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メディア・コントロール の商品レビュー

3.8

70件のお客様レビュー

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2017/08/20

政府は戦争をしたい。でも、民衆は平和を望んでいる。ならば、 如何にして世論を戦争賛成に導いたらよいか。 集団的自衛権を肯定していようとしている安倍政権の話では なく、アメリカ政府のお話である。まぁ、今の日本にも当ては まるようだが。 アメリカの軍事政策を厳しく批判している著者...

政府は戦争をしたい。でも、民衆は平和を望んでいる。ならば、 如何にして世論を戦争賛成に導いたらよいか。 集団的自衛権を肯定していようとしている安倍政権の話では なく、アメリカ政府のお話である。まぁ、今の日本にも当ては まるようだが。 アメリカの軍事政策を厳しく批判している著者が、第一次世界 大戦からイラクの大量破壊兵器まで、アメリカ政府が常に仮想 敵国を作り、メディアを利用して反戦の声を抑え込んで来た ことを語っている。 メディアは嘘を吐く。確かにそう。溢れる情報の中で、知りたい と思うことが報道されないことがままある。 報道の自由もある一方で、メディアには「報道をしない自由」 もある。日々の報道を見ていると、○○発表という報道のなん と多いことか。 政府の発表を鵜呑みにする危うさは、福島第一原発事故の 際に痛感した人もいるはず。それは、あの原発事故の時だ けではないんだよな。 アメリカのメディアのすべてを否定する気はない。優れた 報道が多いのも事実。しかし、その反面、イラク戦争の 際に政府のちょうちん持ちをしたのも確かだ。 そうして日本のメディはアメリカ目線の報道がほとんど。 本書の発行は2003年なのだけれど、アメリカ政府を 安倍政権に当てはめて読むと分かりやすいかも。 報道を鵜呑みにする危うさ。どこかで私たちの考えはメディア にコントロールされている?こわっ。

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2017/06/28

(memo) (P70)  私たちは自由な社会に住みたいか、自ら好んで背負ったも同然の全体主義社会に住みたいか。  とまどえる群れが社会の動きから取り残され、望まぬ方向に導かれ、恐怖をかきたてられ、愛国的なスローガンを叫び、生命を脅かされ、自分たちを破滅から救ってくれる指導者を...

(memo) (P70)  私たちは自由な社会に住みたいか、自ら好んで背負ったも同然の全体主義社会に住みたいか。  とまどえる群れが社会の動きから取り残され、望まぬ方向に導かれ、恐怖をかきたてられ、愛国的なスローガンを叫び、生命を脅かされ、自分たちを破滅から救ってくれる指導者を畏怖する一方、知識階級がおとなしく命令にしたがい、求められるままスローガンを繰り返すだけの、内側から腐っていくような社会に住みたいか。 (P132) 【闘争なくして言論の自由なし】  (直接的な抑圧が無くても、自主規制・忖度する日本)  言論の自由はアメリカで、市民運動のなかで獲得されてきたもの。  権利は勝ち取られたもの。闘わなければ勝ち取ることはできない。闘うのを忘れてしまえば、権利は失われていく。天与の贈り物のように、ふってくるわけではない。 (P85) ・偽善者とは:  自分に当てはめようとしない基準を他人に押し付ける人。 ・最低限の道徳レベルに達するには:  自分にとって正しい行為は他人にとっても正しく、他人の誤った行為は自分がそれをする場合でも誤っている。 <この道徳的自明の理に対して、対抗するゆるぎない障壁として、ある専門用語がある。>  アメリカ以外は、全体主義国家でしか使われない言葉 「道徳的相対主義の罪」「道徳的等価の罪」 (レーガン政権国連大使ジーン・カークパトリックが発明した言葉)  誰かが私たち自身の罪にあえて目を向ける危険を避ける  私たちは正直になるほど、ジレンマに陥る。  手っ取り早い答えは、慣例に従って偽善を貫徹すること。(P112) (P160)  (平和憲法を捨てるといっても…)  日本はアメリカの軍国主義に全面的に協力してきた。戦後日本の経済復興はアジア諸国への戦争へ加担したことによる。米兵の遺体を収容する袋から武器まで、ありとあらゆるものを製造して提供した。  サンフランシスコ講和条約は、日本がアジアで犯した犯罪の責任をとるようにつくられていなかった。 ・合意形成のでっちあげ ・世論工作 (P28) ・社会の支配者のために働くことを教え込むことができる体制 ・いかなる組織にも所属させてはいけない 面倒を引き起こすだけ ・大衆はTVの前にぽつねんと座って、頭にメッセージを叩き込まれていればよい 人生の唯一の価値は、もっとモノを所有し、裕福な中流家庭のような生活をして、社会調和とかアメリカニズムのような価値観をもつことだけ (P136)  人々をコントロールする最良の方法は恐怖を利用すること。

