日本人の美意識 の商品レビュー
日本文学者ドナルド・…
日本文学者ドナルド・キーン氏。有名ですが今まで著作を読んだことがなかった。今回あらためてその博識・日本文化への理解の深さに驚いた。正直、自分自身気付かなかった魅力に気付かせてくれた。氏が激賞してやまない源氏物語を、今度あらためて読んでみようと思った。
文庫OFF
はじめてキーン氏の著作を読みました。とても感銘を受けました。私自身は日本文化の専門家ではないですが、なるほどと思わせる箇所が多々ありました。まず母国語が英語であるからこそはっきりとわかる日本文化の特徴、たとえば日本語に置ける主語の曖昧さや、一つの表現から複数の解釈が可能なものにつ...
はじめてキーン氏の著作を読みました。とても感銘を受けました。私自身は日本文化の専門家ではないですが、なるほどと思わせる箇所が多々ありました。まず母国語が英語であるからこそはっきりとわかる日本文化の特徴、たとえば日本語に置ける主語の曖昧さや、一つの表現から複数の解釈が可能なものについてキーン氏による鋭い指摘がなされています(本書では「秋の暮れ」という表現の場合にこれは秋が終わりつつある時期を指しているのか、あるいは、ある秋の日の夕暮れ時をさしているのか、という事例が紹介されている)。 本書は日本の平安時代から現代まで、トピック的にではありますが、各時代の日本文化の特色を述べていて、後半では日清戦争が日本文化に及ぼした影響についても解釈がなされています。こういう視点で戦争を見た事がなかったので、とても参考になりました。また面白いなと感じたのが、明治維新直後にすでに学校教育を英語に切り替えようという議論があったということで、現在もそういう議論はぽつぽつと出てくる訳ですが、なにか日本が自分たちに自信を失ったとき(現在で言えば日本的経営の限界?)、この議論が頭をもたげるのかなと感じました。 そして本書を読んで一番強く思ったのは、日本人の美意識は、これはこれで世界に誇れる物だから、「グローバルスタンダード」には遠いかもしれませんが、むしろ胸を張って世界にアピールしていきたい、ということです。本書の冒頭で、日本人の美意識の1つに曖昧さを尊ぶ、という項目が挙げられていますが、曖昧さが許されている言語というのは考えようによっては何とも贅沢ではないですか。多民族国家ではこれは許されません。ということで本書を読んで、我々日本人が持つ文化、美意識は何とも贅沢な環境で育ってきたのだと実感しました。 最後に余談ですが、私自身も日本語の曖昧さが想像力をかき立てる事に対してポジティブな感覚を持つ人間なのですが、本書を読んで、私がなぜイギリス人画家ウィリアム・ターナーの作品が好きか分かった気がしました。彼の作品は霧が重要な役割を果たしていて、我々の想像力をかき立ててくれるのです(いったいこの向こうで何が起こっているのか?という感覚)。ということで本書を読んで、なぜ自分が彼の作品を好きなのかに気づかさせてもらいました。
Posted by
外国人からみた日本の美意識の異文化ギャップ。最初にでてくる美意識の例の話で。 平安中期の歌人で評論家の藤原の評価が9段階あって最高は「ことばたへにしてあまりの心さへある也」(ことばの妙をつくして余剰のあらわれる境地)で、要は ハッキリいわないほのめかしているところ。だという。 て...
