笑うカイチュウ の商品レビュー
花粉症やアレルギーは…
花粉症やアレルギーは寄生虫で防ぐという話や、ダイエットにカイチュウが実は役に立つ、といった話など。
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寄生虫に関する雑学を…
寄生虫に関する雑学を得たいなら、この本がオススメです。
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寄生虫と人間の関係に…
寄生虫と人間の関係についての入門書。これであなたも寄生虫博士に。
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麺類が食べられなくな…
麺類が食べられなくなりますーーー。(涙)
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大学の医学部には「寄生虫学」という分野があるものの、寄生虫被害自体が減少したため学問としての存続危機を迎えている、と記されたのが1999年の本書出版当時のこと。あれから四半世紀、現状どうなっているのか気になるところではある。 実は、1999年当時でも既に花粉症やアトピー性皮膚炎な...
大学の医学部には「寄生虫学」という分野があるものの、寄生虫被害自体が減少したため学問としての存続危機を迎えている、と記されたのが1999年の本書出版当時のこと。あれから四半世紀、現状どうなっているのか気になるところではある。 実は、1999年当時でも既に花粉症やアトピー性皮膚炎などの疾患者増加が見られ、人の体内から寄生虫がきれいサッパリいなくなったのが原因ではないかと考えられていた。清潔好き潔癖症日本人が逆に生物としての抵抗力を阻害していたのは文明の皮肉である。 ちなみに個人的体験だが、田舎育ちの小学生時代、大便中にお尻からサナダムシが出て来たことがあって引っ張りだそうとするも、滑って失敗。その後、虫下し薬を飲んで駆虫した記憶がある。私が今もなお花粉症でもアトピーにも悩まないのは、もしかしてアレの残滓のおかげかもしれない。 そして1999年当時は、海外種ペットの輸入拡大や無農薬野菜、ジビエ料理、滋養強壮を狙った生血や生肉などから、今までなかった寄生虫感染が見られるようになった。(だからといって、花粉症やアトピー体質症が減少したのでもないようだが) 本書では、筆者が見聞した様々な寄生虫の悪巧みを解説。 結論から言えば、寄生虫感染を防ぐには生肉など非加熱食は避ける、淡水魚類の刺身等もアニサキスの宝庫なので気をつける、素性の知れない輸入食品は買わない、ペットとのキスも止めるなどの自衛策はあるものの、(命がけの)美食家やペット愛好家達には大きなお世話かもしれない。 本書には思わずオエッとなるシーンがかなりある。それでも、筆者の明るいユーモアのおかげで陰湿な読み物になっていないのがベストセラーの要因となっている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
その昔のベストセラー本として、タイトルは知っていたが、著者が最近縁のある藤田紘一郎氏とは気づかなかった。食にはコンサバなワタクシ、元々「ゲテモノ喰い」とは全く縁がなかったが、この本を読んで、思いを新たにした次第。あ、悪いこと言いません、食べながら読まない方がいいですよ〜。現代日本で寄生虫なんて今更…と思いきや、グローバル化の弊害で、外来種や旅行者、移住者が運んでくることが増えているそうな。身近なところで、アレルギー性疾患と寄生虫の関係は解明してほしいところ。 文庫版の解説は平田オリザ。
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カイチュウ博士藤田紘一郎先生の寄生虫本。 先に読んだ「目黒寄生虫館物語」と一緒に、娘の夏休み課題対策として。 両冊とも、寄生虫研究者たちは変わり者で優しく、「人間でも動物でも大便を集めて調べるの大好き!!」な人たちだという感じだった(笑) こちらの笑うカイチュウでは、まずは昨今...
カイチュウ博士藤田紘一郎先生の寄生虫本。 先に読んだ「目黒寄生虫館物語」と一緒に、娘の夏休み課題対策として。 両冊とも、寄生虫研究者たちは変わり者で優しく、「人間でも動物でも大便を集めて調べるの大好き!!」な人たちだという感じだった(笑) こちらの笑うカイチュウでは、まずは昨今の日本における寄生虫研究の縮小化を憂いている。 日本は清潔になったし、寄生虫の研究も一段落でこれ以上の必要はないんじゃないかということ。 そういえば私が子供の頃やっていたギョウチュウ検査も今はない。 しかし実際には次々に新しい寄生虫たちが発見されたり、新たな病気を運んだりしている。 最近話題のトキソプラズマ、アニサキスなどは実際に死者も出たり問題となっている。 また、化石生物の寄生虫を調べることにより生命の進化が分かるなど、多角的な研究も行える。 研究とはその分野だけでなく、他の分野に繋がり合っていくのだから、寄生虫分野も新たに進んで新たな研究成果が知りたいですね。
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寄生虫を研究する博士、藤田先生によるエッセイ。 20年前の本ですが、「寄生虫とは何か」をその生態や人間との関わり、今後の研究次第では癌やアレルギーの治療にも役立つかも、なんてことまで書かれていて非常に興味深い話ばかりです。 現時点での寄生虫研究がどこまで進んでいるのか知りたくなっ...
