ルソーにおける人間と国家 の商品レビュー
ルソー思想における「自然法」の位置づけを手がかりとして、『不平等起源論』『社会契約論』で問題となる、自然法と実定法の関係、そしてその帰結として、ルソーが自然法論者だったのか法実証主義者だったのか、という問いに明快な答えを与えている。ルソーのいう「自然法」は人間本性の傾向性をさすも...
ルソー思想における「自然法」の位置づけを手がかりとして、『不平等起源論』『社会契約論』で問題となる、自然法と実定法の関係、そしてその帰結として、ルソーが自然法論者だったのか法実証主義者だったのか、という問いに明快な答えを与えている。ルソーのいう「自然法」は人間本性の傾向性をさすもの、そしてそれを理性が反省的に把握するもの(推論的自然法)であり、自然法は実定法に「なるべきもの」として考えられている。したがって、ルソーにあってはホッブズにおけるように、法内容の正しさとは無関係に法が妥当するのではなく、内容的正しさを担保するために「一般意志」が必要とされているのだ、ということになる。
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