーフをとりながら幻想的な作品世界をつくりだしていて、はずれがありません。どれもおもしろく読みました。
Posted by
少女漫画なのですが、「漫画」のカテゴリーに入れざるを得ない。 低温やけどをする漫画(集)第一位ではないだろうか。 そーっと後ろから人間の業を語りかけられ、振り向くことも出来ないままぶるぶると震えるしかない・・・ そんな話が詰められている。
Posted by
自選作品集 (文春文庫)で、これが一番充実してる気がする。 時じくの香の木の実、と、夜叉御前、がSA
Posted by
「時じくの香の木の実」日向と日影、「永遠に年を取らない者」になるのはどちらか一人。 「キルケー」山で帰り損ねて見知らぬ女性の館に泊まることになった5人は…。 「鬼来迎」都会の仕事に疲れ、住み込みをすることになった海辺の家には優しい先生と不気味な子どもが…。 「笛吹き童子」(一話:...
「時じくの香の木の実」日向と日影、「永遠に年を取らない者」になるのはどちらか一人。 「キルケー」山で帰り損ねて見知らぬ女性の館に泊まることになった5人は…。 「鬼来迎」都会の仕事に疲れ、住み込みをすることになった海辺の家には優しい先生と不気味な子どもが…。 「笛吹き童子」(一話:石笛)遺産目当てで駆け付けた親戚たち。/(二話:笛吹き童子)楽器の修復はできても楽の才のない直行は絶望して家を出たが… 「海底より」視力をなくした元アイドルと平家物語。 「夜叉御前」越してきた家で見える恐ろしいもの…夜叉と黒い物の正体は。 「時じくの香の木の実」「鬼来迎」「夜叉御前」が印象的。「時じく…」は日向も日影もそれぞれにかわいいと思えてしまって困るなあ。「夜叉御前」は途中でわかっちゃうけど描き方が良かった。 「笛吹童子」の第二話:笛吹童子が唯一のハッピーエンド…かな?
Posted by
父親の子を産まされる少女の現実離れした哀しい世界を表現した表題作を含む6作品を収録した自選集。 う~ん。 山岸さんの世界観は、読後感が悪くてあまり好きじゃないなぁ~。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「日出処の天子」で、はじめて山岸涼子を読み、実はホラー漫画が得意?ということを知った。「日出処~」でも、聖徳太子の不思議な能力を、不気味なサイキックかのように扱っていて、それが原因で聖徳太子は卑屈なほど孤独感にさいなまれ、どんどん不気味化していくように描かれている。 山岸涼子は、人によっては根深いところで抱えている「負」の心情を掘り起し、それが何かをきっかけに不気味な形で露呈するかのごとく描き、私たちはそれを「ホラー」として読み取っている。怖いな、気味が悪いな、と思いつつ、「あーわかる、私にもこういうネガティブな気持ちを持ったことあるわ」みたいな共感もあったりして、背筋がゾクっとするような怖さは不思議とない。 でも…。 結構、内容が難しくて、結局何が言いたかったのかよくわからず、私はWebでネタバレを読んで納得した感じ。 うーん、、、嫉妬とかひがみとか、そういうのはわかるんだけど、ちょっとストーリーが難しいな、これ。。。 ということで、★2つ。 ■時じくの香の木の実 巫女の話。橘の実を食べた二人のうち、一人は死んで霊となり、一人は巫女となるものの、情愛にかられ、巫女としてタブーな破廉恥なことをやってしまい、巫女の座からおろされる話。 ■キルケー 気に入った人間の男を自分の住むアイアイエー島へ連れて行き、飽きたら獣に変えてしまうギリシャ神話の魔女キルケーを題材にした作品。山で迷った5人の中学生が、魔女の館にたどり着き、そこでどんどんペットにされていく的な話。 ■鬼来迎(きらいごう) 鬼が来る怖いよーと意味不明のことをつぶやく息子は、精神疾患がある男子かと思いきや、母親(未亡人)に虐待されていたらしい。鬼とは実は母親のことで、手首も母親に切り落とされ…。最後は、津波が襲い、ジ・エンド。息子の怨念か、亡くなった父親の怒りか。 ■笛吹き童子 これ、よく覚えていない。ホラー?なのか…??? ■海底より 平家物語と現代のクロス。かつては人気アイドルだった女子が、目の疾患にかかり、どんどんネガティブ志向にはまっていく話。もう生きていても仕方ないよな…となったとき、壇ノ浦の平家の怨霊たちが、海に引き込もうとする。 ■夜叉御前 夜叉(鬼)だと思っていたら、実は強姦されていたというサスペンスホラー。要は、父親に強姦されていて、気が狂ったということらしい。
Posted by
これぞ怪談と言っていいような珠玉の名作ばかりの自選作品集 そこには品があり、ぞくり、ぞくりと肌で感じさせる描き方は感心させられるばかりである 時代も様々なのに、どれも面白い! 怪談も今がどうとか関係ないということに気づかさせました
Posted by
- 1
- 2