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山妣(上) の商品レビュー

3.8

25件のお客様レビュー

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いろんな人の心の闇な…

いろんな人の心の闇などが書かれていて、はまりました。一体どうなるんだろうと、ハラハラしました。

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この頃の坂東真砂子は…

この頃の坂東真砂子はいいですね。美貌の役者涼之助と出会った地主の家の嫁。2人の密通と涼之助の肉体の秘密。誰が悪いのでもない、あるのは人の業と因果。そして壮絶なラスト。単なる娯楽小説とは違う悲しみを孕んだ新しい伝奇小説です。一気に読ませます。直木賞受賞作だし。

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一気に読んでしまいま…

一気に読んでしまいました!!明治末期の雪深い山間の小さな村でのお話。独特の雰囲気がたまらなくハマります。

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雪深い山村を舞台にし…

雪深い山村を舞台にしているところが、この作品のうまいところだと思います。ただ、あまりにも偶然が重なりすぎて、入り込めない部分もありました。エンディングの熊との格闘シーン、SFX映画でやってくれないかな。

文庫OFF

2024/06/22
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※このレビューにはネタバレを含みます

ああ、物語、物語。 凄まじいほどの物語の力だ。 概要を纏めようとしてもほんの一部を語るのに精一杯だという物語の密度の濃さだ。 芝居の幕開けはこの壮大な物語の序章に過ぎなく、また登場人物もほんの氷山の一角に過ぎない。この序章を過ぎた後、目くるめく物語世界が開けるのだ。 特に閉山前の鉱山町の物語が始まる第二部からが本作の本当の始まりといえるだろう。この二部から出てくる遊女の君香=いさこそがこの物語の主役なのだから。 第一部は単に布石に過ぎない。 第一部の物語は妙という少女から始まる。最初この少女を軸に語られると思ったがさにあらず、この少女と瞽女という歌い手として生涯独身、処女を突き通す盲目の姉琴の二人は単なるバイプレイヤーに過ぎなかったのが勿体無い。特に琴は通常ならば主人公級の人物像なのだが、その扱い方はあまりにも無残だ。琴の行く末こそこの物語が明るい色なのか暗い色なのかを決定付けているように思う。 そして第二部。これがなんともいいようがないすごい話である。 遊女の身から盗みを働いて山中に篭り、渡り又鬼を手篭めにして、仮初めの夫婦となり、人の暮らしを捨て、山で暮らしていく事を決意して、又鬼から狩りを教わるいさ。女の強さをまざまざと見せつける存在感である。 20年もの間、山奥で暮らしてきたいさには人恋しさとか我が子への愛情、男女間の愛情をもはや超越した存在として語られる。 しかし読者は彼女がそれらを捨て去ったのではなく心の奥に秘め、他人に決してあからさまに見せたりしないのだという事に気付かされるのだ。これはほとんど男のストイックさ以外何物でもない。いさという女性の強さは母親の強さではなく、自然と共生する事で得た一人で生きていく事から来る強さなのだ。この強さを女性に持たせた作者の意図が面白いと思った。 (下巻の感想に続く)

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2023/04/26

どうしても坂東さんは四国や奈良のお話のイメージが強く、東北の炭鉱、小作人の話だと、情景をイメージするのが難しかったです。「さぁ!読むぞ!」と下巻を読み始めるまで時間が掛かりました。。下巻に続く

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2020/12/03

女の負の歴史を思う。女性劣視や権利、そして性の弱者をまざまざと思い知らされる内容だ。やまんばを山姥と書くのではなく山妣と表現し、タイトルはやまはは。うまくつけられたなと感心した。 上巻は女形俳優の話と山に住む女の話。ページ数が多いながらもグッとこの世界に引きずり込まれて先が気にな...

女の負の歴史を思う。女性劣視や権利、そして性の弱者をまざまざと思い知らされる内容だ。やまんばを山姥と書くのではなく山妣と表現し、タイトルはやまはは。うまくつけられたなと感心した。 上巻は女形俳優の話と山に住む女の話。ページ数が多いながらもグッとこの世界に引きずり込まれて先が気になって読むのが止められなかった。 下巻が楽しみでならない!

