1,800円以上の注文で送料無料

四万十 川がたり の商品レビュー

4.6

7件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/05/29

本書は、野田知佑さんの本の中でよく登場していた野村のおんちゃんこと野村春松さんが、その半生を語りながら四万十川流域で川と共に生きる人々の暮らしぶりや、川への思い、考え方を綴った本です。 川の文化を守るだけでなく誰にでも心を開き、謙虚さと好奇心を持ちあわせ、川と、川に興味を持って...

本書は、野田知佑さんの本の中でよく登場していた野村のおんちゃんこと野村春松さんが、その半生を語りながら四万十川流域で川と共に生きる人々の暮らしぶりや、川への思い、考え方を綴った本です。 川の文化を守るだけでなく誰にでも心を開き、謙虚さと好奇心を持ちあわせ、川と、川に興味を持ってくれる人への感謝を忘れない本当に素晴らしい方でした。 きっと、野村さんを訪ねた当時の若者は皆憧れを抱いたことでしょう。私もお会いしたかったなあ。 それから、本書は1999年に発売された古い本なのですが、家地川ダムの水利権に関しての熱い思いも語られており、結果どうなったのかが気になって調べてみました。 ダム撤去運動自体は相当盛り上がったそうですが撤去には至らず、四万十川河川維持水量を増やす、水利権更新を30年→10年とすることで着地したそうです。ただ、10年後の更新時以降は反対運動もなくすんなり更新が続けられているようです。 遠くの都会から眺めるだけの私が何かを言える立場ではありませんが、胸が痛い・・・ あとは、 「野田さんは、歳がいったら四万十川の端で釣りをして暮らしたいいうちょるから、そしたら、こんなふうに一緒に川に行けるし、ええじゃろうね。もうこっちはすでにじいさんじゃから、あとは野田さんがじいさんになるだけよ。」 こんな風な語りに野田さんとの友情が垣間見え、目頭が熱くなる箇所多数。 野田さんも亡くなられてしまいましたが、このような本を後世に残してくれたことに感謝します。 読後はじーんときて涙が溢れました。

Posted byブクログ

2022/03/02

地元の川への愛。その川に興味を持ってくれる人への感謝。他人に依存しない生き方。80年以上の生き様への誇り。戦争という過ちへの怒り。幸せとはなにかを考えさせられる本。 自分が物心ついたとき、すでに祖父母が4人とも亡くなっていたので、「老人=頑固者・学ぶことを放棄した人」というステレ...

地元の川への愛。その川に興味を持ってくれる人への感謝。他人に依存しない生き方。80年以上の生き様への誇り。戦争という過ちへの怒り。幸せとはなにかを考えさせられる本。 自分が物心ついたとき、すでに祖父母が4人とも亡くなっていたので、「老人=頑固者・学ぶことを放棄した人」というステレオタイプの印象がどこかにあったが、とんでもない。野村のおんちゃんは、尊敬すべき人生の大先輩だった。

Posted byブクログ

2021/06/29

20年くらい前、四万十川のほとりにユースホステルがあって、そこの本棚にあったのを読んだのが最初。その後毎年のように遊びに行って、ユースホステルがなくなってからもバイトで、旅行で、果ては仕事でも訪れていた四万十川。コロナもあって行けなくなってから、久しぶりにあの空気感を感じたくなっ...

20年くらい前、四万十川のほとりにユースホステルがあって、そこの本棚にあったのを読んだのが最初。その後毎年のように遊びに行って、ユースホステルがなくなってからもバイトで、旅行で、果ては仕事でも訪れていた四万十川。コロナもあって行けなくなってから、久しぶりにあの空気感を感じたくなって読んだ。 語りの野村のおんちゃんは2008年になくなっているから、もう14年。カヌーのブームは去り、四万十川よりも綺麗でアクセスもいい仁淀川に人気を奪われている感は否めない。けれど、「清流」の定義を、流域の人々のくらしの真ん中を流れている川、とするなら、人々が遊び、漁をし、毎日その様子を気にかける四万十川は間違いなく今でも清流。 なぜ四万十川が清流なのか、その流域に住む人がどのような気持ちで川と向き合ってきたのかを記す貴重な本。

Posted byブクログ

2018/09/02

心打たれる一冊でした!! 田舎には保守的でややこしい輩が意外と多い。そんな中、老若男女、その土地に来た誰もを自然とおもてなしていた野村さん。四万十川のことを本当によく知っていらっしゃり、本書の記述に間違いがないこともその文章を読めば容易に解る。人柄は言うまでもなく、ユニークでク...

