吉野弘詩集 の商品レビュー
詩人は優れた感性の持ち主に違いない。 ぼくの好きな作品を紹介したい。 二月の小舟 竹 みずすまし I was born 祝婚歌 素直な疑問符 夢焼け 空の色が
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映画「桜色の風が咲く」で吉野弘さんを知り、それを知らなかったことを恥じ、急いで入手した。その詩の世界感には、ちょっと適した言葉を見つけられない。ただ、家族や生命を想う視点に圧倒され、安心し、凛としたのは間違いない。
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『吉野弘詩集』 吉野弘 (ハルキ文庫) 先日、吉野弘さんの「祝婚歌」の朗読を聞く機会があった。 この詩は、吉野弘さんが姪っ子さん夫婦に書き送ったものだそうだ。 「二人が睦まじくいるためには 愚かでいるほうがいい 立派すぎないほうがいい 立派すぎることは 長持ちしないことだと気付いているほうがいい」 (中略) 「互いに非難することがあっても 非難できる資格が自分にあったかどうか あとで 疑わしくなるほうがいい 正しいことを言うときは 少しひかえめにするほうがいい 正しいことを言うときは 相手を傷つけやすいものだと 気付いているほうがいい」 これが若い時にはなかなか気付けないことなのだと、この歳になって思うね。 詩はこう結ばれている。 「健康で 風に吹かれながら 生きていることのなつかしさに ふと 胸が熱くなる そんな日があってもいい そして なぜ胸が熱くなるのか 黙っていても 二人にはわかるのであってほしい」 いやあ。私もまだまだだなぁ。 ところで、今回ちょっとびっくりする出会いがあった。 「I was born」という詩だ。 これが吉野弘さんの作品だったとは! 昔、国語の教科書に載っていた。 作者名を覚えていなかった。 ただ、「I was born」というタイトルと、その訳である“生まれさせられた”という言葉に、当時ものすごい衝撃を受けたことを覚えている。 とても怖くて、そして怖さと同じくらい、重荷から解き放たれた気持ちにもなって、心に楔を打ち込まれたように、忘れることができなかった。 「確か 英語を習い始めて間もない頃だ。」 でこの詩は始まる。 「僕」が父と一緒に寺の境内を歩いていたとき、身重の女性とすれ違った。 その腹の中の胎児のうごめきを想像したとき、少年は“生まれる”ということが受け身であることをふと諒解する。 「I was bornさ。受身形だよ。正しく言うと人間は生まれさせられるんだ。自分の意志ではないんだね。」 それを聞いた父は、少年に蜉蝣(かげろう)の話をする。 蜉蝣は生まれて二、三日で死ぬ。 口が退化しているので物を食べない。 なのに雌の腹の中にはぎっしりと卵が詰まっているという。 「それはまるで、目まぐるしく繰り返される生き死にの悲しみ」 「淋しい 光りの粒々」 と、父はそれを形容した。 実は少年の母は、少年を産み落としてすぐ亡くなっていたのだった。 「父の話のそれからあとは もう覚えていない。ただひとつの痛みのように切なく 僕の脳裡に灼きついたものがあった。 ―ほっそりした母の 胸の方まで 息苦しくふさいでいた白い僕の肉体―。」 詩人の八木忠栄はこの散文詩を、吉野弘の最高傑作であり、現代詩が生んだ最高傑作のひとつであると言っている。 初めて読んだときに感じた恐怖と安堵の感覚は、いま私の中で少し形を変えているが、それは常識に落とし込んで物事を考えることに慣れてしまったせいか。 でも、やっぱり、と思う。 解説にある、「『母』という人の苦しみを思いやる気持ちが自然と生まれてくる」作品であるという評価は果たして正しいのだろうか。 もちろんそれが当たり前の感覚なのだろうけれど、最初にこれを読んだ時に私が感じた何とも言えない負のイメージは、今もこの作品の隠し扉の向こうに広がっているような気がしてならない。 「人間は生まれてきた時点ですでに病んでいる」 と、かつて臨床心理学者の河合隼雄さんは言った。 「生き死にの悲しみ」 「淋しい光りの粒々」 「ただ一つの痛み」 「息苦しくふさいでいた」 と、詩人は書く。 誕生日を“祝う”のだから、生まれてくることは素晴らしいことだしめでたいことだが、それだけではない何かを感じて心がざわざわする、そんな不安感がこの詩には確かにある。 これからもきっとずっと忘れない、心に残る詩の一つである。
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私、普段は詩集をまったく読む気がしないんですけど、機会があって読んでみたら意外とよかった 「夕焼け」は教科書に載ってたやつですね 善人だけが割を食う社会 どうなんですかね…… しかしまぁその女生徒も最初に席を譲ったときと、次のときの行動の違いから察するに、根っからの善人ではな...