Posted byブクログ

2017/04/20

内容は主にアメリカのことであるが、どれだけ情報統制されているかに驚く。 同じ国内の違う立場のメディアを見るだけでは不十分で、違う立場の国のメディアに触れることが正しい知識を得るには必要だと痛感する。

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2017/01/23
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2003年刊。「知の逆転」での著者(マサチューセッツ工科大学教授)の怒髪天ぶりに驚嘆し、積読中の本書を紐解く。余りの激昂ぶりに、口角泡を飛ばす説教ぶりに、雷親父ぶりに感嘆。勿論、示唆に富む点も。著者曰く、①メディアと教育の掌握の上、知識人が黙っていれば、捏造した歴史を世間に流布しうる、②ストつぶし等反対派潰しの組織的宣伝・広報の肝は、「我々の軍隊を支持しよう」「スト参加者の如き破壊分子は、資本家も清掃人も全員共生できる社会の調和を乱す」といった無意味・無内容かつ誰も反対しようとしないスローガンを掲げる点。 ③第一次世界大戦時、戦争の大義に疑義を呈しただけで刑務所に入れられていた時代ではなくなっているが、かかる言論の自由はこのまま保障され続けるわけではなく、闘わなければ勝ち取ることはできず、闘うのを忘れたら失われていく。等々。また、明快に主張しているわけではないが、リテラシーは、複数の、特に真逆の立場の論考・報道を常に参照する(例イスラエルとアラブ)ことに尽きる。そのためには国外の報道にアクセスできる環境と能力(ネットは有益。ただ語学力が全く心許ない私)との感。 しかしまぁ、あらゆる米政権(ケネディ以降子ブッシュ迄)、マスコミ、知識人をこれほどズバズバ切って捨てられたものと感心する。考え方に異論あるとも、この勇気には敬服するはず。それに比べ対談者の辺見庸に感じる日和見には…。また、報道偏頗など、本書の記述に関し(政権スローガン、エンロンに擬しうる大企業免税措置等)、固有名詞を入れ替えれば…。PS①国際司法裁判所で国際テロとして指弾された米国のニカラグア攻撃は安保理で米国拒否権発動。②米国(クリン政権下)の地上攻撃用レーザー装備の戦闘衛星(原子力E)の開発計画。要注

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2016/04/01
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世界的な言語学者であるチョムスキーの本。 本書は初版が2003年なので、10年以上前の本だが、内容は古くない。イスラム国の台頭により、欧州が「テロとの戦い」を宣言しているいま、むしろ読む価値があると思った。 世論は、政治、マスコミ、学者の三者によって作られる。例えば国内政治に問題を抱えているときに、民衆の目を外に向けさせる。そのために、外部に敵を作り、戦争を仕掛ける。 アメリカが世界に示す覇権は、流された血の上に成り立っている。 日本はどうか。日本もこのアメリカにくっつきながら、朝鮮戦争の特需で経済成長を成し遂げた。その意味で、アメリカが仕掛けた戦争で流された血の上に、日本の経済も成り立っている。

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2015/12/29

9年ぶりに再読。 チョムスキーによれば、「民主主義社会」という語には対立する二つの概念が含まれているという。一つは民衆が自分たちの問題を自分たちで決定する手段をもっている社会という辞書的概念、もう一つは、民衆を彼ら自身の問題に関与させず一部の人間だけが情報を管理する社会という概...

