シン・レッド・ライン(下) の商品レビュー
読もうと思った動機は二つ。 T・マリックの映画の原作であること。 それと、作者による前書きが戦争賛美であったこと。 映画は映像美と語りが相まって叙事詩的な作風だが、小説は全然違う。とても多い登場人物たちのありとあらゆる感情で構成されている。 引き合いに出されているアメリカ中西...
読もうと思った動機は二つ。 T・マリックの映画の原作であること。 それと、作者による前書きが戦争賛美であったこと。 映画は映像美と語りが相まって叙事詩的な作風だが、小説は全然違う。とても多い登場人物たちのありとあらゆる感情で構成されている。 引き合いに出されているアメリカ中西部の古い諺。 「正気と狂気のあいだには、一本の細く赤い線があるだけだ。」 筆舌に尽くし難い地獄では、人は簡単に人であることをやめる。心が麻痺する感覚に、ある兵士は苦しみ、ある兵士は溺れ、またある兵士は麻痺するものかと抗う。 前書きにあるような、とても戦争を賛美するような内容ではなかったけれど、細く赤い線の向こう側に行っていない者には、永遠にその意図がわからないのかもしれない。 わかりたくはないけれども。
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