ボートを漕ぐもう一人の婦人の肖像 の商品レビュー
辻さんは詩人だが、私は詩が苦手なので辻さんの詩も読んだことがない。 だから詩の辻さんのことは分からないが、小説の辻さんは良かった。好きになった。 この本は詩集のように、天地に余白がたっぷりあり、文字も大きく、ひとつひとつが短い。 絵本のようなおとぎばなしのような、ちょっと不思議...
辻さんは詩人だが、私は詩が苦手なので辻さんの詩も読んだことがない。 だから詩の辻さんのことは分からないが、小説の辻さんは良かった。好きになった。 この本は詩集のように、天地に余白がたっぷりあり、文字も大きく、ひとつひとつが短い。 絵本のようなおとぎばなしのような、ちょっと不思議な話たちが9篇収められている。 私はその中でもめちゃくちゃ怖い『砂場』が好き(というかいちばん印象に残っている)。 短いから怪談を聞いたような感じになった。 怖いんだけど、なんかちょっと切なくて悲しくて不思議でいい。 でもどれも良かった。 詩人だからか、文章に空気がある。間や空間もある。ふんわりとした感じの柔らかさがある。そういうのがすごく良かった。
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