心打たれる一冊でした!! 田舎には保守的でややこしい輩が意外と多い。そんな中、老若男女、その土地に来た誰もを自然とおもてなしていた野村さん。四万十川のことを本当によく知っていらっしゃり、本書の記述に間違いがないこともその文章を読めば容易に解る。人柄は言うまでもなく、ユニークでクレバーですばらしそう、良い直観力も持ってそう、真のリーダーだったんじゃないかなって、読みながら頭の中で思い描いてました。 20年前の学生時代、四万十川を江川崎から中村までラフトで下っているのですが、口屋内で泊まって黒尊川で1日遊んだことや、当時はまだ健在だった商店で賞味期限切れののり塩チップスを買ったりとか、自身の大切な思い出になっています。 東京からは遠いけど、また夏に四万十川に川下りに行きたい、すごく行きたい! 読んで本当に良かった!

Posted byブクログ

2017/08/24

30年ほど前に全国的にカヌーが流行した時期がある。 アウトドア雑誌はこぞってカヌーを取り上げ、ラーメンのCMではファルトボート(折りたたみカヌー)での川下りの草分け野田知佑氏が愛犬ガクと共にテレビで舟を漕いでいた。 そして、野田氏が訪れていた四万十川はカヌーの聖地となり、今では全...

30年ほど前に全国的にカヌーが流行した時期がある。 アウトドア雑誌はこぞってカヌーを取り上げ、ラーメンのCMではファルトボート(折りたたみカヌー)での川下りの草分け野田知佑氏が愛犬ガクと共にテレビで舟を漕いでいた。 そして、野田氏が訪れていた四万十川はカヌーの聖地となり、今では全国にその名を知られる清流として有名になった。 その、四万十川中流域にある口屋内に住んでいた野村のおんちゃんこと野村春松さんの川と共に暮らした人生の聴き語り。 口屋内に生まれた野村のおんちゃんは、兵隊から戻ってからも四万十川に住み続け、川と暮らしていた。 野村のおんちゃんの趣味は、上流から川を下って来る若者を捕まえ、自分の家に連れていき、風呂に入れ、ご飯を食べさせ、さらには家の前に小屋まで作り泊めてしまうこと。 そんな風に、気さくに付き合ってくれる野村のおんちゃんに惹かれ、四万十川に 魅せられてしまった者は多い。 私もその中の一人で、夏休みの終わった誰もいない河原にテントを張っていたら、「あんたか、川におったのは」と声をかけていただき、お風呂に入れていただき、詩吟の会から帰ってきたおばさんの土産のお寿司を御馳走になり、小屋に泊めていただいた。 そのとき話してくれたのも、山では一つの仕事だけしてるいるのではなく、季節季節によって山仕事をしたり、川で漁をしたり、畑の仕事をしたりしてくらしていくんだ。 日本人が一つだけの仕事で生活するようになったのは、最近のことなんだというようなこと。 そんな、日本人の暮らし、山里の暮らし、そして四万十川の暮らしのことが全編にわたって綴られている。 いまはもう、野村のおんちゃんも奥さんも、そして近所に住まれていたお姉さんも当然いなくなってしまった四万十川。 日本人が山里で生きてきた姿を知る上でも、とても大事な一冊だと思う。 たまたま、最近四万十川のことを耳にし、読み直してみました。

Posted byブクログ

2011/12/27

野村春松談・蟹江節子著『四万十 川がたり』。高知県を流れる四万十川。「四万」に「十」の川を集めた河川ながら、地元では古来の「渡川」本来の河名とする。  その流域に生きる野村春松翁を通じて、四万十川の「川の端の暮らし」「川の力、山の力」「川の漁」「川の旅人たち」「大事なものはニキに...

野村春松談・蟹江節子著『四万十 川がたり』。高知県を流れる四万十川。「四万」に「十」の川を集めた河川ながら、地元では古来の「渡川」本来の河名とする。  その流域に生きる野村春松翁を通じて、四万十川の「川の端の暮らし」「川の力、山の力」「川の漁」「川の旅人たち」「大事なものはニキにある」と、各章を展開。  川に人工的な造作を行うことのむなしさを指摘する。人工的な造作は川を破壊するとさえ主張する。 川がはぐくむ天然アユに対して、養殖アユのひよわさを示す。 天然アユのうまさについて、二つの見方。ひとつは漁具に立ち向かってくる力強さ。この子孫を多く残したいから漁獲しないと述べる。他方で、天然アユの≪うまさ≫について、藻を食べたあとで排せつした時刻をみはからって漁獲するという。身に栄養、腸に糞がなくて丸ごと食べられる、とする。 あとは、食するの者の味覚。舌のかみわける力ということか。  「人と自然はながくむきあい、その変化を観察してきた」が、野村翁の主張点、か。川は古来、人の交流路、生物を養育する場であった。 地名を考える行動を起こす時、「川の力、山の力」を示している人の営みに、深く注目するべきではないか。本書を手にして、思ったことであった。

Posted byブクログ

2009/10/04

四万十川のカリスマ爺さんの著書。川の神秘や自然への畏怖など都会人、現代人が決して忘れてはいけない知恵が書かれている。

Posted byブクログ