蒼龍 の商品レビュー
作者の初期における5…
作者の初期における5つの短編集。タイトルの「蒼龍」が、第77回のオール読物新人賞を受賞し、作家への大きな一歩となったものらしい。その後の長編作に繋がるモチーフも散りばめられており、作者のファンであれば、十分に楽しめる。
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表題作の『蒼龍』含む5つの短編が収録。いずれも江戸時代を生きる市井の職人、商人、武士たちが主人公。 読者に想像させる大胆な終わり方が印象的。 『のぼりうなぎ』・・・職人が大店の手代に転職して四苦八苦する話。現代でもありそうな話である。 『筋わかれ』・・・現代のビジネスでも通じそ...
表題作の『蒼龍』含む5つの短編が収録。いずれも江戸時代を生きる市井の職人、商人、武士たちが主人公。 読者に想像させる大胆な終わり方が印象的。 『のぼりうなぎ』・・・職人が大店の手代に転職して四苦八苦する話。現代でもありそうな話である。 『筋わかれ』・・・現代のビジネスでも通じそうな、商人の話。 『菜の花のかんざし』・・・個人的に一番好きかも。憎いところで話は終わる。人によっては消化不良かもしれないが。 『長い串』・・・ラストのタイトル回収はお見事。 『蒼龍』・・・落語の人情噺にありそうな物語。作者の遍歴も知って読むと、なお感慨深い。
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4.0 山本一力の小説を初めて読んだけれど、なんとなく先が読めながらも感動できるので、好みなのかもしれない。次はあかね空を読む。
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良いですね。山本一力。 上記のように最後の「蒼竜」を除いては2001年に発表された作品です。山本さんが「あかね雲」で直木賞を受賞したのが2001年ですので、ちょうどその頃の作品になります。 一方「蒼竜」はデビュー作です。本人があとがきに書いているように、荒っぽさもありますが、...
良いですね。山本一力。 上記のように最後の「蒼竜」を除いては2001年に発表された作品です。山本さんが「あかね雲」で直木賞を受賞したのが2001年ですので、ちょうどその頃の作品になります。 一方「蒼竜」はデビュー作です。本人があとがきに書いているように、荒っぽさもありますが、新鮮な力も感じます。膨大な借金を背に新天地での活躍を狙う、自らの体験を時代小説に映した作品です。 どの作品も時代小説らしいしっとりした情緒の中で、物語が悲惨にならずポジティブです。そして爽やかな読後感が得られます。そこが山本一力さんの魅力ですね。 お勧めです。
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作家初期の作品で短編5編集でしたが、どの話も良かったですね!江戸時代の清々しい人間模様を描いた作品ばかりで、まさに下町の人情にふれた作品ばかりでした。「菜の花かんざし」だけは時代の悲しい宿命を描いた作品でしたが。 貧乏でもしっかりと生きていく主人公の姿や家族を含む、まわりの絆(支...
作家初期の作品で短編5編集でしたが、どの話も良かったですね!江戸時代の清々しい人間模様を描いた作品ばかりで、まさに下町の人情にふれた作品ばかりでした。「菜の花かんざし」だけは時代の悲しい宿命を描いた作品でしたが。 貧乏でもしっかりと生きていく主人公の姿や家族を含む、まわりの絆(支え)を描くのが作者の真骨頂ですね! すっかり山本一力ワールドに、はまった私は、これから作品を読み進めていきたいと思う今日この頃です!
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時代物短編。 5つの短編のうち、最初の『のぼりうなぎ』と 『菜の花かんざし』は最後どうなったのか。 妙な所でくぎられ、後は想像にお任せします状態? どう転んだのかが気になります。 主人公も様々で、職人だったり店の若君だったり 武家だったり大工だったり。 おかげで色々な生活やら...
時代物短編。 5つの短編のうち、最初の『のぼりうなぎ』と 『菜の花かんざし』は最後どうなったのか。 妙な所でくぎられ、後は想像にお任せします状態? どう転んだのかが気になります。 主人公も様々で、職人だったり店の若君だったり 武家だったり大工だったり。 おかげで色々な生活やら考え方やらが分かります。
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短編5編。オール讀物新人賞受賞作でもある表題作『蒼龍』は作品単体で魅力的であるが、著者の投影(解説によれば)である事を知れば、その凄味はいや増す。選者をして『このひとが新人賞に応募し、私が原稿料をもらう違いは何か』といわしめたエピソードは惹きつけられた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「あかね空」を読み終えたあとだと、どこか物足りない感はあった。 それでも「あかね空」の下地としてしっかり読み応えはあったし、なにより自らの境遇と重ねたと勘ぐってしまうような「蒼龍」の展開。終わり方はぼかしてあるが、筆者の境遇を考えればきっと誉なのだと確信できる。
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山本一力さんの短編集。 ストーリーは長編と同じくワクワクしたりしみじみしたり出来るんだけど、 短編なので、わくわくドキドキのピークで終わっちゃうのが寂しい。 まぁこの方の作品って、いつも最後が尻切れトンボな感じなので一緒と言えば一緒なのかもしれないけれど、 やっぱりそこまでの話...
山本一力さんの短編集。 ストーリーは長編と同じくワクワクしたりしみじみしたり出来るんだけど、 短編なので、わくわくドキドキのピークで終わっちゃうのが寂しい。 まぁこの方の作品って、いつも最後が尻切れトンボな感じなので一緒と言えば一緒なのかもしれないけれど、 やっぱりそこまでの話が面白いだけに、分かっていても、その後の続きも読みたい!と思ってしまうんですよねぇ~。
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この人の時代物って巧いんだなあああやっぱり! 派手な物語ではないけどね、心に響く人情や粋な姿が本当にイイ! これはデビュー作を含む本だから、作者のキャリアが浅いうちに書いたものだと思うのだけど、とてもそうとは思えない落ち着いた雰囲気がいい。 特にお気に入りなのが以下の3話。 「の...
この人の時代物って巧いんだなあああやっぱり! 派手な物語ではないけどね、心に響く人情や粋な姿が本当にイイ! これはデビュー作を含む本だから、作者のキャリアが浅いうちに書いたものだと思うのだけど、とてもそうとは思えない落ち着いた雰囲気がいい。 特にお気に入りなのが以下の3話。 「のぼりうなぎ」:両方の立場が解るのよ。ただ、もうつらい。これはつらい。でも変わるんだな、という希望が覗く最後はね温かい。 「節わかれ」:粋な話! 単純に面白いし気持ちがいい! 「菜の花のかんざし」:切ない…! 武士としての己と父親としての自分の間で揺れ動くのが、切ない。 面白かった。
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