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物語の哲学 の商品レビュー

4.2

12件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2026/04/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。けど、新鮮な内容はあまり無かった。それでもなお、文庫でこれほどにしっかり書いてある物語論の本というだけで価値はある。

Posted byブクログ

2026/03/21

過去の出来事についての「物語文」は、歴史上の客観的な出来事との対応に根拠を求めることはできず、むしろ「物語る」行為によって構成されているという解釈学的な発想を基礎としつつ、分析哲学における議論をも参照しながらそうした考えかたを掘り下げて考察している本です。 著者は、物語文にもと...

過去の出来事についての「物語文」は、歴史上の客観的な出来事との対応に根拠を求めることはできず、むしろ「物語る」行為によって構成されているという解釈学的な発想を基礎としつつ、分析哲学における議論をも参照しながらそうした考えかたを掘り下げて考察している本です。 著者は、物語文にもとづく歴史哲学の特徴を鮮明に示すために、それに対立する発想にもとづいて理解された「理想的年代記」をとりあげます。ラプラスのデーモンになぞらえられる超人的な能力をもつ記録者によって作成されたその詳細な記録には、時間的な前後関係をなす複数の出来事のコンテクストにもとづく「物語文」をふくんでいないため、雑然とした叙述の堆積にとどまるといわなければなりません。 こうして著者は、物語文に独自の意義を発見するとともに、客観的な事実との対応をうしなってしまうという帰結を受け入れ、歴史的な事実にかんする整合説の立場を標榜します。そこで著者が参照するのが、クワインやクリプキといった哲学者たちによる、分析哲学における議論です。物語るという行為は、虚構の世界を構築することであり、そこで指示されている対象をどのように位置付ければよいのかという問題をめぐって、著者はクリプキの提唱した指示の因果説を拡張し、物語を語ることと聞くことの双方が成立する共同体のなかで、指示行為が成立するという主張を展開します。さらに、自然主義の立場にとどまっていたクワインの全体論の制限を撤廃し、より包括的な整合説を打ち出しています。 また、かならずしも本書の主題ではないとはいうものの、柳田國男の民俗学が、こうした著者の議論をナヴィゲイトする役割をはたしているという点も、興味深く感じました。文学における「告白する主体」に支えられた近代的な言説のありかたを相対化し、「語ること」の復権を主張する柳田の思想のうちに、じっさいに彼が進むことになった一国民俗学の方向にではなく、物語の多様性の方向へと展開していく可能性を発掘する著者の議論は、牽強付会の気味があるとはいえ、スリリングな試みだと思います。

Posted byブクログ

2021/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

尻しぼみの尻切れトンボ感があるけど、興味深く読めた。そもそも結論なんてないから、こういうものかもしれない。 歴史は無数の物語り(=ナラティブ)のネットワークにのみ存在根拠がある。物語りは「語り手」と「聞き手」の解釈学的再構成によって生じるため、歴史もまた「間主観的構成」の所産である。脈絡を欠いた出来事は歴史的出来事ではなく、歴史は真実をありのまま描いているわけではない。既成の物語りが「主張可能性」を失い、重大な修正を迫られる可能性は十分ある。

Posted byブクログ

2019/09/01

歴史は物語行為によって成立するものだという議論です。 この本を購入したのはずいぶんと昔。ずっと積読になっていました。最近、あるとき、電車で、となりに座っていた初老の男性が、この本を読んでいたのです。それをみて、「自分も読まなくちゃ」と思い立って、でも、それからさらに2年くらい経っ...

歴史は物語行為によって成立するものだという議論です。 この本を購入したのはずいぶんと昔。ずっと積読になっていました。最近、あるとき、電車で、となりに座っていた初老の男性が、この本を読んでいたのです。それをみて、「自分も読まなくちゃ」と思い立って、でも、それからさらに2年くらい経って、ようやく読み始めました。 まあ、なんとなく予想できる範囲内で議論が展開したなあという印象でした。【2019年8月16日読了】

Posted byブクログ

2016/07/06

歴史、科学、文学、哲学を物語るという地平から位置付ける。増補前からあった物語り論、歴史論が出色だと思う。柳田國男に対する評価を新たにした。 ただし、前提とされる哲学的教養レベルが結構高い。誰にでもわかる昔話論みたいなものを想像していると痛い目に合う。 ・「物語の衰退」は同時に...

