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モラル・アポリア の商品レビュー

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2019/06/15

倫理学であつかわれている諸問題を、21のアンチノミーのかたちでとりあげ、それぞれについて執筆者自身の立場から解説がなされています。 たとえば永井均が執筆を担当している「道徳はほんとうにあるのか」という章では、「世界には万人が守るべき徳目が厳然として存在している」というテーゼと、...

倫理学であつかわれている諸問題を、21のアンチノミーのかたちでとりあげ、それぞれについて執筆者自身の立場から解説がなされています。 たとえば永井均が執筆を担当している「道徳はほんとうにあるのか」という章では、「世界には万人が守るべき徳目が厳然として存在している」というテーゼと、「一切は、弱肉強食の原理に従っている」というアンチテーゼが冒頭に掲げられ、このアポリアをめぐる永井自身の思索が展開されています。 執筆者には、永井のほか彼の倫理学に対する厳しい批判者として知られる大庭健、さらに法学者の長尾龍一や旧約学者の関根清三、フェミニストの金井淑子などがくわわっており、それぞれ独自の切り口で倫理学の諸問題をコンパクトに紹介しています。 「あとがき」には、本書は「どちらかというと一般読者向きの本であることを企図しており、もちろん専門的な基盤に立ってのことではあるけれども、倫理的なアポリア(難問)と考えられる諸問題を手がかりに倫理的な思考と領域の内へ読者を誘おうとする点に目標を置いていた」と述べられています。いくつかの章についてはおもしろく読めましたが、多くの問題がならべられていて、まとまりに内容的な欠けるような印象もあります。

Posted byブクログ