砂漠の修道院 の商品レビュー
エジプトは人口の1割がキリスト教徒(コプト教徒)だそうだ。イスラム教のイメージが強いので、まずびっくり。この本は著者が1980年代に繰り返しナイル河西岸の砂漠にある修道院に滞在した記録と、そこから生まれた考察で構成されている。 カイロにコプト教徒の居住地があること、ナイル河西岸...
エジプトは人口の1割がキリスト教徒(コプト教徒)だそうだ。イスラム教のイメージが強いので、まずびっくり。この本は著者が1980年代に繰り返しナイル河西岸の砂漠にある修道院に滞在した記録と、そこから生まれた考察で構成されている。 カイロにコプト教徒の居住地があること、ナイル河西岸には聖家族エジプト逃亡の足跡をなぞるように修道院が点在していること、そこの修道士たちは動機は様々であれ、一様に無一物となってナイル川を渡り、砂漠の僧院にやって来たこと。彼らは高学歴の持ち主であることが多いこと。修道院には広大な耕作地があること。自分には新鮮な記述が多い。 昼間の熱が籠ったままの僧院で、噴き出る汗をかきながら毎日を過ごした著者が書く、修道士たちからの聞き書きは読み応えがある。後半の考察も「中東アラブ地域におけるキリスト教の運命」と題された章をはじめとして、修道士たちの背景を知る上で参考になった。 メモ(84ページ) 「そう。僧院には、人の数だけいろんな職歴の人間が集まってるんだよ。獣医もいれば、医者もいる。鍛治屋もいれば建具屋もいる。大工もいればパン屋もいる。もっとも、大工にしろ、建具屋にしろ、大学卒の一級建築士だけどね。印刷担当のロンゲーノスだってそうなんだ。彼は工学士で、ちかぢかコンピューターの電子印刷機に切りかえるところさ…」ヨハネスはそう言うと、黄色い布で梱包された大きな荷物を指さした。
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・ひとり、ひとり、理由も違えば、動機も違う。しかし、それにもかかわらず、彼らは、一様にあるとき、ある瞬間、心を決し、家を棄て、故郷を棄て、職を棄て、ナイル川を西にむかってよぎったのである。その限り、彼らは現象としては、ひとしく西のクニの漂流者である。
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p.157 聖地にむかって旅する巡礼者たちの群れのコロニーとして、オアシス都市が発達したのではないか。☆確かに日本でもそういう面がある。 堀田『路上の人』 けあだこ書庫913.6H96、『歴史の長い影』 堀米『中世の森の中で』森の島国 だ書庫209Se17.6 路上の人=巡礼者=異人 赤坂『異人論序説』
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コプト教(エジプト独自のキリスト教)の修道院や洞窟僧院の修道者たちの生活や対話を描く本。第一部は実際に著者が長年現地調査したことを名文で描いている。第二部は文化人類学的な軽めの論文になっている。正直こっちは好みではなかった。だが第一部の語りは素晴らしい。隠者、日本で言うなら「出家...
コプト教(エジプト独自のキリスト教)の修道院や洞窟僧院の修道者たちの生活や対話を描く本。第一部は実際に著者が長年現地調査したことを名文で描いている。第二部は文化人類学的な軽めの論文になっている。正直こっちは好みではなかった。だが第一部の語りは素晴らしい。隠者、日本で言うなら「出家」する者たちの言葉が重く深い。こういう脱世俗したものたちへの憧憬というものが滲むように思える。
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烏兎の庭 第二部 日誌 2.3.06 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/diary/d602.html#0203
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