寄生虫を研究する博士、藤田先生によるエッセイ。 20年前の本ですが、「寄生虫とは何か」をその生態や人間との関わり、今後の研究次第では癌やアレルギーの治療にも役立つかも、なんてことまで書かれていて非常に興味深い話ばかりです。 現時点での寄生虫研究がどこまで進んでいるのか知りたくなってきます。 藤田先生の寄生虫への偏愛ぶりに少し影響されたのかもしれません。
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SSさんのお勧めで読んだのですが、確かにこれは面白い本です。 海外赴任者の奥さんが、お尻から出てきたカイチュウを掴んで気絶する話。寄生虫学者が、朝早く地方のホテルを抜け出し、犬・猫の糞集めをやってて警察官に不審がられる話。なにせ、寄生虫のことゆえに下ネタが多いのは仕方ないけど、...
SSさんのお勧めで読んだのですが、確かにこれは面白い本です。 海外赴任者の奥さんが、お尻から出てきたカイチュウを掴んで気絶する話。寄生虫学者が、朝早く地方のホテルを抜け出し、犬・猫の糞集めをやってて警察官に不審がられる話。なにせ、寄生虫のことゆえに下ネタが多いのは仕方ないけど、笑わせてくれます。 一方で、不思議な寄生虫の生態や感染経路を判りやすく解説してくれています。生野菜・刺身・踊り食い・ペットなどからの感染経路の紹介や、寄生虫の中でも怖いもの・さほど問題にすべきでないもの(例えばある寄生虫は皮膚直下を走り回るので爬行疹という発疹が出来る。しかし、1週間もすると死ぬので実害は起こらない)などがあることを教えてくれます。 ただ、これを読んじゃうと、しばらく生ものは食べたくなくなると言う欠点もありますが。(苦笑) ところで、おなかにカイチュウを飼うと原因となる抗体の発生が抑えられ、花粉症にならない。その上、ダイエット効果(虫が栄養を吸っちゃうので)もあると言うのですが、どなたかお試しになりませんか(笑)。
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寄生虫学、感染免疫学、熱帯医学の専門医による、寄生虫に関するエッセイ集。1994年に発刊されてベストセラーとなり、1999年に文庫化された。 日本におけるカイチュウ感染率は、戦争直後70%以上あったものが、公衆衛生に関する徹底した取り組みにより、わずか20数年間で0.2%以下に低...
寄生虫学、感染免疫学、熱帯医学の専門医による、寄生虫に関するエッセイ集。1994年に発刊されてベストセラーとなり、1999年に文庫化された。 日本におけるカイチュウ感染率は、戦争直後70%以上あったものが、公衆衛生に関する徹底した取り組みにより、わずか20数年間で0.2%以下に低下した。しかし、その後、有機栽培野菜の流行、様々な種類のペットを飼う人の増加、グルメや健康を意識した食の広がり等により、この世界でも最も清潔と言える日本において、寄生虫病が再び増加しているのだと言う。具体的な原因は、アライグマやサルのペットとしての輸入、ドジョウの踊り食い、ヘビの生血のワイン割り、ナメクジの丸飲み、ジビエ料理、様々な生魚等々。 寄生虫というのはその名の通り、宿主に寄生することによってのみ生きられる生物であり、上記のような生活様式や嗜好の変化により本来の宿主ではない人間の体内に入った場合には、ときとして健康に大きな影響を与えるものの、本来宿主に寄生している限りは基本的に悪さをしないものである。また、寄生虫感染はアトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー性疾患の発症を抑制する効果があり、日本人のアレルギー症の急増は寄生虫感染率の低下が一因とも言われている。 著者が本書の出版に当たって「ずいぶん気を使った」というように、寄生虫というテーマは確かに万人に抵抗なく受け入れられるテーマではないと思うものの、本書の提示するメッセージは深い。それは、何より人間が自らの都合で自然との共存・共栄関係を変えようとすることへの警鐘である。 (2015年9月了)
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