ドキュメント 太平洋戦争への道 の商品レビュー
(「BOOK」データベースより) 昭和5年のロンドン海軍軍縮条約批准をめぐる統帥権干犯問題、満州事変、二・二六事件、日中戦争、ノモンハン事件、日独伊三国同盟、そして真珠湾攻撃…。日本は、なぜ“太平洋戦争への道”を歩んでしまったのか!謎が複雑にからみあう昭和史に光をあて、多くの手記...
(「BOOK」データベースより) 昭和5年のロンドン海軍軍縮条約批准をめぐる統帥権干犯問題、満州事変、二・二六事件、日中戦争、ノモンハン事件、日独伊三国同盟、そして真珠湾攻撃…。日本は、なぜ“太平洋戦争への道”を歩んでしまったのか!謎が複雑にからみあう昭和史に光をあて、多くの手記や資料から歴史的事実のみを拾いだし、開戦を決定するまでの11年間の歩みを克明に活写する。
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※このレビューにはネタバレを含みます
このところ、ずっと近代史(主に戦争について)の本やドキュメンタリーを読んだり見たりして勉強してきたが、この本には詳細かつ複雑な情報が山盛りで、読み通すのに時間と根性が必要だった。 この時代の戦争への道を見る時、情けないのは、誰も本気で戦争をする気がなかったにも関わらず、だれも戦争を止められなかったのではないか、と思えるところだ。希望的予測と甘い判断で、戦争に突入してしまった。 また、戦争を後押ししたものとして国民感情があるが、それを形作られるのにメディア(新聞)が大きな役割を果たしていたことだ。大衆は煽られやすく、一方向に傾きやすい。判断は情報に左右される。今のマスコミも腰抜けで、政府への批判はないに等しい。よほど目と耳を澄ましていないと、グローバルな視野で判断することはできないだろう。 『「昭和史の転回点」はどこにあったのか』は、この本のサブタイトルだが、これを、ずっと考えている。これを、この先の未来に生かすことが、筆者の願いであったはずだ。 こうして読んでいて、暗澹とした思いになるのは、筆者が書いているように、結局、戦争が国力の争いであるということ。一度、始まってしまうと、国を亡ぼすまで終わりが見えてこない、ということ。 ここから今のウクライナ侵攻について考えると、ロシアが強大な国力を持つ国だけに、経済制裁をしても効いてはこないし、戦争の終わりまでには、まだまだ長い時間がかかるのではないかと思えることだ。一方、ウクライナは小国だが、欧米を中心に世界が結束して支援をしているため、簡単に国力の底が尽きることは考えにくい。 戦争など、起こしてはいけない。それが、どうして学べないのだろうか。 「『そうです。日本はこれらの条約をことごとく破りました。日本は公然たる戦争をやりました。満州の自衛とか自己決定とかいう議論はでたらめです。しかし日本は満州を必要とし、話は要するにそれにつきるのです』。しかし、このような人々は少数派に属する。日本人の大多数は本当に彼ら自身をだますことについて、驚くべき能力を持っている(駐日大使グルーの分析)」
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歴史探偵が過去に発表した項目に2章を書き下ろし、日本の針路を左右した転換点となる事件を描写する。敵うはずの無い米国にまごうこと無い先制攻撃、真珠湾米国艦隊奇襲(三国同盟を結んだドイツが欧州を制圧すればさすがに両大洋で戦争をするのを避けて日本の方は妥協して石油禁輸を解いてくれるとい...
歴史探偵が過去に発表した項目に2章を書き下ろし、日本の針路を左右した転換点となる事件を描写する。敵うはずの無い米国にまごうこと無い先制攻撃、真珠湾米国艦隊奇襲(三国同盟を結んだドイツが欧州を制圧すればさすがに両大洋で戦争をするのを避けて日本の方は妥協して石油禁輸を解いてくれるという?勝手読み)(挑発はあった)をかけて報復に都市のほとんどを爆撃で焼失するという大悲劇に《責任追及》があるのは当然。 日中戦争の陸軍に対し、米英との対立は海軍の戦争。海軍が開戦への道をリードしたと論じる。艦隊派が閑院宮を軍令部総長に祭り上げ、軍令部優位の体制を敷き、及川海軍大臣、豊田次官の下で三国同盟締結に同意する。同意の条件の一つが軍備増強だった。省益あって国益なしと言われるゆえんである。そして、石川大佐を中心とする第一委員会が強硬に南部仏印進駐を主張する。その結果、米国に油を止められ、やむを得ず開戦決意の流れとなる。 敵うはずの無い米国に(三国同盟を結んだドイツが欧州を制圧すればさすがに両大洋で戦争をするのを避けて日本の方は妥協して石油禁輸を解いてくれるという?勝手読み)まごうこと無い先制攻撃、真珠湾米国艦隊奇襲(挑発はあった)をかけて報復に都市のほとんどを爆撃で焼失するという大悲劇に《責任追及》があるのは当然。東京裁判の『共同謀議』説では支那を植民地化しようとしたと咎められたが、主権の確立していない地域の利権を守るのは軍事力しか無い、のは当時の常識。日本は正々堂々のちに恨まれない戦いかたをしたが、米国はどうだったか? 東京裁判の『共同謀議』説では支那を植民地化しようとしたと咎められたが、主権の確立していない地域の利権を守るのは軍事力しか無い、のは当時の常識。日本は正々堂々のちに恨まれない戦いかたをしたが、米国はどうだったか?
