宝くじ戦争 の商品レビュー
宝くじにかける思いは…
宝くじにかける思いは現在に至るまでつづいている。
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ノンフィクションライターによる宝くじ創業史。現在は鬼籍に入ってしまった当初関係者たちによく取材していて、当時の興奮が伝わってくる。3時間くらいで読める本。 戦費調達の最終手段として始まった宝くじの前身、勝札。郵便貯金が戦時体制の賜物であることは知られているが、宝くじも戦中戦後...
ノンフィクションライターによる宝くじ創業史。現在は鬼籍に入ってしまった当初関係者たちによく取材していて、当時の興奮が伝わってくる。3時間くらいで読める本。 戦費調達の最終手段として始まった宝くじの前身、勝札。郵便貯金が戦時体制の賜物であることは知られているが、宝くじも戦中戦後の政府の資金調達を担っていたことは知らなかった。郵貯対比では財源効果は限られるものの、「不浄のカネ」の取扱を勧業銀行のビジネスとして企画し、実現した主人公たちの気迫やアイデアには圧倒された。 江戸時代の富くじは博打と同レベルに近く、寺社勧進の為には必要悪と考えられながら、時に庶民の射幸心を煽りすぎ、禁止されることもあった。それが大戦最終盤で日本政府による勝札として実現し、猛烈な空襲下でも大きな反響を呼ぶ。戦後はインフレ対策や復興対策として、終戦直後から宝くじに衣替えしつつも再開され、やがて政府が手を引いた後は現在の全国自治宝くじの姿を整えていく。空襲下でも闇市の時代にも売り捌き人たちは街頭で庶民に夢を売り・・・と、こんな歴史があったんだ、と思うと、従来よくわからなかった有楽町チャンスセンターの行列の光景も、少し理解できた。
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