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旧約聖書続編講義 の商品レビュー

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2021/03/16

いわゆる外典・偽典と呼ばれる文書の代表的なものについて、内容の概略・そこに含まれる思想と背景・作者や時代など成立についての推論をまとめている本。 最初のマカベア第一から土岐氏の翻訳を注でこき下ろしまくっておりちょっと怖い。著者の訳本「ユダヤの神話伝説」を読んだことがあるが大変読み...

いわゆる外典・偽典と呼ばれる文書の代表的なものについて、内容の概略・そこに含まれる思想と背景・作者や時代など成立についての推論をまとめている本。 最初のマカベア第一から土岐氏の翻訳を注でこき下ろしまくっておりちょっと怖い。著者の訳本「ユダヤの神話伝説」を読んだことがあるが大変読みやすく頭に入る文だったのでそれだけできる方なんだろうけど…。原テキストを減点方式であげつらって貶すとか(そりゃあ、現代の研究者視点から見たら稚拙なところはいくらでもあるだろう)、これまた現代的価値観で剽窃やら稚拙な挿入やらを毎度非難したり、他研究者も馬鹿にするし、面白くないギャグがはさまり…と読んでいて正直あまり楽しくないのだが、著者的には読者に親近感とか笑いを与えるっていう目的であえてやっているんだろう、たぶん…。 内容はさすがに専門的な領域に踏み込んでおり勉強になるんだけど、外典初心者すぎて云々できるほどの知識もないし、本文テキストがないと辛い部分がある。せめて日本語訳はきちんと買って読まなくてはついていけないな。 七十人訳の目的の部分の議論は面白いなと思ったけど、ヘブル語の神聖さを持ってエルサレムや他のディアスポラは訳に否定的だったはずっていうのはどうなんだろうな。タルグムだって書付が残っているわけだから、ギリシア語で訳が作られても正統としないまでも、おおよそのユダヤ人はそこまで激しい拒否反応はないように思える。「なぜ同時多発的にギリシア語訳が各地で作られなかったのか」って、クムランでも私的なギリシア語訳らしきものは少し見つかっているし、残っていないだけで作られてはいたってことはあるんじゃないだろうか。でも、アレクサンドリアの知的状況が進んでいて、エジプト人やギリシア人に対抗して民族の起源の正当な物語を示す必要があったという大筋の展開はとても納得できるものだ。

Posted byブクログ