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はるかなる視線 新装版(2) の商品レビュー

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2014/02/09

少なくとも日本語にうつしかえたとき、クロード・レヴィ=ストロースの文章はやや読みにくい方だ。が、それをあえてたんねんに読んでいくことは、奇妙な快感を呼び起こす。 この後期レヴィ=ストロースの論文集にも、他の著作と同様、強烈な主張や決定的な結論は記されていない。彼の構造主義思考は、...

少なくとも日本語にうつしかえたとき、クロード・レヴィ=ストロースの文章はやや読みにくい方だ。が、それをあえてたんねんに読んでいくことは、奇妙な快感を呼び起こす。 この後期レヴィ=ストロースの論文集にも、他の著作と同様、強烈な主張や決定的な結論は記されていない。彼の構造主義思考は、ものごとを<解決する>というより、既知の見方を路線変更させ、まるでちがう<地平を導き出す>ことを成果としているように見える。その地平の向こうには<こうあるべきだ>とか<こうするべきだ>というような、いかなる命法も存在しない。 にも関わらず、レヴィ=ストロースを読み込む経験は、えもいわれぬ<知の喜び>を開示してくれるのだ。 本書には、神話論理や親族理論などもひととおり掲載されているし、さらには構造主義思考を文学や精神医学、さらには音楽にも適用しうることを示すような、小さな文章もいくらか載っていて、興味深い。

Posted byブクログ