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彷徨える帝(下) の商品レビュー

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2020/10/26

たしかに、単なる伝奇小説でも歴史小説でもない。足利将軍家、南朝方との争いに、独自の世界観をもち、堂々と描き切っている。 あまり馴染みのない後南朝時代。皇室のありかた、後醍醐帝、楠木正成など、歴史の影、隙間に触れる事ができました。 素晴らしい。

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2015/01/10

“能面”が秘める「重大な秘密」とは何か?それは人々や時代にとってどのような意味を持つのか?宗十郎や範冬の物語が展開し、やがて両者は争うことになって行く… 本作は密かに伝えられる後醍醐天皇の思い、それを受け止めようとし、色々と考える宗十郎を通じて、「日本の社会というようなものは、...

“能面”が秘める「重大な秘密」とは何か?それは人々や時代にとってどのような意味を持つのか?宗十郎や範冬の物語が展開し、やがて両者は争うことになって行く… 本作は密かに伝えられる後醍醐天皇の思い、それを受け止めようとし、色々と考える宗十郎を通じて、「日本の社会というようなものは、どういうものなのか?」を問い、考えているような感もする。そうした重厚なものが、“伝奇”という華麗な包装紙に包まれて提示されている…というようにも思った…

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2014/12/28

時は室町中期。混迷の元凶をなす北朝南朝の争いに端をはっした闇の時代を描く筆者懇親の作品。吉野の山奥に逼塞していた南朝方が満を持して動き出す。鍵を握るのは幕府を崩壊させる秘密を有する三枚の能面。そして能面をめぐり将軍足利義教との手に汗に汗握るあつき戦いの火蓋が切って落とされる。。鎌...

時は室町中期。混迷の元凶をなす北朝南朝の争いに端をはっした闇の時代を描く筆者懇親の作品。吉野の山奥に逼塞していた南朝方が満を持して動き出す。鍵を握るのは幕府を崩壊させる秘密を有する三枚の能面。そして能面をめぐり将軍足利義教との手に汗に汗握るあつき戦いの火蓋が切って落とされる。。鎌倉公方による永享の乱、赤松氏による嘉吉の乱など歴史上の事実の裏側に潜む謎に大胆な解釈を加え、壮大なスケールにて書き記す歴史伝奇絵巻。特徴はテンポの良いストーリー仕立てはもちろん、その場にいるかのような繊細な情景描写と場面に応じた心理描写が巧みすぎ。

Posted byブクログ

2013/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

北畠宋十郎、朝比奈範冬というその出生の秘密を持つ人物が南北朝それぞれの立場に立って対決の日が。将軍・義教が赤松祐満に暗殺される場面などは能の舞台を見るような緊張感があり、全体としても解説者・諸田玲子氏が書いているように絵巻を見るような伝記小説でした。後醍醐天皇の怨念と足利義満の怨念が継続しているというおどろおどろしい時代ですから、影の部分に光を当てるのは当然のことかも知れませんが、本格的な歴史を期待する私にとっては今一つでした。著者は網野史学をかなり研究しているということから、その部分の記述が詳しくなっているように思います。

Posted byブクログ