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清張ミステリーと昭和三十年代 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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昭和30年代は、松…

昭和30年代は、松本清張が作家デビューして4年目であり、ここからの10年は、社会は推理小説家としての地位をゆるぎないものにした10である。所得倍増の政策を推進力として、高度経済成長の波が押寄せた時代でもあった。こうした時代の特徴がどのようにどのように小説に反映しているかを、実に...

昭和30年代は、松本清張が作家デビューして4年目であり、ここからの10年は、社会は推理小説家としての地位をゆるぎないものにした10である。所得倍増の政策を推進力として、高度経済成長の波が押寄せた時代でもあった。こうした時代の特徴がどのようにどのように小説に反映しているかを、実に丁寧に検証している好著です。 第一章は「砂の器」「顔」「証言」などに登場する「映画」という材料から、この時代を読み解いている。第二章は「発作」「潜在光景」などに登場する東京の郊外発展と都市の空洞化現象という視点で時代を読み

文庫OFF

2020/04/01

松本清張のミステリ作品の舞台となった昭和三十年代の日本社会のすがたをえがいた本です。 高度成長期の日本において、映画館や通勤電車などの舞台装置が登場し、男女の関係に対する社会の視線にもさまざまな問題が存在していたことが指摘されるとともに、そうした社会のありようが清張のミステリ作...

松本清張のミステリ作品の舞台となった昭和三十年代の日本社会のすがたをえがいた本です。 高度成長期の日本において、映画館や通勤電車などの舞台装置が登場し、男女の関係に対する社会の視線にもさまざまな問題が存在していたことが指摘されるとともに、そうした社会のありようが清張のミステリ作品に恰好の舞台を提供していたことが論じられています。 同様の観点から江戸川乱歩の作品世界にせまった評論として、松山巌の『乱歩と東京』(1994年、ちくま学芸文庫)があるのですが、本書では『砂の器』『点と線』のほかは、比較的マイナーな作品がとりあげられているのですが、作品中にえがかれた風物にかんする考証にとどまっており、「社会派」ミステリとされる清張の作品世界との関係にいま一歩踏み込みきれていないような印象もあります。もっとも著者は、清張といえば「社会派」というレッテルを貼ってかたづけてしまうような論調に対する不満を述べており、それとは異なるしかたで清張の作品世界の魅力を示したいという意図があるのかもしれませんが。

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2016/12/30
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※このレビューにはネタバレを含みます

1999年刊行。著者は立教大学文学部教授。  松本清張作品の記述をキーとして昭和30年代の社会の実像を解読する。小説記述に加え、他の史料と突き合わせして内容を補強するが、まあ、それほど内容に驚きはない。  ともあれ「三丁目の○○」なんぞを見るより、清張小説を読んだ方がS30年の実像を垣間見ることが可能ということがよく判る書かな。

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2015/08/17

松本清張と、昭和の繋がりを紐解く作品。非常にツボにはまる。それぞれ松本清張の作品がカテゴライズされているので、把握しやすく、読み易い。

Posted byブクログ

2011/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 社会派推理の領袖、松本清張と激動の高度成長期。 数多の傑作として結実した、両者の濃密な相互交渉を読み解く。 [ 目次 ] はじめに 高度成長期と清張ミステリーと 第1章 映画館の見える風景―『砂の器』 第2章 通勤サラリーマンたちの東京―『発作』『潜在光景』 第3章 小売店が元気だった頃―『坂道の家』 第4章 変貌する湯治場の男と女―『誤差』 第5章 愛と性の考古学(アルケオロジー)―『憎悪の依頼』 第6章 「人妻」の「貞操」をめぐる物語―『恐喝者』 第7章 「危険な斜面」の「小官僚」たち―『点と線』 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/11/27

11月27日読了。松本清張作品の舞台となる昭和三十年代の日本。それがどのような時代であったのか・そして作品にてどのように描かれているかを知ることでより清張作品を楽しめるとする本。「社会派」の肩書きは伊達ではない!(むしろ社会派を超えて面白く読めるところに清張のすごさがあるわけだが...

11月27日読了。松本清張作品の舞台となる昭和三十年代の日本。それがどのような時代であったのか・そして作品にてどのように描かれているかを知ることでより清張作品を楽しめるとする本。「社会派」の肩書きは伊達ではない!(むしろ社会派を超えて面白く読めるところに清張のすごさがあるわけだが)清張作品の背景が見事に時代にリンクしており、その時代を知ることで殺人者の動機についてより深く理解・共感できるということが分かる。戦中の日本を引きずる人々と、戦後の繁栄を謳歌する人々。この軋轢・摩擦から生み出される事象が、清張ミステリにおける「事件」となっているのだなあ・・・現代とは明らかに異なる時代だったのか。

Posted byブクログ