1,800円以上の注文で送料無料

山妣(上) の商品レビュー

3.8

25件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    9

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/04/24

通勤電車で読むには、ちょっと向かない小説。 直木賞受賞作品だったので期待して読んだものの、上巻だけでお腹いっぱいな感じでした。 なんとか下巻も流し読みしました。 「死国」の方が好きです。 下巻でいきなり女性の視点からの物語が始まり、この女性が一体何者なのかと興味はそそられたものの...

通勤電車で読むには、ちょっと向かない小説。 直木賞受賞作品だったので期待して読んだものの、上巻だけでお腹いっぱいな感じでした。 なんとか下巻も流し読みしました。 「死国」の方が好きです。 下巻でいきなり女性の視点からの物語が始まり、この女性が一体何者なのかと興味はそそられたものの、何となく先が予想されてしまい…。 方言も読みにくさを増長させているのか? 私は長過ぎて好みではありませんでした。

Posted byブクログ

2024/06/27

越後の山里でおこなわれる奉納芝居の指導のために、東京から旅芸人の市川扇水とその弟子の市川涼之助が招かれます。美貌の涼之助は、村の女性たちの熱い視線を集めるようになりますが、じつは彼は半陰陽という秘密をかかえていました。 そんな彼が、村の地主の阿部鍵蔵の後妻である阿部てるの自慰行...

越後の山里でおこなわれる奉納芝居の指導のために、東京から旅芸人の市川扇水とその弟子の市川涼之助が招かれます。美貌の涼之助は、村の女性たちの熱い視線を集めるようになりますが、じつは彼は半陰陽という秘密をかかえていました。 そんな彼が、村の地主の阿部鍵蔵の後妻である阿部てるの自慰行為を目にしたことから、二人の運命は思いもかけない方向へと動き出します。涼之助とてるは人目を避けて逢瀬をかさねるようになりますが、涼之助がやがて旅立つことを知ったてるは、彼に襲われたと鍵蔵たちに告げ、さらに涼之助が半陰陽の「化け物」だと語ります。鍵蔵は涼之助を殺害しようとし、涼之助は山のなかに逃げ込みます。 ここで物語のスポットは、涼之助の母である大竹いさに移ります。鉱山町の遊郭で働いていた彼女は、遊郭の経営主である高岡壱之介から金を盗み出します。その後いさはマタギの重太郎にたすけられ、彼の子を産みますが、子どもは半陰陽でした。山神様の怒りに触れたと信じた重太郎は、子どもを旅芸人に預け、いさのもとから去ります。 新潟方言で語られる山里の人間関係と、運命に翻弄される登場人物たちの軌跡が、濃密な物語を織り成しています。たしかにおもしろいストーリーだと思うのですが、作品の全体に立ち込める重苦しさに疲れてしまいました。

Posted byブクログ

2014/01/13

冬の雪国の冷たさがじんじん伝わる。山の厳しさ、生と性と血が色濃く描かれる。山妣となった女の話が凄い!色んな感情が揺さぶられ、前半の涼之助の話が霞む。しかし物語は繋がり緊張感と共に下巻へ。

Posted byブクログ

2013/05/07

116回 1996年(平成8)下直木賞受賞作。明治時代、越後の寒村が舞台の社会派小説。しきたり、禁忌、地主社会が色濃く残る村の祭りで事件が起こる。タイトルが”やまんば”ではなく”やまはは”となっている理由は読了してから納得する。おもしろい、おすすめ。松井今朝子 『吉原手引草』で遊...

116回 1996年(平成8)下直木賞受賞作。明治時代、越後の寒村が舞台の社会派小説。しきたり、禁忌、地主社会が色濃く残る村の祭りで事件が起こる。タイトルが”やまんば”ではなく”やまはは”となっている理由は読了してから納得する。おもしろい、おすすめ。松井今朝子 『吉原手引草』で遊郭の知識を、熊谷達也 『邂逅の森』でマタギの知識を備えてこの本に取り組むのがベスト。(まるでドラクエの”魔法戦士”のような小説だ。)

Posted byブクログ

2013/04/14

読んだのは1996年の新潮社単行本だけど、登録できないね・・・  単行本は2段組み488ページの大部だが、明治時代の東北に生きる人々を、お国訛りの会話で活写する筆力に引きずられて、ぐんぐん読める。人々に「子をとって喰う」と恐れられる白髪の山姥を中心に、浅草から師匠と村にやってき...

