桃 の商品レビュー
戦前の日本が舞台の耽…
戦前の日本が舞台の耽美的な短編集。カバーイラストが良いです。
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短編集。美しいことは…
短編集。美しいことは美しいのですが、女性の描き方が少々粘着質なので、苦手な方もいるかもしれません。
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智内兄助のカバーイラ…
智内兄助のカバーイラストが印象的。和風の短編集です。好き嫌いはあるかもしれません。
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久し振りに手に取った久世光彦は、桃にまつわる短編集。やはりこの方の小説は耽美な幻想と市井の生臭さが違和感なく両立しているのが凄い。どうしたって我々読者を魅了して止まない、陰であり魔的な引力がある。かといって、儚い陽の雰囲気も皆無なわけではなく…。うーん好きだ。 「桃色」同族嫌悪と...
久し振りに手に取った久世光彦は、桃にまつわる短編集。やはりこの方の小説は耽美な幻想と市井の生臭さが違和感なく両立しているのが凄い。どうしたって我々読者を魅了して止まない、陰であり魔的な引力がある。かといって、儚い陽の雰囲気も皆無なわけではなく…。うーん好きだ。 「桃色」同族嫌悪とはまた違う、悪癖極まる父親と息子の歪んだ繋がり…父子に挟まる余所者の淫らな女…。咽せ返るような性と肉のにおい…。 「むらさきの」権力ある祖父の愛と威厳と血飛沫と、それによって産まれた悪意の渦。その血を引く孫娘はいつまでもその渦の中で生きて、乱れて、飲まれて消えた。 「囁きの猫」猫とのひとときをこんなに官能的に書くことある???猫と女とひっそりと過ごした男の最期は…。 「尼港の桃」収録作で一番久世光彦でございという作品だと思う。今際の際で陛下を慕い呼ぶ父親…そしてそれをただ見下ろす妻子…。家族より何より陛下を愛した父親に、子どもは何を思うのか…。 「同行二人」フグ毒の解毒のために人糞食わせるのマ?????と思ったら吐かせて治す当時の迷信の一種だったらしい。怖過ぎる。 「いけない指」お恥ずかしながら不勉強なもので、ここで井上日召を知りました。血盟団事件…一人一殺…右翼…兄と妹…昭和初期の生臭いにおい…。うーん久世光彦だ…。 「響きあう子ら」母親の淫らな幻視の血を引く紺屋の三姉妹。それでも妻を愛おしんでいた父親の最後の台詞が…言い様もなく好きですね…。 「桃ーお葉の匂いー」女衒の子、妾の子、どれも等しく桃の子に違いない。
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勝手に言うなら、概ね不幸な女子の話である。 そして概ね、流行りの言葉で言うなら、性的に搾取されているとでも言うべきか。 そこには必ずやってる男子がいて、それを読むオッサンとしては、けしからんとなる。いやー、この気持ちはオッサンにしか分からんか。 と言っても最初の話はニャンコとオッ...
勝手に言うなら、概ね不幸な女子の話である。 そして概ね、流行りの言葉で言うなら、性的に搾取されているとでも言うべきか。 そこには必ずやってる男子がいて、それを読むオッサンとしては、けしからんとなる。いやー、この気持ちはオッサンにしか分からんか。 と言っても最初の話はニャンコとオッサンの話で、いちいちオッサンがいやらしい気持ちでネコを見るという実に気持ち悪くて最高である。 こういうのでいいんだよ、と言いたい。
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桃に纏わる官能的な八つの短編。 久世さんは二.二六事件や血盟団事件など、好みのモチーフを描いてくれるから嬉しいのだけど、なにぶんやり過ぎてしまう。ここで止めておけば品がいいのに、こってりと盛り付けるから、文学を通り越して演歌や昭和歌謡になる。それもまた魅力でもあるのだけれど。 濃...
桃に纏わる官能的な八つの短編。 久世さんは二.二六事件や血盟団事件など、好みのモチーフを描いてくれるから嬉しいのだけど、なにぶんやり過ぎてしまう。ここで止めておけば品がいいのに、こってりと盛り付けるから、文学を通り越して演歌や昭和歌謡になる。それもまた魅力でもあるのだけれど。 濃厚な味付けでちょっと胃もたれ気味。 とはいえ「むらさきの」と「尼港(ニコライエフスク)の桃」それから、〆の「桃 お葉の匂い」は素晴らしい。この三編だけでも充分価値ある短編集。 「桃色」ちょっと嫌悪感。女性に対する妄想部分で、どうしても相入れないところがあるのだなー。でも、久世さん、これが好きなんだね。この後にも、同じようなシチュエーションが何度も出てくるから。 「むらさきの」は上村一夫的な、不良少女がイカしてる。この作品こそ、久世さんらしい、俗っぽさと聖性の危ういバランスが光っている。 「尼港(ニコライエフスク)の桃」は謎解きの楽しみもあり、物語の楽しさをたっぷり堪能。最後の「桃」は久世さん思い入れの女の名前、「お葉」が登場する怪談。怖いというより、可愛らしく、物哀しい物語。
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桃にまつわる、昭和初期の怪しくも美しい物語8編。現代よりもより死が身近であった時代。傍では悪い人生だったであろうに、当人にとって本当のところはどうだったのだろうか?がテーマか。全て佳作であるが、「尼港」の首と父の晩年、「指」のひどい仕打ちの客観視、「二人」の間際の救い、「響き」の...
桃にまつわる、昭和初期の怪しくも美しい物語8編。現代よりもより死が身近であった時代。傍では悪い人生だったであろうに、当人にとって本当のところはどうだったのだろうか?がテーマか。全て佳作であるが、「尼港」の首と父の晩年、「指」のひどい仕打ちの客観視、「二人」の間際の救い、「響き」のもう一度同じ境遇に生まれ変わり、もう一度繰り返せたらよいねという送り言葉の4編が特に気に行った。
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色気のある文章で綴られた短編集です。官能的な物語の中にも静謐な美しさがあります(官能小説ではありません) これも智内兄助の表紙ですね。物語の世界を良く体現していると思います。
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蕭々館日録が好みだったのと、表紙が智内さんだったこと、文庫でかさばらないことから買った。総評:エロい。 崩れた桃は、色を濃くして芳香を放つ。おんなだって。それでも食ってくれるのなら幸せじゃないか。・・・そんな男のエゴ。いいけどさ。
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熊本の老舗・長崎書店のユニークな文庫本キャンペーン 「La!Bunko」で、セレクターの一人として推薦させてもらったのが この本。 むせ返るようなエロティシズムの中にも知性と上品さを感じさせる 久世ワールド満載の短編集。 この世界を新作で味わえなくなったのが惜しまれてならない。
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