母親 の商品レビュー
母親 1848年3月 あの子は私の子守歌を聴いてくれた。私の腕の中で、優しく揺らすゆりかごの中で。時に笑いながら、眠りながら、泣きながら。あの子に歌ってあげたたくさんの歌を、聴いてくれる子がもういないなんて信じられない。 茨を抱きしめて全身から血を流しても、あの子を失った痛みを...
母親 1848年3月 あの子は私の子守歌を聴いてくれた。私の腕の中で、優しく揺らすゆりかごの中で。時に笑いながら、眠りながら、泣きながら。あの子に歌ってあげたたくさんの歌を、聴いてくれる子がもういないなんて信じられない。 茨を抱きしめて全身から血を流しても、あの子を失った痛みを覆えない。 目が潰れるほど涙を流しても、涙が枯れ果てるほど涙を流しても、悲しみは流れていかない。 豊かな美しい黒髪が、ひからびた白髪に変わってしまうほど苦しんでも、まだ苦しい。 ずっと信じられない。ずっと痛い。ずっと悲しく、ずっと苦しい。 それでようやく喪失と生きていける。 モミの木 1844年 なんてむなしい人生なんだ。楽しめるうちに楽しんでおけば良かった。 自分の居場所を無分別に離れると…。 それっていけないことか? 衝動に身を任せないと手に入らない人生もあるかもしれない。 感じられるものを味わい尽くすのはいつでも難しい。
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子どもを死神にさらわれた母親の物語。母親は歌を歌い、血を流し、目玉も髪も差し出して死神の後を追う。 幼いころこの話を紙しばいで見て、強い印象を受けた。どこかに元の話があるはずだ、と長年思い続けて、今日ついに発見!この感動が、今のところ物語そのものの感動を上回ってしまっている。 さ...
子どもを死神にさらわれた母親の物語。母親は歌を歌い、血を流し、目玉も髪も差し出して死神の後を追う。 幼いころこの話を紙しばいで見て、強い印象を受けた。どこかに元の話があるはずだ、と長年思い続けて、今日ついに発見!この感動が、今のところ物語そのものの感動を上回ってしまっている。 さて改めて読んでみて思ったが、これはたいへんな力を持った話であると同時に、あらゆる意味で紙しばい向きでない話である。あきれてしまった。
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