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「なぜ日本は、国土も国力もケタ違いのアメリカ相手に、戦争を始めたのか?」という昭和史の根源的かつ最大の問いかけに迫った一冊。大正末期からくすぶり始めた軍縮をめぐる海軍内の対立、マスコミによる人心の扇動、親ドイツに傾いた陸軍主導の三国同盟締結、山本五十六の提唱した無謀極まる真珠湾攻...
「なぜ日本は、国土も国力もケタ違いのアメリカ相手に、戦争を始めたのか?」という昭和史の根源的かつ最大の問いかけに迫った一冊。大正末期からくすぶり始めた軍縮をめぐる海軍内の対立、マスコミによる人心の扇動、親ドイツに傾いた陸軍主導の三国同盟締結、山本五十六の提唱した無謀極まる真珠湾攻撃と、大日本帝国がジワジワと破滅に向かっていく過程が、それぞれワンポイントづつ章立ててジックリ描かれている。あまりにジックリ濃厚に描かれているので、読了するのにかなり時間がかかってしまった(笑)
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膨大な資料に基づく半藤一利ワールドはさすが。失礼な書き方かと思うが、昭和天皇の人間らしさの部分がよく出てきて面白い。この人の持論としては、海軍が腰抜けで陸軍強硬派を抑えられなかったのが太平洋戦争開戦であるというもの。 我々の世代にとって太平洋戦争は資料でしかほぼ知りえないものであ...
膨大な資料に基づく半藤一利ワールドはさすが。失礼な書き方かと思うが、昭和天皇の人間らしさの部分がよく出てきて面白い。この人の持論としては、海軍が腰抜けで陸軍強硬派を抑えられなかったのが太平洋戦争開戦であるというもの。 我々の世代にとって太平洋戦争は資料でしかほぼ知りえないものであるので、色々な側面から見つめ直してみるのが良いでしょう。 とは言え、ここまで太平洋戦争に至るまでの過程を大局的な観点から語ることができるのは氏ならではである。 なお、読み物としては一級品。さすがの筆致である。
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ロンドン軍縮会議で表面に現われ出た統帥権干犯問題から始まり、日本が戦争へと突き進んでいくプロセスを、ドキュメンタリー形式で描き出しています。 阿川弘之によって米内光正、山本五十六、井上成美らの人物像が広く知られるようになりましたが、著者は「海軍善玉論」を信じ込むことは歴史理解を...
ロンドン軍縮会議で表面に現われ出た統帥権干犯問題から始まり、日本が戦争へと突き進んでいくプロセスを、ドキュメンタリー形式で描き出しています。 阿川弘之によって米内光正、山本五十六、井上成美らの人物像が広く知られるようになりましたが、著者は「海軍善玉論」を信じ込むことは歴史理解を誤ると述べています。本書では、山本の懸念をよそに時流に乗り遅れるなとばかり南方進出へ向かっていった海軍の石川信吾らについて、比較的詳しく扱っています。
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三島由紀夫を知る上で自衛隊について知らなければならないと思っていたところ、昭和の戦争史の要点を手早く読めそうな本を古書店で見つけたのが読んだきっかけだ。 階級とフルネームが何人も登場して読み進むのが辛かったが、役職や階級の動きからも背景を読み取れるということなのかもしれない。...
三島由紀夫を知る上で自衛隊について知らなければならないと思っていたところ、昭和の戦争史の要点を手早く読めそうな本を古書店で見つけたのが読んだきっかけだ。 階級とフルネームが何人も登場して読み進むのが辛かったが、役職や階級の動きからも背景を読み取れるということなのかもしれない。 太平洋戦争へ向かう要点が、詳細でありながらまとめられており、背景や人物をさらに深く知りたくなった。 代表的な著書「昭和史」を読む前に戦史の流れをおさえておくのもよし、戦史の流れのまとめとして「昭和史」の後に読でも面白いと思う。
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