新・本とつきあう法 の商品レビュー
筆者が活字本、電子本や図書館についてどう考えるか、どう付き合っているかについて書かれたエッセイ。 1998年発行の本だが、長年書籍と関わってきた筆者の目は確かだ。2023年現在でもこの本の内容はいささかも古びていない。
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著名人による読書本は数多くあり、いわゆる名著というものは古いのでどうしても内容が現代に追いついていない場合が多い。しかし読書の本質は変わるものではなく、要は「情報の収拾」ということ。その結論は多くの読書本がたどり着いているものであろう。本書は20世紀に出版されているので、その内...
著名人による読書本は数多くあり、いわゆる名著というものは古いのでどうしても内容が現代に追いついていない場合が多い。しかし読書の本質は変わるものではなく、要は「情報の収拾」ということ。その結論は多くの読書本がたどり着いているものであろう。本書は20世紀に出版されているので、その内容は古そうなイメージがあるが、現状のKindleまでは網羅していないものの電子本の可能性にまでしっかりと言及しており、しかもその本質についても見事に論じているのはさすがというところ。インターネットでの読書にたどり着いてから締めに図書館の利用法を持ってくるあたりはいかにも読書好きらしい。 意見が分かれるところであるが「本は捨てる」人もいるし「本は捨てない」人もいる。書籍の本質を情報と考えれば前者だし、書籍の本質は情報が具現化した物と捉えれば後者になる。どちらが有益真実と言えるかは分からないが、そうした方法論にあれこれ悩んでいるうちに情報は流れていく。私の場合はとりあえず読んでみてそれから考えよう、というスタンスに落ち着いてしまった。落ち着いてないけど。 本書をきっかけに図書館を見直すこととなる人も多いと想像する。情報収集として図書館はもっとも経済的なものではあるが、その便宜性ではインターネットに劣る。そこで本書で提案しているのは、図書館は従来のように「〜を調べる」ということではなく、ぶらりと入って目に入った本をパラパラとめくってみる。これはどうしても読みたい本があればAmazonnで検索して注文し、町の本屋へはぶらりと入って立ち読みして偶然出会った本を見つけて買っていく、という住み分けに対応している。 情報と食は人間が生きていくのに不可欠なもの。着るものや住むところがなくても「絶対に生きていけない」というわけではない。水分や栄養がなければ「生物として生きていけない」。そして情報がなければ「人間として生きていけない」。最近は情報を安易に規制したりといった「情報に対する敬意」が欠けているように思える。もっともこうした情報をないがしろにしているヒト達は一部の情報については重要視している場合が多いのではないか。しかし情報に「良い悪い」はない。「正しい正しくない」もない。情報をすべて流したうえでその受け手が「良いか悪いか」「正しいか正しくないか」判断することである。これは教育という情報伝達手段でも変わることはない。子供に判断力はない、というヒトもいるかもしれないが、教育を受けた子供が重要な判断を下すのは成人してからである。パターナリズムというものは親切なようにみえて人間をコントロールする意図が潜んでいることは覚えておきたい。
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「本は気軽に破って持ち歩いている。そうしやすいよう、裏表広告のページになるように作られている。歩きながら本を読んでしまう。 必要とあらば握り飯みたいにぱっと二つに割(って同じ独房の活字に飢えた仲間と同時に読み後で交換す)ることだってできるのである。」
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編集者の著者が本(活字本・電子本・オンライン書籍・図書館)について考える。新~とあるが旧版は読んだ事がない。 まずは活字本だが、雑誌や本を必要なところだけ破いて読むという、編集者ならではというか、思いつかないような読書の方法を述べている。真似をする気はないが、本を作品ではなく...
編集者の著者が本(活字本・電子本・オンライン書籍・図書館)について考える。新~とあるが旧版は読んだ事がない。 まずは活字本だが、雑誌や本を必要なところだけ破いて読むという、編集者ならではというか、思いつかないような読書の方法を述べている。真似をする気はないが、本を作品ではなく情報を伝えるツールと捉えるというのは従来の冊子至上主義に反対する概念で、次に述べられる電子書籍と関係がある。 GoogleもWikipediaも青空文庫もない約15年前に出版されたので、今の電子書籍事情とは大部異なっているが、主に取り上げられている電子辞書のCD-ROMに関しては今と状況は変わらない。全文検索の可能性や保存容量の縮小は電子書籍において今日でも確かに長所として認められている。 最後に図書館について述べているが、文献複写やOCRの話をするあたりやはり時代があわない。全体的に考え方としては突拍子だが、それはそれで貴重な考え方なので参考にしたい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 本書は、長年、本づくりに携わってきた編集者が、自ら読む本にどう対しているかを、活字本、電子本、インターネット上の読書、図書館、というテーマごとに示す自在な読書のすすめである。 [ 目次 ] 第1章 活字本とつきあう(雑誌は破りながら読む;ふつうの本も破る;本はパンフレットである ほか) 第2章 電子本とつきあう(電子本は本ではない;電子本も本だ;マルチメディア本をたのしむ ほか) 第3章 インターネットでの読書(タダの雑誌;知的財産に所有権なし;グーテンベルク計画のゆくえ ほか) 第4章 図書館とつきあう(図書館散歩派;独学者による独学者のための…;コピーとOCR ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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