サヴィニーの法思考 の商品レビュー
初期サヴィニーから、『立法と法学に寄せるわれわれの時代の使命』、『現代ローマ法体系』へと結実していくサヴィニー法学の具体像を、彼の「体系」概念を手がかりにして論じた研究書。『現代ローマ法体系』第一巻で提示されるサヴィニーの一般概念については、第5章「サヴィニーの方法と体系」が最も...
初期サヴィニーから、『立法と法学に寄せるわれわれの時代の使命』、『現代ローマ法体系』へと結実していくサヴィニー法学の具体像を、彼の「体系」概念を手がかりにして論じた研究書。『現代ローマ法体系』第一巻で提示されるサヴィニーの一般概念については、第5章「サヴィニーの方法と体系」が最も詳しい。いわばその前史として、初期サヴィニーにおける(カント)哲学からの離反、言語に対する眼差しが第一章、第二章で明るみに出される。その後、フォイエルバッハの「普遍法史」に対するサヴィニーの批判が取り上げられ、初期法学方法論講義における「体系」概念もまた、いわば数学的な公理的体系ではなく、対象の有機的組成としての体系であることが明らかにされる。最後の二つの章では、『現代ローマ法体系』の生成過程が遺稿を使って綿密に描き出される。サヴィニーの法学体系の実相を19世紀ドイツの学問状況に引きつけて描き出しつつ、解釈学的な視座をもサヴィニーのテクストから説得力をもって引き出しており、直接サヴィニーを研究していない人間にとっても参考になる記述に満ちている。
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