外国人からみた日本の美意識の異文化ギャップ。最初にでてくる美意識の例の話で。 平安中期の歌人で評論家の藤原の評価が9段階あって最高は「ことばたへにしてあまりの心さへある也」(ことばの妙をつくして余剰のあらわれる境地)で、要は ハッキリいわないほのめかしているところ。だという。 ていうことはインスタの“匂わせ”も現代の美意識なんだなと。令和ギャルのみなさんに報告しておきたいと思った。 まだ全部よんでない。
Posted by
初めて読んだキーンさんの本。もっとこ難しい事が書いてあるのかと思っていたらそうでもなく、他の本も読んで見ようと思う。日清戦争時の文芸、花子とロダンの話、等々本当に興味深い。とても良い教科書だ。
Posted by
日本文化についての小論やエッセイが9篇収載されている。もともと古本屋で興味を惹かれたのは「一休頂相」だったが、読んでいくうちにその他の小論も面白いことに気づいた。タイトルにもなっている「日本人の美意識」「アーサー・ウェイレー」などなど。9篇の中で一番ページ数のある「日清戦争と日本...
日本文化についての小論やエッセイが9篇収載されている。もともと古本屋で興味を惹かれたのは「一休頂相」だったが、読んでいくうちにその他の小論も面白いことに気づいた。タイトルにもなっている「日本人の美意識」「アーサー・ウェイレー」などなど。9篇の中で一番ページ数のある「日清戦争と日本文化」は読みきっていないが、読了扱い。 「一休頂相」 (昔の)日本画は花鳥風月の描写には写実的なものも多いのに、人物の描写は源氏絵巻風や浮世絵風の記号的なものが多い。ただこれにも例外があって、戦国武将と禅僧の肖像は、記号ではなくて写実的に描写されている。この禅僧の肖像のことを頂相(ちんぞう)というが、なぜ頂相はその他の人物画と違って写実的に描かれるのか、ここ数年不思議に思っていた。ここで取り上げられている一休の頂相は、忌野清志郎そっくりのあれだが、数年来の謎へのくヒントをもらえたのが嬉しかった。 「日本人の美意識」 これも、何故日本人(我々)は修復され造像当時の姿に近いものより古びた仏像のほうに美しさを感じるのかという、見仏人にとっての一大テーマを考える上で参考となる視点を与えてくれる。 「アーサー・ウェイレー」 ドナルド・キーンにとって日本文学を学ぶきっかけになり、学問上のアイドルだったイギリス人東洋文学者アーサー・ウェイレーの思い出を綴ったエッセイ。ウェイレーの半分を目指すしかなかったという言葉が先輩学者への尊敬を深さを表している。ウェイレー晩年の朗読のエピソードは泣かせる。 (mixiソーシャルライブラリーを転記・修正)
Posted by
ドナルド・キーンが解き明かす、日本の美意識の数々。 一休の肖像画についての章があったので、そこだけ読んでみる。キーン氏らしい、情緒豊かなわかりやすい語り口で読みやすかったが、特に「そうか!」と膝を打つような言葉はなく、もともと資料として活用するような内容でもないので、勉強のため...
ドナルド・キーンが解き明かす、日本の美意識の数々。 一休の肖像画についての章があったので、そこだけ読んでみる。キーン氏らしい、情緒豊かなわかりやすい語り口で読みやすかったが、特に「そうか!」と膝を打つような言葉はなく、もともと資料として活用するような内容でもないので、勉強のためというより、好奇心で読んだ、という感じ。 ほかの章も気になったけれど、読まないまま返却してしまった。 目的のために読書するって、辛いなぁ、と最近少し凹む。
Posted by
アメリカ人日本文学者?であるドナルド・キーン氏が様々な日本文学、文化について考察を加えた書。日本人でないからこそ書ける本だと思う。訳者がついているあたり原文は英文であるはずだが、実に読みやすいなめらかな日本語になっているのは、訳者の腕とともに、キーン氏が日本語に精通しており「日本...
アメリカ人日本文学者?であるドナルド・キーン氏が様々な日本文学、文化について考察を加えた書。日本人でないからこそ書ける本だと思う。訳者がついているあたり原文は英文であるはずだが、実に読みやすいなめらかな日本語になっているのは、訳者の腕とともに、キーン氏が日本語に精通しており「日本語的」なテンポや表現が生きているというのもありそうだ。
Posted by
- 1