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シチリアでの会話 の商品レビュー

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2013/06/03

詩的な散文である。 それも、決然とした意思をたたえた詩文なのだ。 何かが起こる直前に見る、 胸騒ぎのする平凡な夢のようだ。 ヨーロッパにおける教養を要求する部分も多く、 現代日本の一読者としては読み切れてない部分もかなりあるが、 それは本書の3分の1を占める「解読」で補ってく...

詩的な散文である。 それも、決然とした意思をたたえた詩文なのだ。 何かが起こる直前に見る、 胸騒ぎのする平凡な夢のようだ。 ヨーロッパにおける教養を要求する部分も多く、 現代日本の一読者としては読み切れてない部分もかなりあるが、 それは本書の3分の1を占める「解読」で補ってくれる。 多分に当時の時局と連関した作品ではあるけれど それにしてもいまだに傷のない世界などなかった。 その意味で今でも十分、この作品は存立の基盤を失ってはいない。 それにもかかわらずこのような作品は今後生まれることはないだろう。 我々にはもっとあけすけで下品なやり方が許されているから。

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2009/10/04

「私は、あの冬、漠とした怒りの虜になっていた。その謂れを言うつもりはない、そのことを語りはじめたのではないから。ただし、これだけは言っておこう。その怒りは漠としており、猛々しくはなく、生き生きともしていたなったが、いずれにせよ、失われた人間の類ゆえの怒りであった。」

Posted byブクログ