私、普段は詩集をまったく読む気がしないんですけど、機会があって読んでみたら意外とよかった 「夕焼け」は教科書に載ってたやつですね 善人だけが割を食う社会 どうなんですかね…… しかしまぁその女生徒も最初に席を譲ったときと、次のときの行動の違いから察するに、根っからの善人ではない事が伺い知れる そんな事まで揶揄しているのだろうかと穿った解釈をしてしまう 「奈々子に」は親の気持ちとしては結構同意できるところがある 「お父さんは お前に/多くを期待しないだろう」というところがとても共感する 何というか、生きていてくれるだけで十分という思いがあるんですよね さらに、できれば健康でいてくれたらいいし、自分の理解者や頼れる人、相談できる人が側にいてくれたらもっといい 元々心優しい子だからそのままでいて欲しいと思う その反面、心優しいからこそ、世の中で生きづらい子なのかもしれないという心配もあるんですけどね なので、「夕焼け」の詩に対してもちょっと思うところがあるのかも知れない 逆に自分が子としての立場だと、この歳にもなって親に対して迷惑や心配をかけて申し訳ない気持ちになる けど、もし親としての立場で同じように思っていてくれるのでは?という救いにもなる 「祝婚歌」が一番自分に必要なやつなのでしょうね お互いに足りないものがあったんでしょうねぇ…… この詩のような相手に、これから巡り会えるとは思えないので、私はもう結婚はしないんじゃないかと思う 「過」 会社の朝礼でこの詩の話をしてた人がいたなぁ 他の漢字の詩もそうだけど、同じ文字で違う読みをするんだったら、もうそれは違う文字だと思うんですよね 読みの当て字として使われているだけの場合もありますし…… ま、中には「確かに」「なるほど」と思えるものがありますけどね 「氷よ 氷」 途中まではいい感じなのに、オチで地球温暖化を持ち出すあたりが俗っぽい 社会風刺的に意味合いが入っていると、何だかなぁと思ってしまう 何だかんだ言いつつ、詩集も結構面白いものだと知った 機会があれば他の人の詩集も読んでもいいかと思ったけど、やはり自分から積極的に手に取る程ではないなぁ
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勝ち取るのに難しく、育むのに難しい、自分を愛する心 ひとがひとでなくなるのは、自分を愛することをやめたとき。
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「雪の上に 雪が/その上から 雪が/たとえようのない 重さで/音もなく かさなってゆく/かさねられてゆく/かさなってゆく かさねられてゆく」(雪の日に) --- 「花が咲いている/すぐ近くまで/虻の姿をした他者が/光をまとって飛んできている//私も あるとき/誰かのための虻だった...
「雪の上に 雪が/その上から 雪が/たとえようのない 重さで/音もなく かさなってゆく/かさねられてゆく/かさなってゆく かさねられてゆく」(雪の日に) --- 「花が咲いている/すぐ近くまで/虻の姿をした他者が/光をまとって飛んできている//私も あるとき/誰かのための虻だったろう//あなたも あるとき/私のための風だったかもしれない」(生命は)
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「祝婚歌」を知り興味を持った吉野弘。以前図書館で借りた『贈るうた』『二人が睦まじくいるためには』が良くて、祝婚歌、菜々子へ、が入った詩集を手元に置きたいと思っていた。Tポイントが貯まっていたのでYahooショッピングでポイント購入。文庫で手に取りやくす、沢山の詩が掲載されていて大...
「祝婚歌」を知り興味を持った吉野弘。以前図書館で借りた『贈るうた』『二人が睦まじくいるためには』が良くて、祝婚歌、菜々子へ、が入った詩集を手元に置きたいと思っていた。Tポイントが貯まっていたのでYahooショッピングでポイント購入。文庫で手に取りやくす、沢山の詩が掲載されていて大満足。度々見返したい。2018/3/24
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吉野弘の秀作による素敵な詩集だと思う。日常の平易な言葉で、日ごろ何となく思っているけど実際には表現できないようなことを、絵のように描いてくれる。そんな詩だ。自分の心を描いてくれる。でも自分にはこんなに平易にストレートに書くことはできない。いや、気が付いてさえいない……。「雪の日に...
吉野弘の秀作による素敵な詩集だと思う。日常の平易な言葉で、日ごろ何となく思っているけど実際には表現できないようなことを、絵のように描いてくれる。そんな詩だ。自分の心を描いてくれる。でも自分にはこんなに平易にストレートに書くことはできない。いや、気が付いてさえいない……。「雪の日に」「奈々子に」「樹」「I was born」などなど。
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詩集はほぼ初めて読むようなものだが、日常の身近なものがこのような表現になるのかと驚かされた。身の回りの小さなものにも目を向けてみよう。 祝婚歌は心が楽になる。 読む年齢、時間によってさまざまな印象を心に与えると思う。 また10年後に再読してみたい
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考えず静かにいるとき 空の美しさは海の深みに届くのに ざわめき始めた海の 白い波頭には もはや映ることがない
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