読んだのは1996年の新潮社単行本だけど、登録できないね・・・  単行本は2段組み488ページの大部だが、明治時代の東北に生きる人々を、お国訛りの会話で活写する筆力に引きずられて、ぐんぐん読める。人々に「子をとって喰う」と恐れられる白髪の山姥を中心に、浅草から師匠と村にやってきた美しい芸人・涼之助、妻に去られることを恐れる地主の若旦那・鍵蔵と、どこか得体のしれないその妻・てる、子守の娘・妙、その姉の瞽女・琴、多数のひとびとの運命が雪山で縒り合わされ、凄惨な殺戮がくりひろげられることになる。  これまで怪奇風味の作品が多かった作家だが、自然の猛威と人のつくった掟にしばられながら、里に鉱山町に生きる人々の暮らしの圧倒的ディテールにうならされる。とりわけラストパートの熊と人間の対峙は圧巻。獣の牙に己れの骨をバリバリと割られ肉を剥ぎとられる感じがリアルすぎてマジ怖い!その厚みある描写を通して、伝説の存在である山姥となる女の姿が吹雪の向こうに見えてくる。 軛を絆に変える女もいれば、軛も絆もふり捨ててしまう女もいると、登場人物は語る。残酷なほどに無頓着な山の力を、畏れとして対象化することなく、己のものとすることによって山姥となる女・いさは、冬眠する獣のように、うつらうつらと夢を見ながら、産んだ子を忘れていく。それは人の世に求められる「母」の規範からもっとも遠いが、それゆえに、「ふたなり」として疎外されてきた涼之助にとっては、突き放す冷たさと同時に救いとなる温かさをもあたえてくれる。てると鍵蔵のセックスとは対照的に描かれる彼の自慰にも、人の世から棄てられることを、自ら捨てることへと変えた者が到達する解放がある。 子を産む存在にして子を食う山姥は、異形として忌み嫌われるが、実はどんな母の中にも潜んでいる。今の私たちはそのことを忘れて見ないようにしているだけなのだ。殺した子の死体を抱いて体は土に戻り、魂は山姥となって雪山を駆けていく妙の母は、そのことを思い出させるようである。

Posted byブクログ

2012/12/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

坂東さんの作品は初めてです。 当初のイメージとは違い、しっかりしたストーリーでした。 全体の感想は下巻読後に。

Posted byブクログ

2012/09/19

雪深い越後の山里を舞台に繰り広げられる、壮絶な愛憎のドラマ。 山神への奉納芝居の振り付け役として、村の地主は東京から二人の役者を招いたが、妖しい雰囲気を持つ弟子の涼之助の存在が、次第に村の平穏を乱していく…。 序盤では、主筋となる涼之助の物語と、山に住むという山妣の言い伝えがどの...

雪深い越後の山里を舞台に繰り広げられる、壮絶な愛憎のドラマ。 山神への奉納芝居の振り付け役として、村の地主は東京から二人の役者を招いたが、妖しい雰囲気を持つ弟子の涼之助の存在が、次第に村の平穏を乱していく…。 序盤では、主筋となる涼之助の物語と、山に住むという山妣の言い伝えがどのように結びつくのかと思ったが、後半の意表をつく展開の連続には圧巻である。民俗学的にも意味深く、久々に直木賞受賞に大きく頷ける作品に出会った感じだ。山妣、かっこいい。(特にラスト。) ☆直木賞

Posted byブクログ

2011/11/14

 おお。死国の作家さんなのか。  最初の出だしで若干つまずくも、そこを超えれば面白くぐんぐん読める。

Posted byブクログ

2015/05/11

 越後の山里に芝居指南のため東京から旅芸人が招かれるところからお話は始まる。瞽女(ごぜ)の琴や、地主の家で子守をしている妹の妙、熊の肝を遊郭に売りに来るマダギ、明日の命も知れない鉱山夫など。時代は明治末期の文明開化とはいえ、昔ながらの生活を送る寒村が描かれる。  師匠扇水を養父...

 越後の山里に芝居指南のため東京から旅芸人が招かれるところからお話は始まる。瞽女(ごぜ)の琴や、地主の家で子守をしている妹の妙、熊の肝を遊郭に売りに来るマダギ、明日の命も知れない鉱山夫など。時代は明治末期の文明開化とはいえ、昔ながらの生活を送る寒村が描かれる。  師匠扇水を養父にもつ涼之助と寒村に伝わる山姥伝説の思わぬつながりが二部では語られる。自分の意思とは関係なく遊郭に身を落とし、周りの遊女が死に行く様を見ながらも、それでも生きる希望をすてないイサには凄みがある。運命を素直に受け入れる瞽女(ごぜ)の琴とは対極な存在だ。どんな時代でもどんな状況でも、女性は子を産み育てる強さには何事も敵わない。

Posted byブクログ

2010/07/30

第116回直木賞。 表題の山妣(やまはは)はやまんばのこと。山を住処とし、迷い込んだ子どもを喰らうと言われている。 第一部は、雪山の里が舞台。ここに東京から扇水と涼之助という芝居芸人が訪れる。しかし涼之助は、世話になっている旦那の家の若奥様に手を出し、若旦那に殺されそうになり逃げ...

第116回直木賞。 表題の山妣(やまはは)はやまんばのこと。山を住処とし、迷い込んだ子どもを喰らうと言われている。 第一部は、雪山の里が舞台。ここに東京から扇水と涼之助という芝居芸人が訪れる。しかし涼之助は、世話になっている旦那の家の若奥様に手を出し、若旦那に殺されそうになり逃げ出す。 第二部は、時代がさかのぼった鉱山町。ここにある遊郭の遊女と鉱夫が駆け落ちする話。 閉鎖された集落での人生の機微などの描写が細かく、しかも涼之助はふたなり(両性具有者)であるなど、内容はややおどろおどろしい。

Posted byブクログ