帝国の傲慢(上) の商品レビュー
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著者は20年以上もCIAに勤めてきた人物で、本書が二作目にあたる。 泥沼化しつつある「テロとの戦い」に対してアメリカの正義は世界共通の正義ではない、と喝破する。 -アメリカのエリートは自信満々で、アメリカが負けるなどとは考えてもいないし、他国がアメリカと同じになることを望んでいないとは夢にも思わないし、二一世紀にアメリカが大帝国になることはまさに運命の定めであり、人類に対する義務、とりわけ不潔で無学で非民主的で非白人で髭もそらず女性の権利も認めないイスラム大衆に対する義務であると信じて疑わないのだ。-イスラム世界に対する現状認識についても、まずイスラエルの利益がアメリカの利益が混同されており、イスラエルに肩入れすることでイスラム世界から余計な恨みを買っていること、相手は「テロリスト」ではなくイスラム教で結びついた国家であるという認識が必要であること、などを指摘している。 本来、イスラムの最高指導者はカリフであるが、これは1924のトルコ革命で廃止されている。聖戦(ジハード)は、イスラム教徒個々の中にあり、ビン・ラディン一人を倒せば終わるものではないのである。
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