平安のマルチ文化人 空海 の商品レビュー

頼富本宏(著者)

2020/02/09

NHKの『人間大学』で放送された内容にもとづいて書かれた本です。

本書では、「情報」と「癒し」というキーワードを中心にして、空海の生涯と思想をわかりやすく解説するというコンセプトが採用されているのですが、著者はすでに同様のコンセプトで書かれた『空海と密教―「情報」と「癒し」の扉をひらく』（2002年、PHP新書）を刊行しており、本書の内容との重複がめだちます。

とはいえ、前著では空海の思想についての解説が極度に切り縮められていたのに対して、本書ではもうすこしくわしい説明が見られます。また曼荼羅の解釈についても一章が割かれており、部分的には前著よりも有益な内容が含まれています。

前著同様、空海の生涯と思想についての概要を理解するのに有益な本だと思います。