悪魔のような女たち の商品レビュー
娼婦となって敵討ちを…
娼婦となって敵討ちをする女性など、個性豊かな女性達を描いた短編集。「悪魔のよう」だとは、あまり思いませんでした。
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19世紀フランスの作家だそうですが、もう一昔前の感じですね・・・ 昨日とは打って変わって、スレた読者にオススメします〜 一筋縄ではいかない貴婦人揃いですよ^^/ ■ 深紅のカーテン 下宿の娘と通じた下士官。 或る夜に逢瀬の最中に突然死されてしまい。 死体を担ぎ、両親の部屋を通って彼女を戻す根性もなし。 どうしたかというと・・・うわ、酷いわあ。 ■ドン・ジュアンの最も美しい恋 母親の愛人に恋した少女の思い込み。 でもこの話のフォーカスは愛人の昔話を聞く 1ダースの熟女達の牽制振りでしょう。 「もしシャーベットを食べることが罪悪であれば、 もっと甘美な味わいがあろうに」・・・だそうです ^^; ■罪のなかの幸福 豹の鼻面を黒手袋で打つ黒衣の女剣士の格好良さ・・・に 尽きませんのよ、この話は! 夫と愛人に毒殺されていく妻の屈辱まみれの貴族の矜持こそが 真骨頂! ■ホイスト勝負の札の裏側 偽善的で高潔ぶった特質を表す「オノラビリティ」って言葉。 ググっても見つかりませんがな・・・ 夜毎に木犀草を咥え、茎を噛み砕く女主人が その噎せ返る芳香で隠そうとしていたものは? ■無神論者の饗宴にて ノルマンディ人は自分の財産を「私の現実」と呼ぶそうです 。^^。 聖櫃を胸元に隠し、神に飢える人々に神を食べさせた女も、 子どもの干からびた心臓で互いの顔を殴りあう夫婦も タイガイですが、私の印象に残ったのは、 息子のいるときだけ吝嗇家でなくなる、疱瘡の後遺症で目は赤く、 内側に巻き込まれるようになった睫毛を切ったせいで眩む眼差しを 庇う仰け反りが高慢さをいや増す老メニルグラン。 ■ある女の復讐 若い公爵夫人は男を一目見て、予感した。 警告したのに夫は無視した。そして。 夫は妻の眼前で愛人の首を落とし、心臓をえぐる。 妻はそれを食わせろという・・・ ってのにさらに!枠がつくんですの、この話。ひええ。
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「深紅のカーテン」アヌーク・エーメの映画を見たい。 「罪のなかの幸福」不倫の毒殺者オートクレールは確かに悪魔のような女だが、殺されるサヴィニー伯爵夫人の名誉意識(「あの男だけの問題ならば、この世のすべての死刑台に吊してやりましょう! あの男の心臓だって食べてみせましょう。」と言いながら、家名のために悪事を秘す)のほうが怖さでは上をいっている。 「ある女の復讐」プラトニックな恋人を夫に殺されたシエラ=レオネ公爵夫人の復讐=最下級の娼婦になって性病で野たれ死ぬことによって家名に泥を塗る、サヴィニー伯爵夫人と逆のようで同じことの表裏のような。
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【08.7.5/図書館/鹿島茂の書評大全から】 発行年が1874年といえば、フランスではすでに貴族社会からブルジョワ社会に移行してしまっています。 退廃の色濃い内容の短編が六編。多くは読み始めに多少の退屈さを感じるのだけれども、その話の核となるべきヒロインが登場した瞬間に、光が射...
【08.7.5/図書館/鹿島茂の書評大全から】 発行年が1874年といえば、フランスではすでに貴族社会からブルジョワ社会に移行してしまっています。 退廃の色濃い内容の短編が六編。多くは読み始めに多少の退屈さを感じるのだけれども、その話の核となるべきヒロインが登場した瞬間に、光が射すように、寧ろあでやかな毒花が咲くように、グイグイと内容に引き込まれて行くようになる…。 物語の舞台は、大体復古王制〜七月王制期、というところでしょう。 様々な形の「女」が登場します。そしてなんというデカダン! 発行年の時代背景を考えると、実質上の発禁処分になったというのも頷けます。 そして八年後(だったかな?)に再販で復活を果たしたというのも頷けるというか。 (ちょうどこの時期、夫婦のあり方や離婚問題が変化していく過渡期でもあったはずなので) ちなみに作者のドールヴィイは、貴族出身で、死ぬまでブランメル的なダンディを貫き通したそうな。
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