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2023/08/09
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※このレビューにはネタバレを含みます

坂東眞砂子 著「山妣(やまはは)(上)」、2000.1発行(文庫)、1997年直木賞受賞作品。三浦敬三氏が「101歳の少年」で、面白くて一晩一気に読んだとありました。興味をそそられ読んでみました。上巻だけで503頁、大作です。第1部 雪舞台、第2部 金華銀龍の2部構成。時系列は逆順。越後の山奥、鉱山で働く鉱夫、そして遊女たちの暮らし。金を盗み鉱夫と山に逃げた身重の遊女、君香(いさ)は、鉱夫に金を持ち逃げされ、更に鉱山責任者に捕まってしまう。山の掟で耳をそがれるもつるはしで反撃。越後の冬山で死を覚悟した彼女を救ったのは渡り又鬼(またぎ)の重太郎。二人の奇妙な岩穴での生活が続き、いさは子供を産みます。(下巻)が早くも待ち遠しいです!  坂東眞砂子「山妣(やまはは)」、1996.11刊行、2000.1文庫、直木賞受賞作、大作です。上巻は第1部、第2部、503頁。下巻は第3部、342頁。上巻第1部は、明治末期、越後の山里。美貌の役者涼之助と地主の嫁てるの密通。てるのラブコールを拒否した涼之助は「ふたなり、化け物」と呼ばれ村人から逃れて狼吠山の頂(山妣が住むという)に。上巻第2部は、時代を遡り、狼吠鉱山の話。遊女のいさは瀕死のところ重太郎という渡り又鬼に助けられ、山で暮らす。ふゆという女児を産み、重太郎との間の男児を産む。この男児が涼之助か

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2022/07/19

再読。 第一部では、労働と子育てに明け暮れ不要な妊娠は命がけでその始末を負わされ、老いれば闇入りかお山迷いが待っている村の女たちの過酷な宿命が語られ、二部でも希望など一つも持てない女郎たちの境遇が語られる。読み進むほどに女は割を食うことばかりとため息。 男が楽だとは言わないが、女...

再読。 第一部では、労働と子育てに明け暮れ不要な妊娠は命がけでその始末を負わされ、老いれば闇入りかお山迷いが待っている村の女たちの過酷な宿命が語られ、二部でも希望など一つも持てない女郎たちの境遇が語られる。読み進むほどに女は割を食うことばかりとため息。 男が楽だとは言わないが、女の歴史は妊娠堕胎出産が付いて回る分、痛く辛い思いをすることが多すぎる。かと言って、琴のように男と一生無縁で生きていく覚悟もまた別の悲しい痛みを伴う。 先人たちが越えてきた厳しい人生の冬。だから、この本を読むのは雪降る真冬が相応しい。

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2016/10/07

ほとんど前知識なく読み始めたため、 最初は伝奇ホラー小説だと思って読み進める。 うーむ、どうも様相が違うなと思ったけど、 かと言ってこの物語はどう着地するのか ずっとわからないまま読んでいたのが ちょっともったいなかったかも。 下巻まで読了してはじめて、 なんとなく作品のテー...

ほとんど前知識なく読み始めたため、 最初は伝奇ホラー小説だと思って読み進める。 うーむ、どうも様相が違うなと思ったけど、 かと言ってこの物語はどう着地するのか ずっとわからないまま読んでいたのが ちょっともったいなかったかも。 下巻まで読了してはじめて、 なんとなく作品のテーマらしきものが おぼろげに見えてきた状態。 涼乃助含めて、やっぱり女性の生き方が テーマだったように思う。 濃密で出口のない閉塞された村社会のなかで 生活手段の乏しい女性が自身の境遇、 運命に立ち向かいながらどう生きていくか。 坂東真砂子は、徹頭徹尾このテーマだった。

Posted byブクログ