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学級通信・ガリバー の商品レビュー

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2012/08/18

★生きることは矛盾の中を生きていくことなのか  萩原洋子(芝山中二) 小学校を根拠地に国家と常識的偏見に対抗し生徒たちと共に「武器としての感性と想像力」を取り戻し未来へ育む実践をした村田栄一は、今年の1月21日に心不全で76歳で永眠。 14.5年前の私は、学校中はおろか様々...

★生きることは矛盾の中を生きていくことなのか  萩原洋子(芝山中二) 小学校を根拠地に国家と常識的偏見に対抗し生徒たちと共に「武器としての感性と想像力」を取り戻し未来へ育む実践をした村田栄一は、今年の1月21日に心不全で76歳で永眠。 14.5年前の私は、学校中はおろか様々な集会で彼の幻影を探し求めましたが、彼のような穏健で戦闘的な教師はどこにも存在せず、私は70年代の川崎市立向丘小学校にタイムスリップしたかった。 小学生の学級新聞のお手本がそもそもの出会いで、むのたけじの『たいまつ』と村田栄一の『このゆびとまれ』『ガリバー』でした。 後者は、詩や流行歌を援用して何かを語ることを教わった初めでしたが、ひとり読書している傾向の無口で内向的な私を、ひょうきんでお喋りでいつも回りに人が集まってワイワイがやがや笑いと対話が絶えないように変貌させる契機になったのは、教室の中の一見して瑣末な平凡な事柄が世界と通底し過去と未来に対峙していることに気づかせてもらったからでした。 出来る子と出来ない子という物差しはナンセンスで、そういうおとな社会の常識的な目を子供時代から拒否していくべきだという彼の『じゃんけん党教育論』にならってジャンケンでクラス委員長を選出したところ、運良くクラスでもっとも粗暴で野蛮で成績はオール1で運動もからっけしダメなTという男子が選ばれました。 はじめ嫌々の彼は責任と失敗で押しつぶされそうになりましたが、友好的な普段は顔をしかめる優等生の可愛い女子からの母性本能をくすぐられての(?)援護射撃もあって、担任の心配をよそにアレヨアレヨという間にその役をこなして、それまでの悪評は消し飛び厚い信頼を受け、何より彼自身の強い自信はその後授業にも身が入り劣等生からの脱却を促し大いに村田理論を実証したのでした。 進学した教え子に問題があると中学の担任から意見を聞きたいと連絡があり、そのKが「中学生活に何を望むか」という作文に書いたのは、ボウズ頭反対、君が代・国旗掲揚反対、割ったガラスの弁償制度反対、先生は子供を殴るな、そして、下手な説教休むに似たり。 この学級委員で活発だった子が問題児扱いされる中学校、そして三里塚少年行動隊の詩から過激派参加から失速したかに見えた成田空港反対運動の家族ぐるみ・子供の政治意識の力強さを指摘する『無援の前線』など、自分が今いる学校教育の中から社会全体が透けて見えることを認識せよと喝破されたのでした。

Posted byブクログ