ヴァージニア・ウルフ短篇集 の商品レビュー
『波』や『ダロウェ…
『波』や『ダロウェイ夫人』などの長篇や評論で知られるウルフのもうひとつの世界、短篇小説の魅力を集めた一冊。新婚夫婦の愛情の変化をウサギに託して描く「ラピンとラピノヴァ」、散文詩のようなスケッチ「青と緑」、行き交うものたちの意識の流れを描写した「キュー植物園」、都会の孤独を寓話風...
『波』や『ダロウェイ夫人』などの長篇や評論で知られるウルフのもうひとつの世界、短篇小説の魅力を集めた一冊。新婚夫婦の愛情の変化をウサギに託して描く「ラピンとラピノヴァ」、散文詩のようなスケッチ「青と緑」、行き交うものたちの意識の流れを描写した「キュー植物園」、都会の孤独を寓話風に描いた「ミス・Vの不思議な一件」など、繊細で緊密な作品が収録されてます。
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ヴァージニア・ウルフ…
ヴァージニア・ウルフというと『灯台へ』、『波』、『ダロウェイ夫人』などの長篇を思い浮かべる方が多いと思いますが短編の名手でもあるんですね。いずれも、<意識の流れ>を利用して繊細で緊密で不可思議な作品です。全部で、17編収録されてます。ヴァージニア・ウルフファンは必見ですね。
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「ダロウェイ夫人』な…
「ダロウェイ夫人』などの長編や評論などで知られるウルフのもう一つの世界。短編なので読みやすい。
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長編で有名なウルフで…
長編で有名なウルフですが短編もとても読み応えあります。多数収録されているので、お気に入りの話が必ず見つかると思います。
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短命のヴァージニア・…
短命のヴァージニア・ウルフ。狂気と正気の狭間で生まれたことばたち。
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"子供時代の代わりになるものなど何もない。薄荷の葉がそれを取り戻させてくれる。でなければ青い縁取りのついたコップが。"(p.85) "時の推移にかかわらず、時代の推移にかかわらず、多くの者が、ひじょうに多くの者が独りでここにやってきたに違いない。...
"子供時代の代わりになるものなど何もない。薄荷の葉がそれを取り戻させてくれる。でなければ青い縁取りのついたコップが。"(p.85) "時の推移にかかわらず、時代の推移にかかわらず、多くの者が、ひじょうに多くの者が独りでここにやってきたに違いない。自分の想念を水のなかに流しいれるために、何事かを池に尋ねるために。この夏の夕つ方ここにいる者がちょうどそうしているように。たぶん池が魅力を持つのはそのせいだろう――池は水のなかにあらゆる種類の夢想や、不平や、確信を擁している。書かれたこともなく、口にされたこともないそれら。ただ流体のような状態で犇めきあう、実体性の限りなく希薄なそれら。 "(p.142) "男性の視点、それが私たちの生活を統治している。それが標準を決めている。"(p.164) "私は水流に抗って、まるで風に靡く旗のように、水のなかで静止する魚のことを考えるのが好きだ。私は河床の泥の小山をゆっくりと登っていく水棲の甲虫のことを考えるのが好きだ。"(p.169)
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ウルフは初めて読んだので、意識の流れと呼ばれる作風には慣れなくて没頭できない部分もあったけれど、それでも美しい感覚の世界は魅力的だった。 「ラピンとラピノヴァ」と(最後の一文よ!)映画A Ghost Storyにインスピレーションを与えたという「憑かれた家」が特に好きだった。
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訳がすこし耽美的な感じなので、詩に近い煌めきの短篇集だった。「ラピンとラピノヴァ」は最後女性にはずきんとくる話。ヴァージニア・ウルフの研ぎ澄まされた繊細な感覚と表現に驚く。「乳母ラグトンのカーテン」「サーチライト」「憑かれた家」「池の魅力」「徴」「壁の染み」が好き。何度も読み返し...
訳がすこし耽美的な感じなので、詩に近い煌めきの短篇集だった。「ラピンとラピノヴァ」は最後女性にはずきんとくる話。ヴァージニア・ウルフの研ぎ澄まされた繊細な感覚と表現に驚く。「乳母ラグトンのカーテン」「サーチライト」「憑かれた家」「池の魅力」「徴」「壁の染み」が好き。何度も読み返したい…読み返す必要がある…リリカルで暖かくて切なくて魅力的な作品が多かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ウルフの短篇を17篇収録。中には比較的長めのものもあるが、「青と緑」のようにわずか2ページ足らずのものも。ウルフは初読だが、小説の構築の方法はかなり固有のものであるようだ。よく言えば、それはこれまでにも指摘されてきたように「詩的」だということ。テキストとしての自立性が高いだけに、それらは一層、空間に浮遊しているかのようだ。物語としての時間の進行もまた特異だ。時間が物語を牽引する力を持たない、もしくは、はなはだしくそれに欠けるのだ。登場人物たちもまた、なんだか(悪い意味ではないのだが)妙に影が薄いのだ。
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彼女は私と、まるきり世界の見え方が違う。 考え方。 物事のとらえ方。 発想やイメージ。 どれをとっても、他とはまったく異なっているように思える。 おそるべき才能とは、きっと、彼女のことをいうのだろう。 彼女の狂気たるゆえんはいったいなんなのなのだろう?
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