歴史、科学、文学、哲学を物語るという地平から位置付ける。増補前からあった物語り論、歴史論が出色だと思う。柳田國男に対する評価を新たにした。 ただし、前提とされる哲学的教養レベルが結構高い。誰にでもわかる昔話論みたいなものを想像していると痛い目に合う。 ・「物語の衰退」は同時に「経験の衰退」をも意味する。 ・理解不可能なものを受容可能なものへと転換する基盤である「人間の生活の中の特定の主題への連関」を形作ることこそ「物語り」のもつ根源的機能。 ・リアリティとアクチュアリティ(理解可能と受容可能。非人称的科学と人称的科学)

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2014/01/02

大変面白いものだった。しかし、同時に(哲学上の)疑問が残った。あらゆる問題系を物語り論に回収し、「物語りえぬことには沈黙せねばならない」との結論は少々違和感が残る。もう一つの違和感は、柳田国男を引き合いに出していることだ。つまり、近年の物語の復権と柳田の物語の墨守は簡単にパラフレ...

大変面白いものだった。しかし、同時に(哲学上の)疑問が残った。あらゆる問題系を物語り論に回収し、「物語りえぬことには沈黙せねばならない」との結論は少々違和感が残る。もう一つの違和感は、柳田国男を引き合いに出していることだ。つまり、近年の物語の復権と柳田の物語の墨守は簡単にパラフレーズできるものではないのに、そこをつなげてしまっていることに問題がある。これでは、かつて丸山真男が批判した「一周遅れのトップランナー」としての日本を想起させることになる。

Posted byブクログ

2012/09/21

「物語る」ということは、どういうことか。僕としては、パターン・ランゲージを用いた対話ワークショップの意味と意義を考えるために参考にしたい。

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2010/11/16

「物語」と「歴史」の関係、そして科学、文学、宗教との関係を「語る」行為で読み直す一冊(「物語論的歴史哲学」)。 本書によれば人間とは、「諸々の出来事を一定のコンテクストの中に再配置し、さらにそれらを時系列にしたがって再配列することによって、ようやく『歴史』や『世界』について語り...

「物語」と「歴史」の関係、そして科学、文学、宗教との関係を「語る」行為で読み直す一冊(「物語論的歴史哲学」)。 本書によれば人間とは、「諸々の出来事を一定のコンテクストの中に再配置し、さらにそれらを時系列にしたがって再配列することによって、ようやく『歴史』や『世界』について語りはじめることができる」「物語る動物」。 だとすれば、既成の世界イメージを異化する新しい物語の語り部は、文学だけでなく科学の分野からもそして、哲学の文屋からも出現可能。 野家先生といえばローティの紹介者というイメージが強いのですが、本書を一読すると、そのイメージも一新する。哲学紹介者ではなく、日本人の哲学者がここにもひとり。

Posted byブクログ

2021/06/24

物語(ストーリー)ではなく、人が理解、認識して行う物語”り”とは何かという話。 大きな物語の終焉から小さな物語としての実存しかありえない状況を振り返り、歴史は物語りとしてのみ存在しうるという主張から始まる。 最終的に、科学含めてすべての人間の知識は、物語りとして理解できるという主...

物語(ストーリー)ではなく、人が理解、認識して行う物語”り”とは何かという話。 大きな物語の終焉から小さな物語としての実存しかありえない状況を振り返り、歴史は物語りとしてのみ存在しうるという主張から始まる。 最終的に、科学含めてすべての人間の知識は、物語りとして理解できるという主張になる。 世界の認知として、人の理解(認知)、言語による分節化を基にする事や、大きな歴史の終わりと現状認識は、強く共感するが新鮮味は無かった。 最終的に科学の物語としてのありようについては、著者も参照しているが、まさにクーンやフーコーの議論とほぼ同じ。議論の流れや、表現が違うことに意義がある? また歴史認識についてはカルチャラルスタディーズ(抑圧された少数民族の歴史は語られない等)との共通性を思い出した。

Posted byブクログ

2012/01/05

 今年、最大の収穫。脳内のシナプスがバチバチと火花を散らしながら、次々と新しい回路を形成した。 http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090904/p2

Posted byブクログ