オウエンのために祈りを(上) の商品レビュー
何の変哲もない主人公たちの日常が、しかし丁寧な筆致で慎重に記されるので迂闊に読むと「飛ばし読み」になりかねない。だから主人公の繊細な語り口をフォローして、この油絵のごとくディテールが塗り重ねられた作品を読むしかない。久しぶりに読むジョン・アーヴィングは相変わらずエッチで、「凡事徹...
何の変哲もない主人公たちの日常が、しかし丁寧な筆致で慎重に記されるので迂闊に読むと「飛ばし読み」になりかねない。だから主人公の繊細な語り口をフォローして、この油絵のごとくディテールが塗り重ねられた作品を読むしかない。久しぶりに読むジョン・アーヴィングは相変わらずエッチで、「凡事徹底」を地で行く美学をこちらに提示する。ありきたりのカタルシスを求めてはいけないのだろう。私たちの人生そのままにページを(たとえ義務感からであろうと)少しずつ読む。そうするとジグソーパズルのようにピースが合わさり、絵を描くのだと思う
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5歳児ほどの身長、異星人的な悪声、バッターボックスに立った親友オウエンが打ったファウルボールの行方は……。 幼少年期、青年期、壮年期の出来事を主人公が一人語りするんだけれど、ほとんどこれ日常の出来事ばっかりで、しかも年代関係なくごちゃ混ぜにしているもんだから、まぁ読みにくい! ってことにはならないんだよなぁ、ジョン・アーヴィング。 『ホテル・ニューハンプシャー』もそうでしたが、とにかく描写が細かい。ほとんど無駄と思えるようなエピソードの連続が、きっと最終的に収斂されるんだろうなぁとわかる最小限の説明。どこも読み飛ばせない仕組み。 なんたってオウエン・ミーニーだ。5歳児まんまの身長ってなに? そんな違和感も数ページ読むと馴染んじゃう小説的演出が素晴らしい。きっと彼は神の子イエスの生まれ変わりなのだろう。が、なぁ、彼の周りにはいつも不吉な死の影が漂う。それが切ない。 さぁて下巻。オウエンはいったいどこへ行くのだろう。
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また会う日までを読んで以来13年ぶりのアーヴィング作品、好きな長編の中で1度しか読んでいないのがこれ、で再読することにする。30年ぶり以上だ。
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回想形式で書かれる、異常に小さいオウエンと友人であるぼくの成長物語。美貌の母を、ぼくはオウエンの打球で失うという事故にもかかわらず、二人の友情は続く。 上巻は、二人の高校生活まで。 途中、クリスマス劇で、ディケンズを上演し、オウエンが不気味なクリスマスの幽霊を演じるあたりがこの巻のクライマックスかな。 アーヴィングにしては、読み終わるのにずいぶんかかった。ぐいぐいとうねるような面白さは感じられない。どうした、アーヴィング。
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小人のように小さいオウエンはなぜ生まれてきたか、という話をこれでもかというほどアービング的なストーリーで書かれた作品。面白い。
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携帯のメモ帳に題名が書かれていたのだが、自分でいつ、何故書き込んだのかまったく覚えがない。 そんな出会いが、なんとなく本書の内容と重なる気がした。
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<奇妙な姿に生まれついた親友オウエン。 ある事件を期にし、自分が神様の道具であると思うようになる・・・> 著:ジョン・アーヴィング 東北大震災やらで仕事が忙しくて、読むのに一月かかりました。。 キリスト教に関するさまざまな宗派など、日本人にとってなじみの薄いものが多かっ...
<奇妙な姿に生まれついた親友オウエン。 ある事件を期にし、自分が神様の道具であると思うようになる・・・> 著:ジョン・アーヴィング 東北大震災やらで仕事が忙しくて、読むのに一月かかりました。。 キリスト教に関するさまざまな宗派など、日本人にとってなじみの薄いものが多かったのも 読むのに苦労させられた理由の一つ。 いつものアーヴィングと違ってなかなか入り込めませんでしたし、途中ちょっと冗長でしたが・・・ 後半の展開は圧巻です。 「あるできごとや特定のものには「特別な目的」がある。」 そう考え続けたオウエン・ミーニー。 チビで、奇声をあげたような声をしているオウエン・ミーニー。 彼がどうしてそのように生まれついたか?というラストに収束していく展開、 あらゆる複線、謎が解けていく様は、まさに「人生のすべてことには意味がある」です。 キリスト教、60年代アメリカとヴェトナム戦争を背景に 生き生きとしたキャラクターが紡ぎだす小さな奇跡の物語。 アーヴィングらしい皮肉とリベラル、ユーモアに包まれた暖かいお話でした。
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【概要・粗筋】 「ぼく」には、オウエン・ミーニーというとても小さく、奇妙な潰れた声と明晰な頭脳の持つ親友がいた。ぼくらの11歳の夏、大事件が起こった。野球の試合でオウエンが打ったファールボールがぼくの母の頭部に直撃し、ぼくらは大好きな母を失った。オウエンという風変わりな少年とそのまわりで起こるさまざま奇妙な出来事を描く宗教的な小説。上巻は母の事故死からオウエンらが演じるクリスマス劇までのエピソードを収録。 【感想】 キリスト教色が非常に強い小説なので、物語世界にどうも入り込むことができなかった。 オウエンは、アーヴィングの作品の中で人気の高い登場人物だそうだが、上巻を読み終えた段階では、私にはその魅力を感じ取ることはできなかった。
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ジョン・アーヴィング氏の最高傑作ではないでしょうか? 「何を果たすために生まれてきたのか」は、それが果される時まで知りえることはなく・・・・
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