バーナデットのモミの木 の商品レビュー
衝撃の結末にやるせない思いが残ります。これだからアンデルセンは…と思わず声を上げてしまいました。 森の小さいモミの木は、まわりの木を見上げては「はやく大きくなって、海を渡ったり、見知らぬ町に行きたい」と憧れを抱きます。お日さまの光や、風は「ここにいることを喜びなさい」と諭します...
衝撃の結末にやるせない思いが残ります。これだからアンデルセンは…と思わず声を上げてしまいました。 森の小さいモミの木は、まわりの木を見上げては「はやく大きくなって、海を渡ったり、見知らぬ町に行きたい」と憧れを抱きます。お日さまの光や、風は「ここにいることを喜びなさい」と諭しますが、モミの木には届きません。 大きくなってクリスマスの日に切られたモミの木は、へやのまんなかに綺麗に飾られて、でも次の日には引きずり倒されやねうらに運ばれて行きました。森にいた自分はしあわせだったと気づいた時には、庭で小さく切られ、たきぎにされてしまいます。そしてあのラスト! 知らず知らずのうちに、モミの木に人の一生を重ね合わせて読んでいました。 語りかけてくるようなバーナデットの幻想的な絵に魅了されます。青い月明かりに浮かぶ雪の森では、動物たちが小さいモミの木をかこみ優しく見守っているようです。階段をころころころげ落ちたハンプティ・ダンプティのユニークな姿は子どもの目をきっと楽しませることでしょう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
生まれたばかりの小さなモミの木が 周りの木々たちが大きく成長していたり、切り倒されて どこか素敵な場所へ連れていってくれるのを羨ましいと思う。 だけど自分がその立場になってみると クリスマスが終わると物置に放置され、1年後には薪として使われて 「森にいた頃が懐かしい。楽しかったな」と過去に思いを馳せ 生涯を終える……アンデルセンらしいアンハッピー。 人間でも自分より幸せそうな人を見ると 羨ましいなぁって思ったり、人によっては妬んだりすることがある。 でもその前に、今の自分自身がどんなに恵まれているのか。 どれだけ幸せなのか……そのことに気づかないとダメ!って気持ちに。 素晴らしい教訓が織り込まれてます。
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