カント超越論的論理学の研究 の商品レビュー
『純粋理性批判』の「超越論的論理学」についての研究書です。 著者は「あとがき」で、「本書で私が試みたのは、カント自身が考えた道筋をありのままに浮かび上がらせること以外にはない。斬新なカント解釈ではなく、カントをしてカント自身を語らしめることを本書はめざした」と述べています。ただ...
『純粋理性批判』の「超越論的論理学」についての研究書です。 著者は「あとがき」で、「本書で私が試みたのは、カント自身が考えた道筋をありのままに浮かび上がらせること以外にはない。斬新なカント解釈ではなく、カントをしてカント自身を語らしめることを本書はめざした」と述べています。ただし、カントと同時代の哲学的潮流のなかで彼の思想の位置づけを明らかにするような研究ではなく、あくまで『純粋理性批判』の解読を通じてカントの格闘した哲学の問題そのものへと参入することをめざした本ということができるように思います。 著者の論証のプロセスはたいへん精緻になされており、とくに原則論の解釈では、カントがニュートン力学の基礎づけをめざしたという通説に異議をとなえ、より基礎的な意味における経験の可能性の条件を解明することがそこでの議論の成果であるという見方が提出されていて、興味深く読みました。個人的には、カント自身がニュートン力学に対してどのような位置づけをあたえていたのかという点にかんしては若干の疑問がのこりますが、原則論そのものの意義については著者の議論は、非常に説得的だと感じました。
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