9年ぶりに再読。 チョムスキーによれば、「民主主義社会」という語には対立する二つの概念が含まれているという。一つは民衆が自分たちの問題を自分たちで決定する手段をもっている社会という辞書的概念、もう一つは、民衆を彼ら自身の問題に関与させず一部の人間だけが情報を管理する社会という概念。後者は民主主義に反するもののように思われるが、チョムスキーいわく、こちらの概念のほうが現実の社会では優勢であると。 後者の概念を発展させてきた現代アメリカの政治の風土を支えてきたのは他ならぬ知識人であるとして、チョムスキーは、ウィルソン大統領、哲学者のデューイ、ジャーナリストのリップマン、神学者で外交評論家のラインホールド・ニーバーなどを告発する。彼らの思考に共通していたのは、一般大衆と支配階級を切り離し、大衆に“誤った判断”をさせないために、彼らをただの“観客”にしておくべきということだった。 その手段として、物理的な暴力や圧政ではなく、“広報=組織的宣伝”が用いられた。支配層の権力者たちは、政権に逆らう者に負のイメージを植え付け、大衆をコントロールしようとした。メディアもこれに追随し、支配層の目論見は成功した。 注意すべきことは、それが「自由な環境のもとで達成されている」(p41)ということだ。本書第3部のインタビューでチョムスキーが言っているように、アメリカに言論統制は存在しない。メディアは圧力をかけられてもいないのに自ら支配層の意に沿った報道を垂れ流し、大衆をコントロールするのに一役買っているのである。大衆もメディアの報道を鵜呑みにし、無意識とはいえ、自ら支配層の決定になびくことを選択しているのである。 本書のタイトルでもある「メディア・コントロール」とは、政権による報道圧力を意味しない。むしろそれは、メディア側の盲目的な自主規制、あるいは大衆の無意識かつ無責任な自己抑圧のことを指摘しているのである。チョムスキーが本書で伝えようとしていることは、支配層が行ってきた偽善の告発というよりも、それを知らぬふりをして過ごそうとしている我々=一般大衆に対する警鐘なのである。

Posted byブクログ

2015/12/15

まさに現下の状況に対しての主張ではないかと思えるほどの鋭さがある。 フランスでのテロとそれに対する各国の反応、安倍政権に対するSEALDを始めとする様々な活動。 正直行って、私には何が正しいかは全く分からない。 安倍政権が悪いからといってSEALDが正しいわけでもない、フランスで...

まさに現下の状況に対しての主張ではないかと思えるほどの鋭さがある。 フランスでのテロとそれに対する各国の反応、安倍政権に対するSEALDを始めとする様々な活動。 正直行って、私には何が正しいかは全く分からない。 安倍政権が悪いからといってSEALDが正しいわけでもない、フランスでのテロを生んだイスラム国の活動が悪いからといって、先進国の活動が正しいわけでもない。 こうしたことは考えれば考えるほど、無力感を感じ、結局は思考停止した大衆の一人になってしまうのだろう。 一方で、自分が結局は偽善者であり、自分の利益のためにしか動けない人間であることを認識した上で判断しなければ、思考し行動したとしても、災厄を増やすだけなのではないかと感じてしまう。

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2015/11/12

同時多発テロの時のメディア報道がこれほどコントロールされていたこととは全く知らなかった。報復への正当性を不都合な報道はこれでもかと排除して国民からの賛同を得ていたとは…。その時期、ジョンレノンの、イマジンは、決して流されることがなかったという。 ノームチョムスキー氏はテロの定義...

同時多発テロの時のメディア報道がこれほどコントロールされていたこととは全く知らなかった。報復への正当性を不都合な報道はこれでもかと排除して国民からの賛同を得ていたとは…。その時期、ジョンレノンの、イマジンは、決して流されることがなかったという。 ノームチョムスキー氏はテロの定義から、良識のある火星人がいたら、アメリカの報復自体もテロという定義にあたるのでなないのか?堂々と報道しただろうというような例えをしていて、ユーモアを交え読みやすかったがら、的確で厳しい意見だった。 渦中で使命も持ってメディアコントロールされている現実を、これでもか!と、つきつけていた人がいたことに勇気をもらえた。

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2015/05/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ぼくらはなぜ、アメリカや日本が支援するインドネシアの東ティモールの軍による虐殺を知らない、あるいは忘れてしまったのか?トルコにおける民族浄化運動によるクルド人が虐げれた現実、そしてそれを支援したアメリカの立場を知らないのか?イラクのサダム・フセインをアメリカやイギリスが支援して、彼の化学兵器による虐殺などを黙認していたことを知らないのか?国連からもルール違反を指摘されているにもかかわらず、それを無視し、レバノンの一部を占領してパレスチナ人を虐殺しているイスラエルに、アメリカが軍事支援をしていることを知らないのか?覇権争い、そしてそれに関連するお金というものに、人間は喰われてしまっているから、こんな歪んだ世界のままなのかもしれない。そして、今の日本では、憲法を改正しようとしたり、日米の関係を強化して以上に上げたようなアメリカの対外行為に加担できる体制を作ろうとしています。どんなもんかねえ、って思いますよね。

Posted byブクログ

2015/05/23

かなり悲観的な見方なのか、そう言ってしまう自分がはたまた楽観的なのか。民主主義はメディアにコントロールされているという論調。

Posted byブクログ