リチャード三世 の商品レビュー
"A horse! A horse! My kingdom for a horse!" 「馬をよこせ!馬を!代りに俺の王国をやる!馬!」 脚注に「この戯曲で最も有名なセリフ」とある。 リチャード三世は悪の権化として描かれている。競争者を欺き、陥れ、暗殺し、...
"A horse! A horse! My kingdom for a horse!" 「馬をよこせ!馬を!代りに俺の王国をやる!馬!」 脚注に「この戯曲で最も有名なセリフ」とある。 リチャード三世は悪の権化として描かれている。競争者を欺き、陥れ、暗殺し、弁護のしようもない。 ではなぜリチャードはイングランド王の地位を望んだのか。冒頭の独白はあるが、動機としては弱い気がする。 思うにリチャードは王国そのものはどうでもよく、周りに映るライバルや裏切者や不安材料を振り払いたかったのではないだろうか。 そこで最後のライバルであるリッチモンド伯を追いかけるための馬を欲した。 王国を手にするためにその手をあまりにも血で汚し過ぎた代償として、どんな競争者であっても完全な勝利をおさめない限りは生きていけない...そのことを自覚しているからこそのセリフだと考えると、「共感できる悪党」という評価もわかるような気がする。
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薔薇戦争末期。エドワード4世の統治下のイングランド。自らの容貌にコンプレックスを持ち野心を膨らませるエドワード4世の弟グロスター公リチャード。兄であるクラレンス公ジョージを罠にはめ殺害し周囲の人間たちを徐々に殺害していく。ヘンリー6世の息子の妻であったアンへの求婚。ジョージの遺児たちの殺害。王位に上り詰めたグロスター公リチャード。リチャード3世となったグロスター公に反旗を翻す諸侯たち。薔薇戦争の終結。
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リチャード三世は純悪である。それでいてどこか捉えがたい魅力を内に秘めている。どうしてこうも蠱惑的なのか?比類なきまでの完全な悪には人々の心を惹きつけるものがあると感じた。
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あれほどまでに人を裏切り、殺した末に玉座に着いた男が、その死の間際に欲したのが一頭の馬だったという虚しさ。リチャードの最後の台詞が、この物語の全てではないか。
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「馬だ!馬をよこせ!代わりに俺の王国をくれてやる!」という明言を残したリチャード三世。卑劣な行いをしながらも、爽快に悪を演じきる様が素敵。皆が善を演じている中、悪を演じるリチャードが光る。
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