森の少年 の商品レビュー

マイケル・ドリス(著者),佐々木光陽(訳者)

成人前の男の子が必ず…

[文庫ＯＦＦ]

成人前の男の子が必ず体験しなければならない「森の時間」。そこでの出会いで大切な多くのことに気付かされていきます。

2012/10/29

　マイケル・ドリスの1冊目「朝の少女」は今ひとつだったが、これは傑作。たぶん著者の先祖であるネイティブ・アメリカンの大昔の暮らしを想定して描かれた児童書だが、子供にとっての自分探しの物語であり、人間讃歌である。

　この「森の少年」の最大の面白さのポイントはジブリ映画風のボーイミーツガール譚になっているところ。そこが自分好みなのかも知れないが、ここに登場する二人はまさしく「コナンとラナ」であり「パズーとシータ」「アシタカとサン」あるいは「レントンとエウレカ」それとも「ICOとヨルダ」である。そう思って読むとさらに面白さが増すと思う。

　解説には、そんな素晴らしい物語をものにした著者の悲劇的な人生の顛末が記されていて、ちょっと衝撃を受ける。理想と現実の大きな隔たりと無情を感じずにはいられない。

2009/10/04

しきたりにより客を迎える村とそれに反発する少年．森の中でヤマアラシと会い，自分と向き合う．しきたりと礼儀と人間の成長，文明・・・そういったことを考えさせられる作品．[2006.10.27.]

2009/10/04

　台詞の一つひとつが優しい。文章全体が流れるように繋がっていて、確かに貝殻玉の数珠は最後に一つの繋がりを取り戻したと確信する。ラストシーンのおじいちゃんと「ぼく」の会話がいい。